西暦2023年如月蝶人映画劇場その3
闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.3226~35
1)ニコラス・レイ監督の「夜の人々」
ニコラス・レイの初長編にして代表作品。後の「ボニーとクライド」とは全く風合いの異なる1947年の純愛物語。
2)ゴダールの「イメージの本」
さんざん映像と音楽の大冒険をやってのけた果ての2019年の作品。されどもはや何の斬新さも無いのが哀しいずら。
3)キアロスタミ監督の「ホームワーク」
1995年のイラン映画。小学生にカメラを向けて「宿題」についてインタビューをするのだが、質問役が無能で下らない答えしかでてこない退屈な失敗作。されどイランはシーア派の宗教教育を子供時代から植え付けていることが分かる。
4)ベンジャミン・リー監督の「画家と泥棒」
苦労して描き上げた代表作を2人の悪党に盗まれた女性画家が、あろうことかその犯人の一人と付き合う中で芸術と人世の真実に触れていく2020年ノルウエー製の嘘のような本当のどきゅめんたりーです。
5)エレーヌ・ファリエール監督の「壊れた二人」
マゾ中年男に最後まで付き合って殺してやる2013年の人妻の愛の物語ずら。
6)「闇の処刑人」
昼は人権派弁護士、夜は闇の処刑人ルーク・ゴスが大活躍する2019年のよくあるアクションスリラーずら。
7)アニエス・ヴァルダ監督の「アニエスによるヴァルダ」
2019年に没したヌーヴェルヴァーグの巨星による最良の回顧録にして遺作。最晩年の彼女が最先端のアートに挑戦していたのを知って驚いた。
8)P.B.シュムラン監督の「博士と狂人」
実話に基づいてオックスフォード大辞典編集の内幕を明らかにする2020年の興味津々の秘話。それにしても全世界の英語使用者に向かって用例を大募集するところから作業を開始したとは驚き。本邦でも見習ったらどうか。
9)キム・ジウン監督の「反則王」
ソン・ガンホ主演の2001年のリーマン・コメデイ。ダメ銀行員が一念発起して覆面プロレスラーになりきるところがたまらないずら。
10)アンソニー・マン監督の「胸に輝く星」
無宿者賞金稼ぎのヘンリーフォンダが、新米保安官アンソニー・パーキンスを鍛える1957年の親小鷹西部劇。
考えてみればおらっちだって何も無い生涯無一物とはよう言うた 蝶人