あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

高橋源一郎著「たのしい知識」を読んで

2021-03-27 11:22:15 | Weblog

照る日曇る日 第1554回

「ぼくらの天皇(憲法)」「汝の隣人」「コロナの時代」の三部からなる力の籠った最新エッセイである。
第1部では各国の憲法との比較が興味深いが、長谷部恭男、加藤典洋などの思索に啓発されて、現行憲法から天皇条項を切り離し、軍隊を国連軍に贈与するという改正案に辿り着くのだが、それは昔からの私案とほぼ同じなので驚く。
第2部では茨木のり子の「ハングルへの旅」に導かれた源チャンが、日韓の間に横たわる問題について、に1945年に福岡刑務所で謎の夭折死を遂げた尹東柱(ユンドンジュ)の詩と生涯に思いを寄せて感動的である。
第3部ではカミュの「ペスト」やジョルダーノの「コロナの時代の僕ら」などを引用しながら、人類と感染症の相関関係について深く思いを致している。

   春や春、山には山桜里には染井吉野、狭庭には大島桜咲く 蝶人
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