これでも詩かよ 第316回
仏に逢うては、仏を殺し
男に逢うては、男を殺し
戦に逢ては、戦を殺し
死に逢うては、死を殺す
強く、激しく、美しい女性が、この困難な時代の、最先端を切り開くのである。
キーウの女、リュドミラ。
母国ウクライナに攻め込んで来たプーチンの軍隊に家族を皆殺しにされた少女は、固く唇を結んで、目には目を、歯には歯を」じゃない復讐をすることを誓うのだった。
福一の女、ヒドラ
福島第一原発から太平洋に垂れ流された汚染水から誕生した新未来人類、ヒドラ。
別名は「女ゴジラ」。現代に蘇えったお岩が、最終的な世直しに挑む。
死都鎌倉の女、讃岐局
北条一族によって惨殺された、比企家の女の復讐の物語だ。大蛇となった比企能員の娘、讃岐局は、北条政村の娘にとりつき、比企谷の土中に引きずり込んで、いたぶる。
イランの国民的女優、タラネ・アリドゥスティ
反体制デモを支援したために逮捕されたイランのアカデミー主演賞女優。「女性・生活・自由」のスローガンで立ち上がった民草と共に、不撓不屈の反権力の戦いに挑もうとしている。
原宿の女、岡田茉莉子。
偉大な映画監督である吉田喜重に先立たれた日、女優は、毎晩夫と連れだって散歩した原宿の千駄ヶ谷交差点にしばらく佇んでいると、晴れた夜空に月が昇った。
赫奕たる満月だった。
「神倶に在まして」の歌に送られて三宅義子姉の霊青空に舞う 蝶人