照る日曇る日 第1885回
卒業式に出たゲンは、「君が代」の君とは戦争犯罪人の天皇だから、そんな男の賛歌など口が裂けても歌えない啖呵を切り、その代わりにみんなで「青い山脈」を合唱するのだが、それは昔からおらっちが唱えて提案とまったく同じなので、ちょっと驚いた。
この最終巻では、ヤクザの大親分を退治した隆太と勝子、そして主人公のゲンも、新天地の東京を目指すのだが、果たしてどのような運命が彼らを待っていたのかは、彼らよりも我々自身が熟知しているところである。
いずれにしても、ゲンや作者の中沢啓治の清く、正しく、美しい政治思想と社会観は、日本校憲法と共に、もはや時代遅れの骨董品と化したように映ってしまうのは、ある意味では仕方が無いと思う。
そういう意味では、戦後民主主義の原石のような本書が、腐敗堕落した現在の権力者や国家機関や民草から排斥されるのもムベなるかな。
さりながら、私はゲンや中沢選手と共に、静かにこの世から消え去りたいと希むひとりである。
この国も私も壊れているためにテレビが壊れ洗濯機も壊れる 蝶人