とりあえず続きを。ほとんど合宿の話は関係なくなっている気がしますが・・・。
前の記事で「縦の動き」の話を書きました。地面から力をもらうためにどうするかという話。大きな力を加えるためには「上から下」のイメージが必要になるのではないかと考えています。スプリント時の「脚の動き」も「上から下」の縦の動きでなければいけない。そう考えると「膝から下の振り出し」は不要です。意識的に振り出すことはハムストリングの故障にもつながるのでやるべきではないと思っています。前の記事とつながる部分ですが、振り出すことで接地ポジションが身体の前になりそこに対して反対方向の「反力」が生まれます。その反力を打ち消そうとすればどこかに無理が来る。
10秒00の日本記録。この動きは「特別」だと思っています。リラックスして膝から下が前方向に振り出されていますがその後、接地局面では身体の真下でとらえるくらいになっています。そしてフォロースイングが遅れない。だから推進力が生まれている。この動きを真似してできる可能性はほぼ0だと思っています。だからやりません。
力を加える。そのために「縦の動き」が必要だと思います。が、縦の動きをしたとしても接地した瞬間にその「力」が消え去ってしまうことがある。これが「力を逃がさない」という考えだと思っています。これまでこの局面で「体幹を締める」ことが大切だと思っていました。接地した瞬間に体幹が締まることで力を逃がさない。これが「固める」という感覚につながっていくのではないかなと。
とりあえず図を載せておきます。左側と右側の違い。これは明らかだと思います。
よく説明するときに用いる話です。体操競技。これは着地してからフィニッシュの姿勢を作るときに「その場にとどまる」ということが重要になります。着地してから動いてしまったら減点になるからです。そのため左の図のように着地した瞬間に「足首」や「膝」でその衝撃を逃がします。逃がさなければ地面からの反力によってその場に止まれないからです。「足首」や「膝」を使って力を逃がすことでその場に止まることができる。
スプリントはどうか。「止まる」のではなく「進む」ことが求められます。そうであれば「力を逃がさない」という部分が必要になります。「足首」や「膝」が曲がってしまえばそこで力を逃がすことになります。地面に大きな力を加えたとしても「力を逃がす」ことで意味がなくなっていく。ここに関しては「当然の話」だと思っています。
これまでその話をしてきました。が、この1か月の取り組みは少し違います。もちろん「力を逃がさない」という部分は必須です。ここは絶対にはずせません。しかし、走る動作の中で「体幹を締める」とか「足首」「膝」を固定するという意識がどれだけできるのだろうかという大いなる疑問が生まれました。これも当然の話です。意識して接地する瞬間に「固める」というのができるか。複雑な動きをする中で「関節の固定」を意識することができるようになるのか。指導の中では「緩めない」という言葉を使ってきましたが実際問題走るときにその動きができる可能性は低かったのではないかなと感じています。
そうであれば「走る前までに固定する意識を作り出す」という部分が必要になるのではないか。「走る」ことはそれ以外の部分ができた「結果」ではないか。「縦の動き」をしっかりとやって「地面に大きな力を加える」ことができ、「力を逃がさない」状況になれば自然に地面から大きな力をもらうことができそれを推進力に変えることができる。「前に進む」ことをひたすら考えて動くのではなく「結果として進む」という部分があるのではないか。複合的な動きを統合するためには「意識」している部分を「無意識」にできるようにならなければいけない。そこまで徹底してやらなければいけないのではないか。
「縦の動き」をしながら「力を逃がさない」という練習をやるようにしました。今回の合宿も一番のテーマはそこでした。走るだけではない。私が勝手にやりたいことをやっているので他の指導者がどのように感じているのかは気になるところですが・・・。台を使った練習をかなりやりました。道具を使うのでキャパが小さくなります。台を使って重心移動の練習をしたり、乗せる感覚を作る。乗るときに「積極的に接地」するのではなく「自然に落ちてくる」という感覚を作る。さらにそれができれば「接地した瞬間」のイメージを作る。関節を固定して「力を逃がさない」という動きをする。
台ジャンプなどは徹底的にやりました。台からドロップしたときに「その場に止まる」ようにしています。「縦の動き」をやりながら「接地」したらその場に止まる。かなりの負荷になります。筋力が不足する選手はここで「固める」ことができません。感覚が鋭くても必要な筋力がなければその衝撃に耐えられないのです。大臀筋や中臀筋は「接地した瞬間」に必要になってくると考えています。この部分を鍛えていないと地面からの反力に耐えられない。そうなると「足首」や「膝」を緩めて力を逃がすことになる。
接地した瞬間に「関節を固定する」というのを走る練習以外で徹底していこうと考えています。この部分は重心移動が小さいので意識しやすい。着いた瞬間に「固める」という部分は必要になります。台ジャンプや台ドロップで徹底します。この練習中にkrkくんが「この練習はハマります」と言っていました。これまで「無意識」にやっていたのではないかなと感じました。速い選手というのはやはりある一定の「感覚」が優れている。意識してやっていなくても自然にその動きをしている。だから速い。krkくんもmakinoもこの「固める」というイメージがすぐにできました。共通する部分なのではないかという感じがあります。
速い動きをするとこの部分ができなくなります。ここは「膝締め」の動きにもつながるのですが。「膝締め」ができなければ「縦の動き」ができないと思っています。そうなると「前段階」で作った動きが走りにつながりません。「縦の動き」と「地面に大きな力を加える」に「力を逃がさない」という要素を加えてやっていく。ここはあくまで「走りに必要な要素」であってそれができたから走れるわけではない。この部分を「走りに落とし込む」という作業が必要だと思っています。もも上げなどをすると顕著になります。「膝締め」と「直線的な動き」ができない選手は「縦の動き」ができないのです。回転運動をしてしまうので「掃くような接地」になりやすい。「足首」の固定もできないのでつま先接地になります。さらに悪くなる。
このあたりのことはまた別に書きたいと思っています。今回やった練習の振り返りとしては「縦の動き」を走りに落とし込んでいく部分が必須だからです。また書きます。たぶん。
というか、これって面白いですか?私が好き勝手に書いているだけなので興味がない人にとっては苦痛だと思います。文字だけでは伝わりにくいと思って先日「技術的なミーティング」で使った資料から図ももってきました。しかし、それで「理解につながる」かどうかは別問題です。そしてこれが「面白い」と感じられるかも別問題。どうなんでしょうか。