あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

映画『ゴダールと話せば』シナリオ大略

2023-02-18 15:53:00 | Weblog

 

これでも詩かよ 第315回

 

はじめまして、ムシュー・ゴダール、私の名前はササキ・マコトです。

マコトは、漢字で書くと「眞」。「眞実」、「眞理」の眞、一字であります。

ちなみに私の弟の名前は「善二」、妹は「美和」。祖父の小太郎がつけてくれた名前ですが、3人揃うと「眞・善・美」となります。

 

おお、素晴らしい!

 

メルシボク! これはあなたもご存知のように古代ギリシアの哲学者プラトンが唱えた3つのイデアで、後にカントが具体的に展開しますが、ゴダールさん、私はあなたに、「世界一美しく、世界一真実と善に満ちたテレビCM」を作って頂きたいのです。

 

ダコー。お安い御用だ。「眞・善・美」は、映像表現はもちろん、全ての芸術に当てはまる普遍的なコンセプトだね。んで、肝心要のギャラはいくらかね?

 

日本円で、ぴったし1000万。

 

ブラボー! ブラボー! では大至急、いま貴君が提案されたCMコンセプトを体現したビデオを送りましょう。

 

驚くなかれ数日後、それはスイスのロールにある彼のオフィスから、本当に送られてきた。

再生してみると、「赤・青・緑の3原色」を横に並べたカラーバーが、無音で延々と映し出され、時折クールベ等の泰西名画がインサートされている、世にも不可思議な代物である。

 

が、それを見た東大の美学でピカソを研究した私の上司は、「ふむふむ、なかなか面白いじゃないか」、と、高く評価したのだった。

 

  ゆりかごから墓場へ急ぐ君たちに優しく寄り添うマイナカード 蝶人

 

コメント
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