あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

鎌倉文学散歩で二階堂・浄明寺周辺を歩く

2017-03-16 13:28:22 | Weblog


蝶人物見遊山記 第235回&鎌倉ちょっと不思議な物語第377回


鎌倉文学館が年に3回主催する春の文学散歩に参加しました。

朝の10時に日本3大天神社の荏柄天神に集合して、鎌倉で一番古いお寺の杉本寺に詣で、宅間ヶ谷周辺をぶらついてから報国寺の竹林を回って昼前には解散という半日散歩です。

クーデターの冤罪で誅せられそうになった御家人の渋河刑部六郎兼守が荏柄天神に籠って10首の和歌を奉納したことを嘉せられ、一命を救われた実朝公はなんと男前な三代将軍であったことでしょう。感謝感激した兼守はお礼に鎌倉街道に「歌の橋」を架けたといわれ、それはいまも残っております。

鎌倉には鎌倉時代の寺社仏閣すらほとんど残っていませんが、奈良時代の創建にかかる杉本寺は、当地最古の寺院であるにもかかわらず、竹寺の報国寺に比べると訪れる観光客も少ないようで、大変結構なことです。杉本寺の本尊十一面観音と茅葺の本殿、緑に苔むした石段を賞美せずに浄明寺や報国寺に急ぐ人を愚か者というのです。

今度のツアーで初めて教えられたのが、滑川に架かる「華の橋」をまたいで報国寺に入るすぐ右手に建っている庚申塔。これは大正14年から昭和20年まで鎌倉に住んだ俳人、松本たかしがその「杉本寺」で触れている庚申塔です。

向かって右側面には「一はんすきもとのみち」、左側面には「二はんいはとのみち」と刻まれたこの塔は、坂東三十三箇所詣の道しるべの用も兼ねていたのです。

以前は杉本寺から逗子の岩殿寺に通じる古代からの巡礼道があって、源頼朝、政子夫妻が失恋に病んだ長女大姫の回復を祈願して毎晩お百度参りをしたという伝説が残されていますが、この由緒ある古道は西武グループの開発行為によって、残念ながらあえなく破壊されてしまいました。

雪の予報が外れた生憎の曇天でしたが、そのせいで人出が少なく、鶯の初音も聴くことができた半日のそぞろ歩きでした。


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