あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

西暦2018年神無月蝶人花鳥風月狂歌三昧

2018-11-05 14:01:30 | Weblog


ある晴れた日に 第531回


国難をみずから招く宰相が国難突破とラッパ吹く秋 

夢の中突如数字が浮かび出る辞めた会社の電話番号

コジュケイよそんなに呼ぶのはやめて今はちょっと付き合えないんだ

雑草を食べながらでもミサイルを北朝鮮は作り続ける

「先生も鉄砲を持て」と大統領学校すなわちOK牧場

これでもかこれでもかと追悼し来週からは忘れてしまうテレビ局

ブルージェイズ首になりしあと公園で練習していた大リーガー青木がメッツに入団猛打賞

ナチス大好きの副総理てふきちがいが選挙大好ききちがいをきちがいとぞいふ

松平夫人の旧姓は日高さんなりき日高さんに会いたし

憂鬱な生の外縁を彩れるキベリタテハよいまし飛び立つ

戦争を知らない者を戦争へ戦争を知らない者が導いていく

まずいとは口が裂けても言えないのでウマイ、ウマイと叫ぶタレント

ティンパニーが叩き出したらお手上げだどんな指揮者も止められません

100年の知己のごとく親しげにわが名を呼びつつ売り込む電話

3横綱に栃ノ心まで休場し荒れにぞ荒れる名古屋場所かな

この夏はことのほか暑かったから有名人が大勢死んだ

3万の陸軍兵が脚気で死んだ森鴎外にも責任がある

平成が失ったもの萬鉄五郎の「裸体美人」の萌える腋毛

ほんとうにどうでもいいことを朝から晩まで騒ぎ立てるテレビ

不倫じゃあ不倫じゃ不倫じゃ不倫じゃと眼の色変えて騒ぐミヤネ屋

今日もまた「個人的な感想」で満ち溢れているテレビ広告

57577の枠に収まらず575の俳句ができる

テレビでは「2度目のハワイ」をやっている一度も行ったことなどないのに

戯れに死者の名で呼ぶ蛍かな

指一本で世界を動かす男かな

圧力をいつまで掛けるか問い合わせ

春の夜記憶の限り嘘をつく

我が罪は天知る地知る我も知る

生きたまま切り殺されることもある歯に衣きせずにもの言いおれば

息子からメールが入り気がつきぬ今日は私の誕生日なりき

この頃はちょっと困るととりあえず第三者委員会に丸投げするなり

売り出しの若手指揮者の演奏の口直しに聴くフルトヴェングラーの9番

できるだけ抑えようとはしているが好き嫌いが出る黒柳徹子

引退かまだ選手なのかイチローは球団会長付特別補佐

いつの間にか長く伸びたる爪を切るけっして我を見捨てぬ爪よ

陸軍の兵士のように一列の縦隊組みて行進するハヤ

大谷の継ぎの投手が1点を守り切れずに白星逃す

次々に魑魅魍魎が現れて平成の世も暮れてゆくなり

ああまたかお偉いサンが鴈首を揃えて頭をしばらく下げる

横須賀のヴィルニー公園のバラ園でマリア・カラスが次々歌う

時折は墜ちるものとは知りながら素知らぬ顔して飛行機に乗る

仕出かした所業に自信のない時は「しっかりしっかり」と自分を励ます

今日だけはボストンで勝った川内の笑顔だけ映せよテレビ

木の枝はムナーリさんが言うとおりどこまで伸びても二枝になる

描けども描けども絵が売れない息子そこのところはゴッホに似てる

一人なら集団で神社に参る人ありてこれは宗教的祭事

我らみな懸命に生き急ぎおる裏を返せば死に急ぐなり



    無投票にて再選される市長多しさぞや立派な市長ならむ 蝶人
コメント
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