照る日曇る日第1247回
長年にわたって障害児教育の最前線で障害児をみつめてきた著者による、理論と実践を兼ね備えた支援ハンドブックです。
私の長男は脳に障害があるとされている45歳の自閉症者なのですが、本書で詳説されているとおり、1)社会性の障害、2)コミュニケーションの障害、3)想像力の障害とそれにもとずく「こだわり行動」と呼ばれる行動上の障害(ローナ・ウイングの定義)を持ち続けています。
特別支援教育の対象になるのは、この自閉症や高機能自閉症(アスペルガー障害)を含めた広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、被虐待児など多種多彩ですが、その一つひとつに対して豊富な教育体験をもつ著者は、症状の特性とそれに対する具体的な対応策を教えてくれます。
特別支援教育は2007年から制度化されましたが、「特別支援教育は特別なの?」という問いに対して、「それはけっして特別でも特殊でもない。なぜなら障害があろうがなかろうが、生徒一人ひとりに対して最善のケアをするのが教育者のつとめである」と言い切る著者の勇気と自負に対して敬意を表したいと思います。
蛇足ながら、上に記した障害の名前はその後大きくは「発達障害」という分かったような訳のわからぬ曖昧模糊とした名称に統括され、自閉症も「自閉症スペクトラム」というまるで「オズの魔法使いの」主題歌「虹の彼方に」のような称呼に括られましたが、障害者の障害自体には寸毫の変化もありません。
なんで毎年改元して大騒ぎするような茶番劇が行われているかというと、アメリカの精神医学会が毎年のように『精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM)』を公表すると、それをそのまんま我が国の阿呆莫迦学者や研究者どもが受け入れて、障害の名称と定義を麗々しく書き換えるからです。
アメリカの大統領がどんな無茶な命令を下しても、この国の首相は、まるで下僕のように唯々諾々と盲従しているので、世界中の物笑いの種になっていますが、とっくの昔に独自性と主体性を喪失したわが精神医学学会においても、同じように屈辱的な悲喜劇が繰り返されているようです。
ご参考までに http://www.autism.or.jp/
連休だわが世の春だとネズ公がリビングルームをぐるぐる廻る 蝶人