闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.2343~47
1)山本薩夫監督の「戦争と人間第一部」
昭和の初めから大陸への侵攻を開始する日帝と軍部の実態を、振興財閥の一族を軸に立体的に描き出す全国民必見の戦争大河ドラマ。1970年製作、原作は五味川純平だがあいうえお順の出演者クレジットが新鮮。
2)山本薩夫監督の「戦争と人間第二部」
昭和6年の満州事変から12年の盧溝橋事件までの中国戦争を舞台に男女のどうしようもない恋と愛を描く。五代財閥の芦田伸介とヒロインの浅岡ルリ子の存在感が抜群。この人の上唇の真ん中に境界線となる膨らみがある。
3)山本薩夫監督の「戦争と人間第三部」
いま注目のノモンハン戦争の大敗北が全篇のハイライト。旧ソ連軍の協力によって撮影された戦闘シーンが大迫力である。阿呆莫迦関東軍参謀本部の無謀無為無策暴走暴威によって前線の指揮官もこの物語のヒーロー北大路欣也は戦死し、2等兵山本学は八路軍に投降するが、いまこそ若者たちに一番みせたい映画である。
4)堀川弘道監督の「軍閥」
2・26から沖縄玉砕までを描く1970年の戦史物。音楽は私の好きな真鍋理一郎だが他はどうってことないが、最近はこういう映画さえ製作されなくなってきたなあ。
5)小森白監督の「大虐殺」
関東大震災の時に勃発した町内会の民草や陸軍兵による朝鮮人大量虐殺、憲兵隊、陸軍上層部による大杉栄と伊藤野枝、橘宗一惨殺事件、そしてそれに反発して決行されたギロチン社による白昼テロルを描く天知茂主演の貴重な1960年の大蔵映画。虐殺などなかったとうそぶく緑のタヌキなど手合いは必見。
3密も自粛もどこかへ投げ捨てて命懸けの旅を薦める 蝶人