あまでうす日記

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聖書協会共同訳2018年版で旧約聖書「サムエル記下」を読んで

2020-03-05 14:22:54 | Weblog


照る日曇る日 第1364回

ダビデは30歳で王位に就き、ヘブロンで7年6か月、その後エルサレムに移り33年間、都合40年間にわたってイスラエルとユダの全土を統治したが、王位に就いてからもペリシテ人との戦いは続き、その間いろいろな事件が生起し、その様相は聖書を離れた冒険物語としても面白い。

例えばサウルの娘で妻となったミカルは、神の箱が「エルサレムに運び入れられたというのでダビデが飛んだり跳ねたりして踊っているのを2階の窓から見下ろして蔑んだというのだが、嫌な女だねえ。2人の間には死ぬまで子供がなかったというが、当然という気にさせられる。

ダビデは寛容の精神に一応は富んでいて、先王サウルの足萎えの息子メフィボシェトを探し出して保護したが、結局は彼を侮辱したサウルの一族シムイやふた心のあった将軍ヨアブ共々跡継ぎのソロモンに命じて殺してしまうのだからやっぱり普通の男なのである。

また人妻の美女バト・シェバを見初めたダビデは、将軍ヨアブに命じて夫を戦場で落命させ、自分の物にしているから、秀吉や師直を思わせる好色漢であったことは間違いない。しかし天網恢恢疎にして漏らさず、神はその罰に2人の間の初子を死なしめたが、次に生まれたのが最優良児のソロモンであったから、神もアバウトといえばいえるだろう。

さりながらダビデは子のことでは大いに苦労した。まず長男のアムノンが妹を姦した。アムノンを愛していたダビデはそれを放置していたのだが、次男のアブシャロムがアムノンを殺し、反乱軍を率いて王位を狙うようになると、智謀を凝らして巻き返しを図る。

親子の血肉相食むイスラエル軍同士の対決は辛うじてダビデ軍に軍配が上がったが、将軍モアブがダビデの言いつけに背いてアブシャロムを血祭りにあげてしまうと、美男子の息子の死を嘆き、殺戮したヨアブを恨むのである。

天下分け目の関ヶ原の一戦に勝利したダビデは元秀吉の軍勢で秀吉西¥軍に勝った東軍の家康のようなもので、その後国内の治安を回復する為に腐心したようだ。

サムエル記の最後に不可解な記述が出てくる。ダビデの人口調査である。
主はダビデを唆して全土の人口調査を命じながら、ダビデがそれに従うと、なぜか怒り狂って3つの選択肢、すなわち1)7年間の飢饉。2)3か月間敵に追われる。3)3日間国中が疫病に見舞われる。のいずれかを選べと迫る。
ダビデは熟慮の末に一番日数の少ない3番を選んだのであるが、この「新型コロナウイルス」の流行はおよそ7万人の死者を出し、長期にわたって被害を及ぼしたのである。

  なにゆえに旧約聖書は面白い 嘘か本当か分からぬ話 蝶人
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