あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

西暦2021年弥生蝶人映画劇場その1

2021-03-09 13:23:38 | Weblog

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.2498~2507


1)ジャン・コクトー監督の「オルフェ1950」」
ジャン・マレー、マリア・カザレスの出演。ギリシア神話のオルフェオを1950年の巴里に置き換えて再現するが、その結末を裏切るラストシーンの感銘はさすがである。
2)マイケル・ムーア監督の「華氏119」
アメリカにおける銃規制やミシガン州フリント市の鉛汚染水道水問題などを直撃インタビュー手法で対象化しているが、民主党の指導者たちが現実から目を背けているために盲点を突く形でトランプが浮上した背後関係を明らかにしている点に意義がある。2018年の製作。
3)クラレンス・ブラウン監督の「愛の調べ」
シューマンを「カサブランカ」のポール・ヘンリード、クララをキャサリン・ヘップバーン、ブラームスをロバート・ウォーカーが競演する感動的なクラシック音楽映画。ルービンシュタインが演奏する「トロイメライ」が効果的に使われ泣かせます。
4)ルイス・マイルストン監督の「西部戦線異状なし」
レマルクの原作を1930年に映画化した反戦映画。塹壕戦の陰惨さをこれくらい強烈に描いた映画もないだろう。蝶に手を伸ばした少年兵のパウルが狙撃されるラストは哀しい。
5)ジャック・ターナー監督の「過去を逃れて」
カーク・ダグラス、ロバート・ミッチャム、ジェーン・グリア共演の1947年のサスペンス映画だが、脚本も演出も感心しない。
6)セルジオ・レオーネ監督の「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」
禁酒法時代の2人のユダヤ人ヤクザの生涯にわたる交友の物語だが、どだい退屈な話を、もたもた余計な時間をかけて、もっともらしく演出するので消耗する。
7)サム・メンデス監督の「1917」
2019年の戦争映画。2人の伝令が友軍に急報して独軍の裏をかこうとする決死行。メインが死んで思いがけずサブが主人公になる。
8)ナンニ・モレッティ監督の「母よ」
ヒロインのマルゲリータ・ブイが、母親を介護しながら労働運動をテーマにした映画を撮り続ける姿を、ルポルタージュする感動的な2015年の映画なり。監督のモレッティもヒロインの兄役で出演。
9)ロジャー・ドナルドゾン監督の「ハングリー・ラビット」
ニコラス・ケイジ主演の2011年の恐怖映画。妻をレイプした犯人を私刑で暗殺する「正義組織」から追われる身になった主人公の、さあ大変映画。
10)スピルバーグ監督の「プライベート・ライアン」
4兄弟のうち3人が戦死したので、残りの1人を戦場から復員させために最前線に赴くトム・ハンクスは、部下と共に生還出来なかった。旧約聖書にある行方不明になった1匹のヒツジと残り99匹の逸話を思い浮かべない人はいないだろう。1998年に製作。


 なんの役にもたたぬスマホを買いこんで弥生三月の床の間の飾り 蝶人
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