蝶人物見遊山記第338回7&鎌倉ちょっと不思議な物語第424回
毎年この季節になると、この小さな建物の中でささやなひと時を過ごすことにしている。
そこは喧噪の小町通りから一筋入った横丁に隠れるように建っていて、昔は鏑木画伯の邸宅であったところだが、そこがそのまま美術館になるという理想的なかたちなのである。
そうおもうとなんで小林秀雄や大仏次郎旧邸がそうならなかったのか、中也ならまだ可能であるのに、とすこぶる残念なんであるが、それはさておき、会場にずらりと並んだ華やかな押絵羽子板を眺めていると、そこはかとなく新しい春の香りが漂って来るような気持になるから不思議である。
なお本展は同館にて明年1月10日まで開催ちう。
鎌倉の小町通りの横丁で誰を待つやら鏑木清方 蝶人