中沢啓治「はだしのゲン第5巻」を読んで
中沢啓治「はだしのゲン第5巻」を読んで
照る日曇る日 第1875回
「はだしのゲン」を排斥しようとする勢力が問題視するのは、「左巻きのバカ」とかの所謂差別用語、天皇の戦争責任追及、金満家勢力による戦争起因論の展開、一貫した反米主義的発言の吐露や記述などよるものだろう。
古典的左翼がほぼ壊滅し、右翼とファシスト、無節操なオポチュニスト全盛の現在からみれば、こうした中沢選手の考え方が奇異かつ偏向と映る事情は理解できるが、敗戦直後の我が国人の常識が、まさしくここに描かれた通りであったからこそ、本シリーズは歴史的ドキュメントとしても貴重な存在なのである。
熱しやすく冷めやすきかな君の頬桜交じりの雨降りしきる 蝶人