照る日曇る日第1462回
弱冠21歳から24歳までの医学生アントン・チェーホフがユーモア雑誌のために1882年から84年までに「アントーシャ・チェホンテ」名で書き飛ばした115の短編小説を収めている。
締め切りと長さとテイストに区画されて「書き飛ばした!」には違いなかろうが、その題材の豊かさとプロットの切れ味の鋭さ、ユーモアとウイットのチェーホフならではのまったき独創の連続に、毎晩寝床でページを繰るのを止められなかった。と告白せざるをえない。
「栴檀は双葉より芳し」とは、若き日のチェーホフのためにあるような言葉である。
辛うじてチクリと刺すしかできなんだこの憎たらしい栗泥棒め 蝶人