
闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.2030~34
1)ジャン=ピエール・メルヴィル監督の「サムライ」
暗殺者ドロンのどこが侍なのか知らないが、女や金なんかには目もくれないようでも結構気にしていて、最後には罠に嵌って野良犬のように死んでいく奇妙な噺ずら。
2)ヴィクター・フレミング監督の「ジャンヌ・ダーク」
イングリッド・バーグマン主演の1946年のお芝居を、同じ彼女をヒロインとして1948年に公開されたハリウッド映画だが、かなり史実に忠実に描かれているようだ。
凛々しい軍服姿に身を包んだバーグマンはこの奇跡のヒロインを堂々と演じているが、私はその後のどの作品よりも彼女の特性が見事に発揮されている代表作だと思う。
3)ロベルト・ロッセリーニ監督の「ロベレ将軍」
札付きの卑劣漢がどういう風の吹き回しか愛国者に成り上がって自らナチの銃弾に身を晒す。社会を相亘る人世の皮肉を透徹した視線で描き尽くすロッセリーニ。そしてデシーカ一世一代の名演!
4)エリア・カザン監督の「欲望という名の電車」
テネシー・ウイリアムズの原作・脚本をエリア・カザンのメガフォンでヴィヴィアン・リーとマーロン・ブランドが渾身の演技を見せつける。圧倒的に素晴らしい!
5)エリア・カザン監督の「草原の輝き」
ナタリー・ウッドとウォーレン・ベイティの哀しい恋の物語。ワーズワースの詩句をうまく使った1961年のハリウッド映画ずら。いい子がなまじ親のいいなりになって我を押さえ、抱きたい男と抱いて欲しい女のタイミングがずれるとこんな悲劇も生まれる。うっと泣かせるさすがに名人カザンのラストシーン。
春遠しあれから九年水の中 蝶人
桜咲く安倍蚤糞が逃げていく 蝶人