照る日曇る日第1257回
下巻の前半では、ハックルベリー・フィンは「王様」と「公爵」という盗賊ドタバタコンビの悪さに巻き込まれて酷い目に遭い、後半部では突如自己中なトム・ソーヤーが登場。黒人奴隷のジムを逃亡させようとして事態をかえって混乱させることになります。
このへんトウェインの筆はもたつき、物語は面白いどころか、これで無事に終わるのだろうかと心配になります。
最後は無理やりのエンディングに突入しますが、物語の中心部では南北戦争後もいっこうに改善されない奴隷制問題を扱っているために、めでたし、めでたしのハッピーエンドには絶対にならない。臓腑重々しい胆石と苦汁を抱え込んだ世にも複雑な少年冒険譚といえましょう。
ツイッギーがロンドンのスタジオで歌ってる1977年2月12日 蝶人