照る日曇る日 第1558回
この人の作品は現実、現場の徹底的リサーチを踏まえながら、そこから立ち上がる物語の中身が昔懐かしいおとぎ話に転化しているところが、まあ新しいのではないでえしょうかあ。ま、別に新しくなくてもいいんだけどさ。
で、今回の主人公は、母親から見捨てられた可哀想な盲人、とわちゃんである。
彼女は、ゴミだらけのおんぼろ家で消しゴムまで食べてしまうという食うや食わずのルンペンにまで身を落とすのだが、そこから親切な友人や盲導犬のジョイ君などに助けられ、なんとか夢とか希望の持てる地平にまでたどり着くので、読者としてはやれやれである。
されど、なんで母親がヒロインの2人の兄を殺害して家の中に隠していたのかがよく分からず、屋根裏部屋で同居していたはずの謎の女性ローズマリーが、その後どうなったのか、を含めて、ほとんど記述されていないのも謎である。
まあ、どうでもええけど。
有線を無線のLANに切り替えるすべを知らずに鶯を聴く 蝶人