照る日曇る日 第1858回&闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.3208
この人物から短歌の世界はガラリと変わった。つまりがらりと変えるだけの力量を持っていたのだろう。だから出す本もありきたりを脱した新意匠ばかりだ。でも中身は昔ながらの「解釈と鑑賞」で、己が面白いと思う古今の短歌をつまみ出して、エスプリの利いたコメントを加えていくわけだから、文章にわさびが効いていないと話にならないちゅうわけやねん。
全部で15人15首ほどに付箋を貼ってみましたが、右代表でわが敬愛する奥村晃作氏の1首。
歌いつつ踊る踊りがそれはもう限界超えたマイケル踊り
いち時期マイケル・ジャクソンに夢中になった奥村選手の代表作であるが、なんというても「マイケル踊り」の7音の締めが強烈で、思わず笑ってしまった穂村選手は、
「笑って迷って混乱しながら、でも、自分は確かに感動していると思う。この異様な本気さ、箍の外れたひたむきさ、さすがは奥村晃作だ」
と驚き呆れつつも褒めそやしているが、私などは「それはもう」の1語に痺れる。
んで、久しぶりにⅯJの2009年のケニー・オルテガ監督のドキュ映画「This is It」を一瞥してみたら、それはもう「マイケル踊り」は凄かったが、映画は長ったらしくて退屈だった。
この星のことなら安心し給え君たちが全滅しても健在だから 蝶人