あまでうす日記

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リヒテルの「デッカ、フィリップス、ドイツグラモフォン全集」全51枚を聴いて

2016-05-12 10:46:26 | Weblog


音楽千夜一夜 第363回


 こないだはリヒテルの未発売セットを聞いてそれなりに面白かったが、そのあとまたしても同じリヒテル選手のデッカ、フィリップス&DG全録音という次第で、これほど朝から晩までリヒテルのピアノの音が流れていると、いささかげんなりしてきます。

 じつはこの大全集でも、「ああいいなあ、素晴らしいなあ」なぞと手放しで思うのはそれほど多くはなくて、例えば1991年にドイツの田舎で録音された3枚のバッハ、1987年にイタリアのマントヴァでいれたハイドンの1枚かな。

 あとは改めて聞いて「こんなに心にしみるモザールがあるんだ」と再認識したスタニスラフ・ウイスロフスキー指揮ワルシャワ国立フィルのk466の協奏曲くらいでした。

 それからこの偉大なピアニストの名品で忘れてはいけないのは、このコンピレーションには入っていないけれど、1972年とその翌年にザルツブルグの教会で録れた(録音は悪いけど)バッハの平均律の全曲ですね。

 それにしても最近古いCDの盤面がどんどん腐って地金が露出したりするのは困る。むしろLPのほうが音は圧倒的にいいし、物質としても丈夫で長持ちするんじゃないかしら。


  リヒテルのバッハやハイドンが腐ってゆく盤面に醜い亀裂が生じて 蝶人
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