照る日曇る日第1255回
私はミステリー物は好きではないので、この作家は敬して遠ざけていたが、この最新作はあまりそういう感じでもなさそうなのでなんとなく手に取ってみたのだが、すでにして不穏な暗騒音が響いているからきっと最後にはそうなるに違いないのだが、まあ普通の地方小説として読んでいる。
こういう風に一行の中に様々なフラグメントを詰め込んで複雑多岐な情報を放散しながら書き進む、ポリフォニー的でいっけん晦渋な文体は、書くのも大変だろうが、読むほうも疲れるなあ。
この作家はかつてポール・ヴァレリーに興味を持って研究した?とこかで書いていたようなので、そういう流れの、ミステリーなしの純文学小説をいつか書いてもらいたいものだ。
驚天動地生成流動才気煥発丁々発止清新溌剌縦横無尽 蝶人