葉山・山口蓬春記念館で「山口蓬春・新興大和絵会の時代展」をみて
蝶人物見遊山記第362回
神奈川県立近代美術館葉山の向かいの山腹に横たわっているのがこの記念館である。
山口蓬春のアトリエのあった旧居を、そのまま美術館に仕立てたところは、鎌倉小町の鏑木清方美術館と同様である。
2人とも同じ時代を生きた日本画家であるが、その作風は異なり、清方の的確なデッサン力と清澄で上品な色彩感覚は。蓬春には、はなからない。
私が特に厭なのは、山口選手の(トヨタの車と共通する)粗野なブライトカラーの多色遣いで、清方の透明で温かなパステル遣の正反対の下品さを、当のご本人は自覚していたのだろうか?
内部では極端に展示作品は少なく、わいらあそのいずれにも感心できなかったが、広大な屋敷と庭園は素晴らしい。私らは、高台にある蓬春邸から光る海と水平線を見晴らしながら、文字通り「春に巡り蓬うた」のであった。
なお本展は、既に4月2日に終了しています。
一瞬の沈黙さえも懼れつつ喋りに喋るテレビのキャスター 蝶人