あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

ハルメル・ファン・ヅトラーテン絵と文・野坂悦子訳「エルフのぞうのしょうぼうし」を読んで

2018-11-13 15:14:10 | Weblog


照る日曇る日 第1162回






いつも間抜けで、ドジで、みんなから鼻つまみ者のゾウの消防士、エルフだったが、思わぬことで消防署の火事を未然に防ぐことができ、やっとこさっとこ居場所が出来た。

どうしようもない奴と村八分に遭っていた者に居場所が見つかる。

これほど喜ばしいことは他にはないのです。



  皇族の誰かがテニスを見物しそれがニュースとなる不可思議 蝶人


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新潮日本古典集成新装版・井原西鶴「世間胸算用」を読んで 

2018-11-12 15:17:56 | Weblog


照る日曇る日 第1161回


元禄6年8月、52歳の若さ(いま思えば)で浪速に没した井原西鶴の遺著。大晦日の年越しが思うにまかせぬ京、大坂、奈良、江戸の町人たちの右往左往が切実に描かれるかと思えば、近世資本主義のバブルを謳歌する成金大家たちの至福極楽の映像も挿入され、世は世ながら、人も人ながらの現世の清濁併せのむ奔流をあの名人芸のスタッカートで描破している。

  錦織がフェデラーに勝つた月曜日けふは何かいいことあるかも 蝶人
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特別展「鎌倉国宝館1937-1945展」をみて

2018-11-11 13:38:56 | Weblog


蝶人物見遊山記第294回

「戦時下の博物館と守り抜かれた名宝」と副題された開館90周年記念のコレクションです。

鎌倉は幸いにも米軍の空襲に遭わなかったのでじたばたせずとも「名宝」は護持されたわけですが、当時はそんなこととは夢にも思わないから、市長はじめ関係者たちが右往左往していたことが展示された書類を見ると分かります。

それより戦時中は、戦意高揚のための「元寇展」などを勇躍開催していたようなので、いささか微苦笑を誘うのですが、いや待てよ、このテーマはもしかすると本展の担当者が、私と同様に「今は戦前で間もなく戦争がやって来る」という瞬敏なる時代認識を抱懐しているからかも知れん、と思い当り、「さすが鎌倉国宝館の館長!」と、「いいね印」を3ヶ程送ってやりたくなりました。

しゃあけんど、その割には会場はふだんとあまり変わりがなかったのですが、強いていうならく常楽寺の本尊「文殊菩薩坐像」と東慶寺の「水月観音菩薩座像」、それと円覚寺の「北条時宗書状」が図抜けて面白かったのです。

なお本展は来る12月2日まで同館にて開催中。

           時宗の書跡拙し国宝館 蝶人


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柿本幸造絵・蔵富千鶴子文「どんくまさんの らっぱ」を読んで

2018-11-10 13:36:23 | Weblog


照る日曇る日 第1160回

どんくまさんシリーズの第4作です。どんくまさんがサーカスの入ってラッパを吹きたいと思うのですが、なかなかうまくいかない。やまに入って練習して上手になって、来年こそはサーカスで拍手喝采してもらおう、というところで終わるのですが、ちとシナリオに無理があります。でもそこを柿本幸造選手の絵が救っています。


特報!11月11日まで吉祥寺美術館にて柿本幸造展開催中!
http://www.musashino-culture.or.jp/a_museum/exhibitioninfo/index.html

   アメリカの中間選挙を株式の儲けと損から論じる男 蝶人
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新美南吉作・柿本幸造絵「てぶくろをかいに」を読んで 

2018-11-09 13:54:40 | Weblog


照る日曇る日 第1159回


29歳の若さで夭折した新美南吉のテクストを、わが地元が誇る童画作家が圧倒的な幻想美の挿絵で独自な抒情世界を創造している。

結果的に優しい帽子屋さんと出会えたために、コギツネは首尾よく手袋を手にいれることができて良かったが、これはやはり母キツネが街まで買いにいくべきではなかったろうか。可愛い子には旅をさせよ、を地でいったにしてはリスクが大きすぎる。

それと絵を見て思ったことは、コギツネにはタビか靴下も要るのではないだろうか?


○特報!11月11日まで吉祥寺美術館にて柿本幸造展開催中!
http://www.musashino-culture.or.jp/a_museum/exhibitioninfo/index.html


      死に死にてまた次々に現れるギネス候補最高齢者 蝶人

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西暦2018年「夢は第2の人生である」改め「夢は五臓の疲れである」 第65回 

2018-11-08 13:57:35 | Weblog


西暦2018年卯月蝶人酔生夢死幾百夜


オペラ歌手の「大声コンテスト」に応募した私が、天井からぶら下がった、道成寺の鐘の下で、大音声を発すると、さしもの大鐘も、めりめりとひび割れてしまった。4/1

小学館のシマモト選手の案内で、珍しい古本屋や趣味の店を巡り歩いてから、杉並区に入ると、区民会館で杉並映画会のおばはんが、長々しい宣伝を続けているので、老舗の杉並シネクラブのスタッフが、とてもしらけていた。4/1

「せっかくだから、ゆっくりしていきなさい」と、言われるがままに、親戚の家で寛いでいたら、いつのまにか大広間で大伯母の18番の皮田踊りが始まった。能のように悠々と舞っているので、身動きもならず。ましてや逃げ出すこともかなわない。4/2

記者会見で「これから銀行は、銀行以外の機能が必要になる」と見得を切ったアソウは、「例えば」と言うたなり、後が続かず、永遠の長考に沈んだ。4/3

「おえめのようないかさま渡世人は、ここからとっとと出てゆけ。おれの目の黒いうちは、おめえのような極悪もんの勝手はさせねえから、そう思え」と、カタオカ・チエゾウは、凄んだ。4/4

うっかり座席に荷物を置いたまま、バスから降りたが、そこは私が降りるべき駅ではなかった。急いでバスを追いかけて、2駅目でようやく追いついたのだが、どこへ消えたか荷物はどこにもなかった。4/5

眠れないので、脳味噌の中に潜り込んだら、脳天に真っ白なサソリどもが蠢いているので、恐ろしくなった。これは、本当に私の脳なのだろうか?4/6

「田を耕し、己を耕し、世を耕す人となれ」と念じて、私は息子を耕と命名した。4/7

本邦初の南極探検に応募して、晴れて合格した私たちだったが、宿舎で待てど暮らせど、探検船は現れず、私らは、朝な夕なに水平線を見つめて日を送っていた。4/8

バナナボートに乗り込むと、バナナ娘が「デーオ、イデデエオ、イデデイデデイデデーオ、アンミソタリマンタリババナあ」と唄ったので、「そんなバナナ」と驚きつつも、船の中の美味しいバナナを食べ続けた。4/9

巴里滞在中に私が作った切り絵の鳥は、アルジェの展示会で、生きた青い鳥となって会場内をはばたき、やがて玉のように美しい娘となった。4/10

我が家に遊びに来たヒーちゃんは、「ちょっとごめんなさいね」というて、床の下に潜り込み、深い穴を掘って、妙な石を見つけたが、「はい、この悪い石を取り除いたので、もう大丈夫。これからは幸せが舞い込んできますよ」と予言して去っていった。4/11

お偉いサンの接待を仰せつかったのだが、なにをどうやっても気に入ってもらえないので、意気消沈する。いかに多くの人々が、嫌で嫌で仕方のない仕事をしながら生計を立てていることか。それを思うと暗然とする。4/12

いつもの退屈なNHKの定時ニュースの声が突如搔き消えて、「臨時ニュースを申し上げます。私らは、唯今本局を乗っ取った叛旗グループです。これからは公共放送にふさわしい正義の情報だけをお伝えしたいと思います」というアナウンスがあった。4/13

去年の夏、南の無人島に遊びに行ったタカヤマさんは、あれからずっと海水浴を楽しんでいる、という噂を聞いた。うらやましいなあ。4/14

人里離れた深山幽谷の岩窟に居を構えていた老師は、ますます歳をとって力衰え、いまや急速に迫りくる死に瀕していたが、唯一の友人である蝮が棲息する平らな岩の上に横たわって、安らかに眠り続けていた。4/15

モスクワ空港の免税店で、しこたまアルメニア特産のコニャクを買い込んだマッサンは、そいつをガブ飲みしながら、エコノミーの狭い座席で朗々とチェロを奏でるので、乗客は煩くて煩くて一睡もできなかった。4/16

打ち合わせのためにホテルに戻ると、アカシヤサンマがぶるぶる震えている。「このホテルにはかけ流しの温泉があるから、ちょっと体を温めたらどうだ」、と勧めたが、「どうにも気分が悪いからこのまま寝たいんや」といって、眠りこんでしまった。4/17

放射能にまだ汚染されていない人たちは、まだ地下壕に潜んでいたのだが、ある朝、彼らの顔の上を、何千何万というカマキリの子供が、ワッセワッセと歩いていった。4/18

今年のパリコレの話題を独占したのは、ベルギーの新ブランド「ランボオ&ヴェルレーヌ」による「パリ・コンミューンを遠く離れて」をテーマにした、疑似革命的なふぁっちょんであった。4/19

ランボオとヴェルレーヌを主人公にした「パリ・コンミューンを遠く離れて」という小説を書いたフマモトヒコ氏は、ついに念願の芥川賞を受賞したのだが、それを祝うはずの同窓生の多くが幽明境を異にしていた。4/19

「らっしゃあーい、美味しい水だよ。これをスピーカーに注ぐと、抜群にいい音が出るよ!」と、その香具師はペットボトルに入れた怪しい水を売りつけようとするのだが、誰も立ち止まらなかった。4/20

シルヴィー・バルタンのコンサートにやってきたお客さんは、バルタンならぬバルタン星人のような八代亜紀が、いきなり「新宿の女」を歌いだしたので、怒り狂って舞台に殺到した。4/21

コータロー氏を誘って教会まで来たのだが、いつのまのかいなくなってしまった。厳かなバッハの音楽が聞こえてきたので、もしかすると礼拝に参加しているのかもしれない。ナカノ一家もいたが、さてどうしたものか。4/22

ドケチな私は、ケータイの使用料を、なんとか自分のスポンサーに払わせようと、いぢましい苦労を、積み重ねていた。4/23

カマクラの町内会に、お隣のズシの市民が乱入してきて、勝手なことを言い始めたので、町内会長は、どうやってこの場を収集したらいいのか、途方に暮れています。4/25

丑三つ時になると、ほんとうに草木が眠っているのかを確かめるために、私は、時々森の中に入っていった。4/26

「キリノという男について、なにか知っていることはないか?」と駐在から問い合わせがあったので、「蕎麦を手打ちするのが趣味で、バハマの桃色の砂浜でジープを運転する男」と答えると、フーンというて引き上げていった。4/27

地下鉄東西線に乗ったら、2人の男が押しくら饅頭をしていたが、次の駅で乗ってきた男も加わって、3人で楽しそうに押しくら饅頭をしている。4/27

大人になってから、また寺子屋で学びはじめたのだが、読み書き算盤のうち、算盤だけは大の苦手で、昔と同じ12級のままだった。4/28

「○○」の役割は、ほんとうに難しい。半世紀の時間の経過に磨かれて、私はようやくなんとでもできるようになったのだが。4/29

私の長年の病気は、某病院の最新式の治療と手厚い看護のおかげで、ついに完治したのであった。4/30

   我が国の祭りにあらざるハロウィンを諸人こぞりてカボチャで祝う 蝶人
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大友克洋作「AKIRA」を読んで 

2018-11-07 16:36:31 | Weblog


照る日曇る日 第1156、57、58回

1)大友克洋作「AKIRA4ケイ」
核爆発の後の東京に「大東京帝国」が誕生した。考えてみればこの作品の舞台ははじめから東京で、日本国ぜんたいという視座に欠けているのはなぜだろう。通算4冊目にして今や戦闘女子と化した「ケイ」がメーンタイトルに浮上した理由もよく分からない。おそらく作者には全6部作の全体構想などはなから無くてその場その場の思い付きだけで展開しているからだろう。初版の末尾には「製作期間、実に5年有余、驚天動地の超大型SF漫画 次巻、堂々完結!!」と予告されているが、実際には5巻では完結しなかったのがその証拠である。

2)大友克洋作「AKIRA5ケイⅡ」
米帝艦隊が東京湾を目指すわ、鉄雄が月のどてっぱらに風穴開けるわ、大東京帝国が総決起集会を開くは、鉄雄が空母や戦闘機と有無機一体化するは、それに対抗してケイが方代になって反大東京帝国勢力を有無機一体化するは、どこまで行っても終りが見えない展開であるが、大友選手よこれで大丈夫なのか?

3)大友克洋作「AKIRA6金田」
なにがにやあんとしてなんとやらあ。いったいなんだったんだこの漫画は。大山鳴動してなにも残らず。漫画の基本の「カット割り」からやり直して頂戴。

「反原発」封じて外相になれる人いずくにありや政治家の信 蝶人
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家族の肖像~親子の対話その38

2018-11-06 16:43:32 | Weblog

ある晴れた日に 


お母さん、圧倒的って、なに?
ものすごい、ってことよ。

お母さん、魂ってなに?
心の中にあるものよ。

お父さん、ぼく、セゴどん好きですお。
お父さんも好きだよ。
セゴどん、セゴどん、セゴどん

エレベーター、扉に触れたらいたいでしょ?
そうだね。
エレベーター、下がって扉に触れないようにします。
そうしようね。

ひたい、オデコでしょ?
そうだよ。

果てしないって、なに?
どこまでも、いっぱい続いていくことよ。

しまった、って失敗したことでしょ。
そうだよ。
しまったあ。

ぼく、この音楽、好きですお。
えっ、都はるみの「北の宿から」だよ。
ぼく、「北の宿から」好きですお。

ぼく、この音楽好きですお。
え、「北酒場」だよ。
ぼく、「北酒場」好きですお。

お母さん、ぼく、回り道すきだお。
そう、お母さんも。

自信なくしちゃだめでしょ。
そうだよ。自信なくしちゃだめだよ。

お母さん、ことしジュンサイ買ってね。
買いましょうね。
お父さん、ハスはジュンサイに似てるでしょ?
似てるね。

お母さん、いきおいってなに?
早いことよ。

お父さん、ぼく、ソナタ好きですよ
じゃあ、ソナタ弾いてよ。
嫌ですお。

お母さん、スポンサーって、なに?
お金を出す人よ。

ユウちゃん、なんで泣いたの? しんどいからでしょ?
そうね。

ぼく、キャップ、好きですお。
キャップ、ふたでしょ?
そうだよ。

ぼく、キャップの仕事やります!
あんまり頑張り過ぎないでね。
はい、分かりました。

とっておきって、なに
とても大事にしているものよ

「わろてんか」、好きですよ。
そうなの。
しりとりしよ。わろてんか
か、か、かりんとう。

それから、ってなに?
そのあと、だよ。

震え上がるの、嫌だお。
そう。お父さんも。耕君、震えあがったの?
おれ、震えあがったよ。
って、誰が言ったの?
スネオだお。

お父さん、わかちあうって、なに?
分け合うことだよ。

台なしって、なに?
なにもかも、むちゃくちゃになることよ。

関係って、なに?
こっちとこっちの間のことよ。

メイサ、怒っちゃったよ。
なんて怒ったの?
「オトナ高校」で「このクソジジイ」って。

お母さん、要望って、なに?
お願いすることですよ。
ヨーボー、ヨーボー。

自信無くしちゃ、ダメでしょう?
そうよ。

わたしオダカズマサです。
こんにちはオダカズマサさん。
お母さん、オダカズマサ印刷して。

お母さん、ぼく「おんめさま」すきですお。
そう、お母さんも。

これヤブコウジですか?
これはヤブコウジじゃなくて千両
ぼく千両万両すきですお。
お母さんもよ。
ヤブコウジ、どこにあるの?
玄関の外よ。
ぼくヤブコウジ好きですお。
ヤブコウジ、いいよね。

お父さん、ムは無理のムでしょ?
そうだね。

箱根登山鉄道、山に向って登りますよ。
そうだね。

お父さん、ハズレってなに?
当たらないことだよ。

ぼく、ニワトコ好きです。お母さん、ニワトコ、ない?
ないの。昔庭にあったんだけどね。

ぼく、ウラジロ好きですよ。
お父さんも。

ひとめぼれ、一目で好きになることでしょ?
そうだよ。

 そのかみは知恵遅れまた最近は発達障害などと呼ばれる自閉症の息子 蝶人
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西暦2018年神無月蝶人花鳥風月狂歌三昧

2018-11-05 14:01:30 | Weblog


ある晴れた日に 第531回


国難をみずから招く宰相が国難突破とラッパ吹く秋 

夢の中突如数字が浮かび出る辞めた会社の電話番号

コジュケイよそんなに呼ぶのはやめて今はちょっと付き合えないんだ

雑草を食べながらでもミサイルを北朝鮮は作り続ける

「先生も鉄砲を持て」と大統領学校すなわちOK牧場

これでもかこれでもかと追悼し来週からは忘れてしまうテレビ局

ブルージェイズ首になりしあと公園で練習していた大リーガー青木がメッツに入団猛打賞

ナチス大好きの副総理てふきちがいが選挙大好ききちがいをきちがいとぞいふ

松平夫人の旧姓は日高さんなりき日高さんに会いたし

憂鬱な生の外縁を彩れるキベリタテハよいまし飛び立つ

戦争を知らない者を戦争へ戦争を知らない者が導いていく

まずいとは口が裂けても言えないのでウマイ、ウマイと叫ぶタレント

ティンパニーが叩き出したらお手上げだどんな指揮者も止められません

100年の知己のごとく親しげにわが名を呼びつつ売り込む電話

3横綱に栃ノ心まで休場し荒れにぞ荒れる名古屋場所かな

この夏はことのほか暑かったから有名人が大勢死んだ

3万の陸軍兵が脚気で死んだ森鴎外にも責任がある

平成が失ったもの萬鉄五郎の「裸体美人」の萌える腋毛

ほんとうにどうでもいいことを朝から晩まで騒ぎ立てるテレビ

不倫じゃあ不倫じゃ不倫じゃ不倫じゃと眼の色変えて騒ぐミヤネ屋

今日もまた「個人的な感想」で満ち溢れているテレビ広告

57577の枠に収まらず575の俳句ができる

テレビでは「2度目のハワイ」をやっている一度も行ったことなどないのに

戯れに死者の名で呼ぶ蛍かな

指一本で世界を動かす男かな

圧力をいつまで掛けるか問い合わせ

春の夜記憶の限り嘘をつく

我が罪は天知る地知る我も知る

生きたまま切り殺されることもある歯に衣きせずにもの言いおれば

息子からメールが入り気がつきぬ今日は私の誕生日なりき

この頃はちょっと困るととりあえず第三者委員会に丸投げするなり

売り出しの若手指揮者の演奏の口直しに聴くフルトヴェングラーの9番

できるだけ抑えようとはしているが好き嫌いが出る黒柳徹子

引退かまだ選手なのかイチローは球団会長付特別補佐

いつの間にか長く伸びたる爪を切るけっして我を見捨てぬ爪よ

陸軍の兵士のように一列の縦隊組みて行進するハヤ

大谷の継ぎの投手が1点を守り切れずに白星逃す

次々に魑魅魍魎が現れて平成の世も暮れてゆくなり

ああまたかお偉いサンが鴈首を揃えて頭をしばらく下げる

横須賀のヴィルニー公園のバラ園でマリア・カラスが次々歌う

時折は墜ちるものとは知りながら素知らぬ顔して飛行機に乗る

仕出かした所業に自信のない時は「しっかりしっかり」と自分を励ます

今日だけはボストンで勝った川内の笑顔だけ映せよテレビ

木の枝はムナーリさんが言うとおりどこまで伸びても二枝になる

描けども描けども絵が売れない息子そこのところはゴッホに似てる

一人なら集団で神社に参る人ありてこれは宗教的祭事

我らみな懸命に生き急ぎおる裏を返せば死に急ぐなり



    無投票にて再選される市長多しさぞや立派な市長ならむ 蝶人
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すべての言葉は通り過ぎてゆく 第62回 

2018-11-04 14:05:27 | Weblog


蝶人狂言綺語輯&バガテル―そんな私のここだけの話op.299



いち早く朝日新聞がデニー当確を出してから、各社がそれに続くまでの時間の長かったこと。あれはデニーには勝たせたくない、なんとかして自公候補が巻き返せないか、とそれだけを念じていたずらに待っていたんだね。10/1

子どもの涙はけっしておとなの涙より小さいものではなく、おとなの涙より重いことだって珍しくありません。みなさん、私たちは何も不必要に涙もろくなろうとは思いません。私はただつらい時でも正直でなければ「ならないというのです。ケストナー「飛ぶ教室」10/2

女性活躍社会!?とやらを謳う安倍蚤糞内閣の紅一点は、ケタクソ悪い片山さつき選手。以前の丸川、稲田、上川もロクでもない奴ばかり。ほんとに趣味が悪いずら。全員女性でも構わないが、女なら誰でもいいというものではない。10/3

渡辺謙と菊川怜が出る「ハズキルーペ」のパワハラ&セクハラCMがようやく終わったと思った羅、今度は今度は武井咲、小泉孝太郎、舘ひろしという面妖な面子による新シリーズが始まり、相変わらず尻の下に拡大鏡を置いて悶えている。馬鹿メ―カーによる阿呆莫迦CMずら。10/4

明治34年1月5日 此の煤烟中に住む人間が何故美しきや解し難し思うに全く気候の為ならん太陽の光薄き為ならん、往来にて向うから背の低き妙なきたなき奴が来たと思えば我姿の鏡にうつりしなり、我々の黄なるは当地(倫敦)に来て初めて成程と合点するなり。夏目漱石日記2 10/5

明治34年1月27日 日 大風 夜下宿の三階にてつくづく日本の前途を考う。日本は真面目ならざるべからず。日本人の眼はより大ならざるべからず。夏目漱石日記2 10/6

NHK衛星で「アランドロン・ラストインタビュー」をみたが、全体的にはどうということもないスカスカの内容だった。ところでこの人、ちょっとした思い出話や感想を述べる度に、「ほらほら、どうだい」と言わんばかりに必ず「voila、voila」と付け加えるのだが、なんだかお里が知れるようで哀れだった。10/7

1983年に制作した婦人服「アデンダ」のテレビCMで、「近田春夫とビブラトーンズ」の「AOR大歓迎」を使ったのだが、あれは確かにAORではあるけれど、どちらかというとラップロックのたぐいであり、サビの箇所などは後に大流行するラップの先駆けではなかっただろうか。10/8

米国の最高裁で保守派が多数派になったそうだが、わが最高裁も、いつのまにやら安倍蚤糞に盲目的に加担する保守派揃いになってしまったようだ。10/9

小池都知事は嫌いだが、東京都美術館に行くと年寄りは1000円で入場できるのに、私の大嫌いな安倍蚤糞がアンダー・コントロールする国立美術館は、なんで1600円もむしり取るのか? 本来こういう公共機関は無料にするべきではないだろうか。10/10

明治34年3月12日 火 西洋人は執濃いことがすきだ華麗なるなことがすきだ 芝居を観ても分かる食物を見ても分かる建築及飾粧を見ても分かる夫婦間の接吻や抱き合うことを見ても分かる、是が皆文学に返照している。夏目漱石日記2 10/11

明治34年3月14日 木 きたない町を通ったら目暗が「オルガン」を弾いてイタリア人が「バイオリン」を鼓しているとその傍に4歳ばかりの女の子が真っ赤な着物を着て真っ赤な頭巾をつけて音楽に合わせて踊っていた。夏目漱石日記2 10/12

明治34年3月18日 月 吾人の眠る間吾人の働く間吾人が行屎送尿の裡に地球は回転しつつあるなり。吾人に知らぬ間に回転しつつある、ある運命の車はこれと共に回転すつつあるなり。知らざる者は危うし。知る者は運命を形くるを得べし。夏目漱石日記2 10/13

球団社長補佐だか特別コーチだか知らないが、結局マリナーズのイチローは、選手としての残り少ない貴重な1年を、棒に振ったことになる。我々は、プレイする彼の姿だけを見たいのだ。10/14

我々はポットデの田舎者のアンポンタンの山家猿のチンチクリンの不可思議な人間であるから西洋人から馬鹿にされるは尤もだ。しかのみならず彼らは日本のことは知らない。日本のことに興味を持っておらぬゆえに我々が西洋人に知られ尊敬される資格があっても尊重とか恋愛とかいうことは両方の間に成立しない。漱石日記10/15

普通の人間のフワフワなること。行動、言語、志操一貫せず。ゆえなく変化す。とっさの際には修養の効果いずれにか飛び去る。明治34年断片11 夏目漱石 10/16

ta, ta,ta,la,la,la tala,tala,li hanatalali talali talali y-a-a-a-a-a-i-i-i! 是西洋の真言秘密の呪符なりこれを唱ふること三遍なれば博士になること請け合い蓋し真意義に至っては未だ何びともこれを明め得たるものなし。之を訳す。多々々羅々々 多羅々々利、波奈多羅利 多羅利々々々、耶阿々々々矣々矣 明治37,8年頃断片19F 夏目漱石 10/17

来年10月の消費税導入によって個人消費は激減し、日本経済は腰折れ状態になるだろう。そしてようやくその時になってから、この国の一般大衆は、安倍蚤糞以外の政権選択について、初めて考えるようになるのだろう。10/18

公文書の書き換え、免震装置のデータ書き換えが相次いでいる。昔の武士なら切腹したろうが、いまどきの政治家も商人も、「申し訳ございません」と口先だけ謝ればそれで済むと思っている。10/19

吾は日本の人なり。天下の民なり。日本を挙げて吾を容れずんば天下に行かん。天下を挙げて吾を容れずんば天下を去らん。天下を去るは己を屈して天下に容れらるるの恥に優る。
明治38,9年断片32D 夏目漱石 10/20

「ノヴァの思いが皆様のお耳に響きますように!」なんて喋るの、恥ずかしくない? お前さんに聞いてるんだよ、金子三勇士。10/21

善人は必ず負ける。君子は必ず負ける。徳義心のあるものは必ず負ける。清廉の士は必ず負ける。醜を忌み悪を避ける者は必ず負ける。礼儀作法、人倫五条を重んずるものは必ず負ける。勝と勝たぬとは善悪、邪正、当否の問題ではない――powerである――willである。夏目漱石 明治38,9年断片断片33 10/22

トランプ一辺倒ではやばいのでそのライヴァルの方へちょっと色眼鏡を使ってみました。というわけだが対ロ、対北朝鮮になんの外交手腕を示せない安倍蚤糞にはかなりの無理筋だろうて。10/25

今年の大リーグのワールドシリーズ決戦はボストン対LA。どちらも好きなチームなのでどっちが勝ってもいいが、私の大好きなジョー・マッドン監督のシカゴが早々と姿を消してしまったのが残念。それにしてもシリーズと無縁のイチローは可哀想ずら。10/26

NHKの体制擁護報道に比べて、同じ局のBS1の海外ドキュメンタリー番組は、いずれも出色の出来栄え。私はサウジがとんでもない専制独裁人民抑圧国家であることも、その潜入ルポルタージュで知った。「NYタイムズの100日間」も良かった。10/27

どんな阿呆莫迦邦人が、政府の警告を無視して、どんな危険な国や地域に出かけて狂乱の限りを尽し、殺害、負傷、誘拐、拉致、拘束されても、政府はその邦人の奪還と安全確保に全力を尽くさなければならない。政府と民草の関係はそういうものだ。10/28
トランプ大統領が大リーグのドジャースのロバーツ監督の采配に文句を言うた。内容は異なるが、私も賛成。世界一の狂人と見解が一致したのは、おそらくこれが最初にして最後であろう。しかしこの男、意外とヒマなんだな。10/29

3年連続で沢村賞を受賞した菅野投手は29歳だが、いま国内外で活躍する日本人投手ちゅうで断トツ、ナンバーワン。田中、前田、ダルなんてめじゃなと思うのだが、なんで大リーグに行かないのか。巨人なんかにいると文字通りの虚人になっちまうぜ。10/30

NHK-BSの「刑事モース~オックスフォード事件簿」が終わってしまった。これでショーン・エヴァンスやロジャー・アラムとお別れだと思うとまことに寂しい。続編にあたる「モース警部」なんかやめて、オックスフォードの続編を作ってくれ。それまで同じ英国ドラマの「ダウントン・アビー」で我慢するか。10/31



 純正日本及び日本人急速に滅びつつあり絶滅危惧種ギフチョウより疾く 蝶人
 

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なにゆえに第57回~西暦2018年神無月蝶人花鳥風月狂歌三昧

2018-11-03 14:07:18 | Weblog


ある晴れた日に 第530回



なにゆえに我が襤褸家は潰れなかった神や仏のご加護があった

なにゆえに井筒監督は「ワイド!スクランブル」を外されたテレ朝幹部が右翼ゆえ

なにゆえに女性閣僚をどんどん減らす安倍蚤糞は女性無視内閣

なにゆえに伊豆大島まで1時間で行ける水の上飛ぶジェット船ゆえ

なにゆえにNHKは柴山文科相の教育勅語発言を追及しないこなくそ自民党広報め

なにゆえに我が家の朝顔は全滅す台風が潮風を運んできた

なにゆえに全員野球に話を逸らす安倍内閣は日本会議内閣

なにゆえに麻生太郎を続投させる祖父や伯父の名前を穢す

なにゆえに錦織はここぞという時に負けちまうそれはやっぱり弱いからだ

なにゆえにヘイリーはんは国連大使を辞める孤立無援&疲労困憊

なにゆえに阪神は金本を続投させる恐らく来年も最下位だろう

なにゆえに1億675万円もらえるのわしらにも一時金を寄越せ

なにゆえに安倍蚤糞に拝跪する理想も思想も失いし民

なにゆえに阿呆莫迦男に一喜一憂世界はトランプ一人のものではない

なにゆえに政治思想は恐ろしい仲良しこよしも敵となる

なにゆえにお前もすぐに辞めないのか「いずれはみんな辞めていく」なら

なにゆえに消費税を上げんとすそれがお前の命取りになる

なにゆえにテーブルの上の人間を生きたまま切り殺して捨て去る

なにゆえに軍事費だけは青天井社会福祉はどんどん減らして

なにゆえにはなから民意を切り捨てる為政者の資格まるでなし

なにゆえに核競争に火をつける半世紀前に逆戻りだぞ

なにゆえにスーツ&ネクタイで唄っていた80年代のロバート・パーマー

なにゆえに大坂選手は負けがこむ全米オープンでほぼ燃え尽きた

なにゆえにODAで中国に恩を着せる40年でたった3兆じゃないか

なにゆえにフェルメールの良さに気付かなかったしっかり実物を見なかった

なにゆえに滑川の緑を削り取るカモや蝶は泣いておるぞ

なにゆえにユーコープ上郷店はガラガラ頼むから消えないでおくれ

なにゆえに橋本大三郎は消え去った「ワイドスクランブル」は寂しくなった

なにゆえにハロウィンで渋谷で騒ぐ年に1度は暴発したい



  見るたびに嫌な感じになるCM チャンネル切り替えまた見てしまう 蝶人

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西暦2018年神無月蝶人花鳥風月狂歌三昧 

2018-11-02 17:03:15 | Weblog


ある晴れた日に 第529回



この世では絶対的にあり得ない「完全かつ最終的な解決」

「トイレのあと洗面台を奇麗にせよ」と芦田淳氏のたまう

右翼とは席を同じうせずという奇妙な悪癖今に残れり

半蔵門の国立劇場のわが指定席は3階12列60番なり

傾ける壺より流る白き滝果てなく落ちて音は聞こえず

Vermeerとはおらっちのことかとフェルメール言い 

1122 2525 2951 9674 願いを込めてナンバープレート

町内のどこいらへんに行ってるの私が廻した回覧板

日曜の朝から草を刈る人のエンジンの音ひたすら煩し

塚本は絢爛豪華なシェヘラザード寺山は恐山に鳴るグリーグの抒情小曲

この節はラフマニノフ的ロマンチストは世界のどこにもいなくなった

地下駅に轟きわたる騒音を我ら黙してひたすら耐えおり 

格下に取りこぼさない人だけをチャンピオンと人は呼ぶなり

今日だけはカチャーシーを踊っていいぞ玉城デニー明日からぐあんばれ

金正恩と恋に落ちたトランプさんけたくそ悪いぞブタブタ同士

北国の緑のベール脱ぎ捨てて大地は猛き姿現す 

全世界をハラハラドキドキさせてやるそれだけがトランプの生甲斐

中原の中也が死んだ病院で今年も健康診断をする

幽冥の境で招くや曼珠沙華

格別の感慨もなく過ぎてゆく昨日と同じ誕生日の今日

おこがましくもジャーナリストを名乗る君 生きながら殺される覚悟はあるか?

この一番というところで負けてしまうそういう人は昔からいた

中国の観光客で一杯だ江ノ電のなか江の島のなか

昼間からライトを点けて走っている法令順守の車たちは

一面の荒れ地に戻りし庭園に餌を求める一羽のヤマバト

予報士が明日は晴れたり曇ったり所によって俄か雨という

「ヘリ空母」いつ空母に化ける変わるのか「いずも」に群がるカメラマンたち

レストランの厨房で働く人々はいつどんなものを食べているのか

うずたかく書斎に積んだ本たちに一指も触れず死んでいくのか

土日には外出しなくなりましたこの街は観光客のもの 



   霹靂は晴天の日にやって来て我ら茫然空仰ぐのみ 蝶人
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絶対、絶対、大丈夫。~西暦2018年11月の歌*

2018-11-01 16:01:22 | Weblog


これでも詩かよ 第248回



過激派に、誘拐されても、大丈夫?
大丈夫、身代金払ってくれるから、大丈夫。
絶対、絶対、大丈夫。

サウジアラビア、ムハンマド皇太子で、大丈夫?
大丈夫、二度と人間輪切りはしないから、大丈夫。
絶対、絶対、大丈夫。

トランプさん、気が狂ってるけど、大丈夫?
大丈夫、再選ないから、大丈夫。
絶対、絶対、大丈夫。

安倍首相、憲法改悪、大丈夫?
大丈夫、3年で消えるから、大丈夫。
絶対、絶対、大丈夫。

東京スカイツリー、今度の地震で、大丈夫?
大丈夫、倒れても即再建するから、大丈夫。
絶対、絶対、大丈夫。

ニッポンと、ニッポン人、大丈夫?
大丈夫、まもなく滅びるから、大丈夫。
絶対、絶対、大丈夫。

ササキマコトさん、大丈夫?
大丈夫、死んでも死んでも蘇るから、大丈夫。
絶対、絶対、大丈夫。



*2018年9月12日附朝日新聞朝刊に掲載された「後藤正文の朝からロック」の「絶対、大丈夫」に触発された作品です。
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