ある晴れた日に第396回
昨年と同じ油蝉が鳴いている
明るさも暗さに似たり「明暗」の道
敗荷やなおも支えむ阿弥陀仏
不揃いの餃子を喰うや五人組
轟々と万物流転す葉月尽
円高く株安くなり安倍蚤糞自爆する日近し葉月尽
漱石もモリエールもドストエフスキーも借財王
雄ゼミがあの声この声で迫るのを雌ゼミは黙って聞いている
カツカツと蹄の音を立てながら次郎は主人の後ろを歩く
研いたらばきっとピカピカするのだろうがあえて稚拙にとどめる我が歌
何もかも絶望的な世の中なれどなにか面白きことあればとさ迷い歩く
血を血で洗うがごとし次々にCDを買いてちびちび聴くということは
犬猫は自分も他人も殺さない人間は犬猫にも劣る
いくら応援してもみじめにころころ負ける稀勢の里
よろよろと老婆が歩いたその場所を3秒経ってダンプが過ぎる
熊本ではまだなにも復興していないのに知らん顔している安倍蚤糞
戦前のなんたるかも分からぬ阿呆莫迦に国を聾断させている悲喜劇
深々と胸に刺さった蕪矢は取ろうとしても取れない
大笑い愛想笑い嘲笑い朝から晩までテレビは笑う
嘲笑い愛想笑い呵呵大笑朝から晩までテレビは笑う
大笑いうすら笑い愛想笑いテレビは朝から晩まで笑っている
追従笑い高笑い馬鹿笑いテレビは朝から晩まで笑っている
馬鹿笑い愛想笑い抱腹絶倒テレビは朝から晩まで笑っている
テレビは朝から晩まで笑っているテレビは朝から晩まで笑っているテレビは
戦争で平和を作ることなんて未来永劫出来ないだろう
列島の至る所に隠された防犯カメラが僕らを狙う
アマゾンでお坊さんが買えるようになりました次は神様を売ってください
トイレットペーパーなどもより柔らかなものを求めてしまう我らの贅沢
早く早く蝶が来てるわよと妻がいういま玄関から飛び立つは瑠璃タテハ
あの日から五年が経ちて今もなお海山の間を彷徨う人々
誰知らぬ前代未聞の情報を求めてぼくらネットの海行く
春ですねわが脳内にモンシロがはらはらひらひら飛んでいる
らあらあと叫びながら男が歩いてるなんとなくその気持ちは私にも分かる
アンドロイドが市役所の行方不明アナウンスをしている
いいかげんそのニュースはもうあきた次なる惨事よ起これ
事件が起こるたびに地球最後の日のように騒ぎ立てる新聞
金さえあれば通販でなんでもかんでも買うてやろうじゃないか
遊んでも遊んでも義務として遊んでる日本人は哀しいなあ
出る映画出る映画みな「沈黙」を強いられて苦笑いしているスティーブン・セガール 蝶人