あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

ポール・オースター著・柴田元幸訳「サンセット・パーク」を読んで

2020-04-15 13:44:33 | Weblog


照る日曇る日 第1386回

2010年に刊行されたご存じオースターのニューヨークもの。1947年生まれの作家であるが、乱暴に言うと毎年1冊くらいのペースで着実に秀作を積み上げている。

どれをとっても駄作がなく、時代閉塞の現代に生きる人間の切実な同時性がひりひりと感じられ、読み始まるや否や、あっという間に懐かしい「オースター時空」に引きずり込まれてしまう。「ノーベル取り」レースでは村上春樹の強力なライヴァルだろう。

中身を説明するような愚は避けたいので、気になったことだけを2、3メモしておこう。

物語の引き金は、ほんのちょっとしたことで、兄が弟を死に至らしめたこと。それが兄である主人公のその後の運命を決定づけてしまうのだが、私にもひとつ間違えれば彼と同じ道を辿ってしまう危険が、一度ならず二度まであったなあと、読みながら冷汗が出た。人はいつでも人を殺すし、人から殺されてしまうのである。

主人公が年下の魅力的な少女と、これまた運命的!な出会いをするきっかけは、公園で見知らぬ2人が偶然フィッツジェラルドの「グレート・ギャッツビー」を読んでいたからなのだが、これと同じ出会い方を書いた作家がどこかにいたなあと思い出してみると、村上春樹の「東洋奇譚集」の「偶然の旅人」なのだった。

但し村上春樹では「グレート・ギャッツビー」より渋いディッケンズの「荒涼館」であり、「偶然の旅人」の初出は2005年3月だから、オースターに5年先んじているので、アイデア競争ではわが村上選手に軍配が上がりそうだが、そんな優劣談義はともかく、これ自体が割と下らないプロットであることを示していて、もっと探せば東西の先例がいくつかあるだろう。

それから、登場人物の一人が文科系の大学生でウィリアム・ワイラー監督の1946年の名作「我等が生涯最良の年」の研究をしているという筋書きになっているので、小説の記述を参考にしながら見直してみて、なかなか面白かった。

とりわけラストの結婚式で、新郎新婦を手前にキープしながら、左手奥の新しいカップルを緊迫感を伴って見事にフォーカスする、名人グラッド・トーランドのキャメラワークに息を呑んだ。

が、オースターの関心はどんどん脇道に逸れ、最高に美しいヴァンプ、ヴァージニア・メイヨの浮気相手のスティーヴ・コクランの逸話に辿り着く。

本作に出演後、次第に落ち目になったコクランは、48歳の時、14歳から25歳までの若い女性をヨットに乗せて、心機一転コスタリカを目指したが、途中で重度の肺感染症(さしずめ旧型コロナウイルスか?)を患って急死し、その腐乱死体は、航海術に無知な美女と共に10日間海を漂っていたという。

 年毎に自閉症の君が好きになる無能で無力で無垢なる君が 蝶人

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夫馬基彦著「美しき月曜日の人々」を読んで

2020-04-14 14:42:51 | Weblog
照る日曇る日 第1385回

昔から絵が好きだった作家による美術関連短編集なり。画廊で展覧会を開くとその初日にオープニングパーテーを開くので、この小粋なタイトルがつけられたのだろう。遥かな昔、彼が小原流の機関誌に連載していた全国の美術館巡りのエッセイも、力の籠ったものだった。

さて本書の冒頭「ブリキの男爵」に登場するのは、最近亡くなったばかりの秋山祐徳太子であるが、以下、平出斉(この人は知らない)などの男女の画家やパフォーマーや画廊主、作家である。

いずれも美術関係者であり、そのいずれもが著者の友人知己をモデルにしたと思しく、登場人物の人柄がくっきりと浮かび上がるように、愛情とユーモアをもって肌理細かく描かれ、文壇がなんでこの秀才に芥川賞を与えなかったのかと腹立たしい。

また正統的な私小説?しか書けないといわれていたこの作家が、本作では女性を主人公にした老練な「をんな語り」を披露しているのも興味深い。

小諸なる古城のほとりで悠々自適の作家ではあるが、同級の井出隆選手こそ鬼籍に入ったとはいえ、直木賞作家高橋義夫、美術史家鈴木杜幾子選手が健筆を揮っている現在、超ヴェテラン作家の捲土重来、一大奮起に期待したいものである。

   口と歯の間柄ゆえ善きことも悪しきこともすぐに伝わる 蝶人


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関川夏央&谷口ジロー作「『坊っちゃん』の時代第4部 明治流星雨」を読んで

2020-04-13 11:44:08 | Weblog
照る日曇る日 第1384回

明治43年5月、世にいう「大逆事件」勃発。元老山縣有朋の極右発条に押された明治政府の首脳たちは、天皇制暗殺を夢想した宮下太吉、菅野須賀子、新村の3名のみならず、その周辺の幸徳秋水をはじめとする事件とは無関係な社会主義者、無政府主義者、反体制者26名を逮捕起訴し、うち24名に死刑判決を下し、12名を実際に殺した。

当時の法律をもってしても死刑に処することはできなかった宮下太吉、菅野須賀子、新村忠雄の3名を死地に追いやったのは、民草の体制批判に怯える元老山縣の強権発動であり、独裁者によるこのような超法規的弾圧は、その後も安倍蚤糞のような後継者によって折に触れて繰り返されているのである。

いずれにせよこの異常な「一罰百戒」が明治以降の日本社会に与えた恐怖と萎縮は圧倒的なものがあり、富国強兵の天皇制国家体制への反逆の道は、長い迂路を辿らざるを得なくなったのである。

本書ではこの「大逆事件」の実相を「目に見えるように」明らかにするとともに、事件が鴎外、啄木、春夫、鉄幹、寒村、荷風、漱石など当時の文学者、主義者などに与えた衝撃についてもリアルに報じている。

   中世にペストが流行りし時に似るや鎌倉街道人影もなし 蝶人
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蝶人卯月邦画劇場「成瀬巳喜男」特集

2020-04-12 13:04:50 | Weblog


闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.2045~53

1)成瀬巳喜男監督の「乙女ごころ三人姉妹」
川端康成の「浅草姉妹」を成瀬巳喜男1935年に初トーキー化。長女を細川ちか子、次女を堤真佐子、三女を梅園竜子が演じるが、すでに満州国をでっちあげて中国との戦争になだれ込んでいた当時の世相や、浅草のレビューのださい衣裳や振り付けを垣間見ることができて興味深い。

2)成瀬巳喜男「女優と詩人」
1935年製作の童謡詩人!と女優のコメデイだが、あまり面白いとはいえないずら。成瀬もいろいろやたんだね。

3)成瀬己喜男「君と行く路」
1936年のモノクロ映画。舞台は鎌倉で当時の鎌倉駅前が出てくる。三宅由岐子作『春愁紀』という作品を元にした若い男女の悲恋物語だが、好きな同士が一緒になれないことをはかなんで、男女とも別々に自殺するという道行には納得できなかったずら。

4)成瀬巳喜男「桃中軒雲右衛門」
1936年の製作。浪花節の名人が芸のためにはすべてを犠牲にして打ち込む物凄い噺。しかし女を作るのは構わないが病気の妻を「普通の女としてではなく芸人としてい死ね」と伝言するだけで一度も見舞わず、死んでから枕元で浪花節を唸るというのはちと不可解ずら。

5)成瀬巳喜男「雪崩」
駆け落ちしてまで一緒になった女が、大人しすぎて気に食わないと離縁を企む男。人間「辛抱だといさめる父親。大仏次郎の原作というが、どうにも生煮えの1937年の駄作。

6)成瀬巳喜男「女人哀想」
不幸な結婚をして都合のよい嫁として使い倒された入江たか子が、ついに堪忍袋の尾を切らして夫に反逆して家を飛び出す。そのカタルシス!1937年の秀作。

7)成瀬巳喜男「鶴八鶴次郎」
1938年の製作で原作は川口松太郎。
山田五十鈴の鶴八は三味線、長谷川一夫の鶴次郎は新内語りの人気コンビのみならず相思相愛の仲。ひとたびは一緒になって座を立ち上げようとするが、その寸前で若気のいたりで話が壊れる。それから2年、再び2人は高座に上がって再起するが、女の幸せを慮る男が2人の絆を自分から断つのであった。成瀬の演出は見事なり。

8)成瀬巳喜男「あらくれ」
1957年の東宝作品。徳田秋声の原作を水木洋子が脚色し、成瀬のメガフォンで高峰秀子がまことに見事な演技をみせる。「浮雲」とは正反対の役柄だが、どんな逆境にあっても自分らしさを失わず逞しく生き続ける女の姿は美しい。

9)成瀬巳喜男「女の歴史」
モーパッサンの「女の一生」を笹原良三が1963年に巧みに脚色。名優高峰秀子が圧倒的な演技をみせる。賀原夏子、仲代達矢、山崎努、加東大介、宝田明などとのアンサンブルも見事。和解を遂げた高峰と星由里子が並んで雨の坂道を登るシーンは忘れがたい。それにしても昔はいい脇役が星の数ほどいた。

    1億が今思うこと一斉に声に出したら物凄いだろう 蝶人

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自由律詩歌その51

2020-04-11 21:58:30 | Weblog
ある晴れた日に第606回

ししししししし
すすすすすすす
せせせせせせせ
そそそそそそそ
たたたたたたた
ちちちちちちち
つつつつつつつ
ててててててて
ととととととと
ななななななな
ににににににに
ぬぬぬぬぬぬぬ
ねねねねねねね
ののののののの
ははははははは
ひひひひひひひ
ふふふふふふふ
へへへへへへへ
ほほほほほほほ
ままままままま
みみみみみみみ
むむむむむむむ
めめめめめめめ
ももももももも
ややややややや
ゆゆゆゆゆゆゆ
よよよよよよよ
ららららららら
りりりりりりり
るるるるるるる
れれれれれれれ
ろろろろろろろ
わわわわわわわ
んんんんんんん

  エッシェンバッハ懸命にタクトを振り回せどまったく乗らないN響 蝶人

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関川夏央&谷口ジロー作「『坊っちゃん』の時代第3部 かの蒼空に」を読んで

2020-04-10 20:25:43 | Weblog


照る日曇る日 第1383回

生意気で自己中で意志薄弱で借金魔で女好きで生活力ゼロの癖に稀代の歌詠みで明治という時代の本質を他の文学者の誰よりも鋭く洞察していた石川啄木は、明治45年4月13日に26歳で夭折した。

彼の「ローマ字日記」を読んだひとは彼を遠い明治の詩人ではなく、コロナウイルス全盛の世に隣のアパートで呻吟する若者のように身近な存在として受け取るに違いない。

啄木は明治41年秋から翌年5月までに16、7回娼婦を買ったが、それをローマ字日記に次のように記す。

「温かい手を握り強い髪の香を嗅ぐと、ただ手を握るばかりでなく、柔らかな温かな真っ白な体を抱きたくなる。しかしその時は、予の心が財布の中の勘定をしている時だ。いな、いかにして誰から金を借りようかと考えている時だ。予の求めたのは体も心も蕩けるような楽しみだ。しかしそれらの女はやや年のいったのも、まだ16くらいのほんの子供なのも、どれだって何百人何千人の男と寝たのばかりだ。男というものには慣れ切っている。なんの刺激も感じない。わずかの金を取って、その陰部をちょっと男に貸すだけだ。それ以外にはなんの意味もない。何千人に描き回されたその陰部には、もう筋肉の収縮作用がなくなっている。緩んでいる。18のマサの肌は、貧乏な年増女のそれかとばかり荒れてガサガサしていた。たった一坪の狭い部屋の中に、明かりもなく異様な肉の臭いがムウッとするほどこもっていた。女は間もなく眠った。予の心はたまらなくイライラしてどうしても眠れない。予は女の股に手を入れて手荒くその陰部を掻きまわした。しまいには5本の指を入れてできるだけ強く押した。女はそれでも目を覚まさぬ。予はますますイライラしてきた。そしていそう強く手を入れた。すいに手は手首まで入った。女はその時目を覚ました。そしていきなり予に抱きついた。「あーあーあー、うれしい。もっと、もっと、もっと、あーあーあー」18にしてすでに普通の刺激ではなんの面白みも感じなくなっている女!予はその手を女の顔にぬたくってやった。そして両手なり足なりを入れて、その陰部を裂いてやりたくなった。裂いてそうして女の死骸の血だらけになって闇の中に横たわっているところを幻になりと見たいと思った。ああ、男にはもっと残酷な仕方によって女を殺す権利がある!なんという恐ろしい嫌なことだろう!」

これはもはや当時の主流の自然派ではなく、人世派のポルノグラフィーでもなく、ましてや漱石、鴎外の高踏派でもなく、それらを遥かに超絶した孤高の地獄派の心言であり古今東西を通じて啄木にしか書けなかった珠玉の数行だろう。

なお本書では啄木は読めもしない洋書を丸善で買って、すぐに古本屋で売り飛ばしたと書かれているが、ドナルードキーンの「石川啄木」では、オスカー・ワイルドの「芸術と道徳」やイプセンの戯曲、ダヌンティオ、メーテルリンク、メリメ、ツルゲーネフ、ゴーリキーの英語版原書を一夜にして読了した、と書かれているから相当の語学力があったのではないだろうか。

   「森友」と「桜の会」を吹き飛ばしコロナ旋風悪党救う 蝶人
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「夢は第2の人世である」或いは「夢は五臓六腑の疲れである」 第85回「 

2020-04-09 13:55:38 | Weblog
 

西暦2019年神霜月蝶人酔生夢死幾百夜

最高権力に逆らった罰として、私は荒れ狂うゴリラの入った檻に入れられたまま、血に飢えたサメどもがうようよ泳いでいる海の中に放り込まれた。11/1

バッハについての講演会があるというので、指定された会場に定時に到着したのだが、誰一人いなかった。11/2

母国の崩壊の報に接し、恐怖を覚えた私は、これまで書き続けてきた敵国呪詛の過激な日記を焼却して、隣国に亡命した。11/3

「洋服と人世についてスピーチせよ」と命じられたが、ふぁっちょん業界からずいぶん遠ざかっているので、「そんなの無理だぜ」と思いながら、懸命にショップ探訪しているわたし。11/3

こないだ女の処へ忍んで行った時に、衿足にしてくれた接吻の快感が忘れられないので、昨夜また「してくれえ」と頼んだが、「え、もう賞味期限が切れたの」と笑うばかりで、冷たくあしらわれた。11/4

現政権の政策に対して反対し続けてきたボクだったが、金策に困じ果てて某大使から50万円借りてしまったために、友人たちからは裏切り者と指弾され、大使からは返済を求められて、ついに万事休してしまった。11/5

するとそれに見かねたヨリシゲが、ボクに100万円相当のぶんぶく茶釜を譲ってくれたので、これでなんとかしようと、地元に「なんでも鑑定団」がやってくるのを待っている次第だ。11/5

ジャーネー事務所の管理体制の強烈な締め付けに逆らって、私は個人的クーデタを企図していたのだが、私の担当マネージャーの女子が、それによって蒙るであろう致命的な被害と虐待を思うと、なかなかそれを決行できないでいた。11/6

皆が役場に集まると、村長が52枚のトランプを並べて、「皆の衆、お好きなカードを選びなはれ。取ったその数字が、今年の年貢の数じゃ」と言うたが、誰一人手を出さなんだ。11/7

私は夜中の12時半に出発する京急バスを待っていたが、流れ者に交じって諸国一見の放浪の旅に出てしまえば、可愛い女房子供はどうなるのだろう?という一抹の不安が、胸中から消え去ることはなかった。11/8

大きな蝶が飛んでいたので、ジャンプ一番捕まえたが、ふと上空を見上げると、アパートの窓から、2つの首つり死体が風にぶらぶうらと揺られており、そのひとつは、なんと私だった。11/9

妻に近寄って下手な冗談をいう男がいたので、私はいきなり殴り倒し、起き上がってくるところに膝蹴りをして、やっつけたつもりでいたが、そいつは、明らかに私よりも強そうなので、これからどのように決着をつけようかと戸惑っていた。11/9

大学のゼミにおける私のテーマは、何もしないで戸外をぶらぶら歩きする「東京散歩」という脱力系なのかなぜか人気があって、毎年大勢の学生が希望するので、うれしい悲鳴を上げている。11/10

大きな沼に不気味な生き物が棲んでいるというので、20名の部下を潜水させ、沼に垂らした20本の糸を一手に握りしめているのだが、いきなり水中に部下もろとも吸い込まれてしまう危険があるので、おさおさ警戒を怠らないようにしているのだ。11/11

散髪屋で髪を切ってもらい、頭を洗ってもらい、髭を剃ってもらったところで、財布を持っていないことに気づいて、えらく焦っているわたし。11/11

大晦日なのに新作CMの制作打ち合わせが入ったので、取り合えず会社を飛び出してTYOのキムラ氏の事務所へ急いだが、町は「ええじゃないか、ええじゃないか」の阿呆莫迦踊りの群衆に満ち溢れていて、一歩も進めない。11/12

私らは大望を胸に懐いて決起したものの、丹波地方を治める波多野氏の強力な武装兵に阻まれて、京への進撃の道を突破することができないでいた。11/13

敵は我が軍勢を一撃の元にほふったが、なぜか私の小隊だけは殲滅しないので、部下の「青くん」、「赤くん」を偵察に出したら、私らを鮎の友釣りの見せ鮎にして、友軍を引きずり出す餌に使おうとしていると分かった。11/13

工場で時間ぎりぎりまで働いていた私は、社食で食べ放題のスイカが殆ど残っていないので頭にきて、「お前たちはろくろく働かないのに、俺の大好物のスイカを全部喰うてしまった。絶対に許さないぞ!」と見栄をきったが、誰も聞いてはいなかった。11/14

利害を異にする3社が、共同で立ち上げる新規ブランドのネーミング会議がもたれたが、3名の代理人が、他社の案を1対2で否決して潰しまくったので、結局何も決められずに散会したのよ。11/15

数か月の籠城虚しく、遂に明日は落城と決まった日も、城の牢番の私は、そこに新たに幽閉される人々のための大掃除を、せっせとやっていた。11/16

わいらあルンペンなんやけど、この展示会場でゴロゴロしとると、たまにデザイナーに呼ばれて、「流れ者風のモデルになってくれへんか」と頼まれることがあるさかい、ここいらでゴロゴロしとるんや。11/17

南海を疾走する私のヨットの帆には、実際に航海中に艇内に飛び込んできた飛び魚を貼付することによって表示された、巨大な飛び魚の絵が描かれていた。11/18

PCで袋と打つと袋が出てくる仕組みだが、レジに客が殺到してくるので、袋が出てくるのを待ちきれない連中が、自分で勝手に乱打しはじめた。袋、袋、袋。11/19

見た目そっくりの可愛らしい双子の男の子が、笑いながら私の顔を覗き込んでいるので、目を覚ますと、そこは今年の2月に亡くなったいうタツミ君の家だった。11/20

ギルガメッシュハイム語の原稿は、あまりにも膨大すぎて、私が家にあるプリンターとダンボール2箱分のB5用紙で印刷しても、まだまだ刷り残っていた。11/21

クレーンに乗って愛の唄を歌う、という私の短歌に感動したというて、その2人はクレーンの上でセックスしたりして、どうにもこうにも引き離せない2人になってしまった。11/22

昆虫採集などしたこともないその貴賓が、「絶滅する前に我が国の蝶を収集したい」というので、私は仕方なく私は志賀昆虫店に絹製の補虫網を買いにった。11/23

冬休みで無人の大学に毎日通ってくる学生がいるので、「あんさんなにしてはるんや」と訊ねると、「たくさん単位を落としているので、その穴埋めに自習して、その証拠をこのカセットに録音しておいて、新学期に先生に渡すんです」と答えた。やれやれ。11/24

私はカナガワ氏からパリ駐在員を命じられ、「語学も出来ない老人なのに困ったことだ、どうしよう」と迷っていたのだが、かてて加えてダブル勤務の学校からもEU駐在員に任命されたので、もうこうなったら彼の地で骨を埋めようと悲壮な決意をした。11/25

私はクライアントの指名により、コオタロウと組んでCMの企画とコピーをいやいや担当したのだが、営業が見積書を持っていくと、私らのギャラのあまりの高さに驚いて、「やはりコオタロウは止めにしてくれ」と頼んできた。11/26

世界一高く、遠くまで飛ばせるロケットの開発を目指していた私だったが、「そんなに闇雲に頑張らなくとも、テキトウなとこまで飛べば、そこからもう一度ジャンプさせるほうが安全だと」といわれて、すっかりやる気をそがれてしまった。11/27

私は歌壇の大家にメール添付で大量の短歌を送りつけたが、大家からは何の反応もなかった。感じ悪うう。11/28

人物を撮らせたらナンバーワンという噂のカメラマンが当地にやって来たのだが、あいにく人っ子ひとりいないので、一度もシャッターを押すことなく帰ってしまった。11/29

町内の青年が議員に当選したというので、彼の同級生である長男もその祝いの席に仲間たちと一緒に並んでいたのだが、彼の脳髄では選挙も当選もまったく意味がわからないので所在無げに佇んでいるところを、私が手を引いて「さあ家に帰ろう」と言うとコックリ頷いた。11/29

101歳で大往生した中曽根元首相の業績を、マスコミは大ぎょうに称えているが、あにはあらんや、国労をぶっ潰して本邦の労働運動の息の根を止めたのがこの人物であった。11/30


 人間の屑ともいうべきその男「緊急事態」をぺらぺら語る 蝶人
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関川夏央&谷口ジロー作「『坊っちゃん』の時代第2部 秋の舞姫」を読んで

2020-04-08 10:49:00 | Weblog
照る日曇る日 第1382回

第2部は明治42年6月3日、染井霊園における葬儀の場面から始まる。朝日新聞特派員として露都に派遣されていたが病を得て、急遽帰国の途に就いたがインド洋上賀茂丸で果てた二葉亭四迷の葬式である。受付は朝日新聞社の校正係の石川啄木。そこに森鴎外、夏目漱石はじめ数多くの明治を代表する作家たちが参集するのである。

その二葉亭にはペテルブルクに残した恋人があったが、同様に21年前、伯林の舞姫(エリス)を愛した森鴎外が本巻の主題となる。

明治21年9月21日、鴎外と交わした約束通り、恋人を追って単身来日したユダヤ娘エリス・バイゲルトは、本作では鴎外の母や家族の反対にもめげず、2人の愛を貫こうと孤軍奮闘するが、日本社会の家の伝統に呑みこまれた鴎外の背信に絶望して、翌月寂しく帰国した。

鴎外の「舞姫」は彼の自己処罰の作品であると作者は断じるが、鴎外の遺品からリンタロ・モリの頭文字を織り込んだエリス手織りの刺繍手巾が発見されたという。

   「自粛せよ、自粛せよ」とほざくなり引退すべき猪八戒が 蝶人

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関川夏央&谷口ジロー作「『坊っちゃん』の時代」を読んで

2020-04-07 12:55:18 | Weblog
照る日曇る日 第1381回

英国留学から帰国し、小説家を目指す39歳の夏目漱石を軸に、森田米松、平塚明子、荒畑勝三、太田仲三郎(「坊ちゃん」のモデルを自称)、堀紫郎(侠客、「山嵐」のモデル)、国木田独歩、田山花袋、安重根、東条英機、島崎藤村、森鴎外、大杉栄、堺利彦、石川啄木などの人物が輻輳闊歩する明治という時代を活写した見事な作品なり。

第11章「明治39年の桜」を総括する彼らが全員集合の写真を眺めていると、私も同時代の一人になったような気がしてくる。

昨日からデスマスクのような顔をして朝までぐっすり眠っていたんだ 蝶人
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佐々木幹郎詩集「鏡の上を走りながら」を読んで

2020-04-06 11:33:26 | Weblog


照る日曇る日 第1380回

2008年から19年までに作られたおよそ30篇の詩が並んでいるが、私にはさきの大震災の被害者に直接取材したと思われる「声たち」という“声の織物”がいちばん胸に響いた。

「そのときに、海の底がみんな見えたんですね。引き潮で。そのとき、ほんとうに地獄の底を見たという感じでした」
と著者が釜石市の住民の言葉をそのまんま書きうつすとき、その住民が見た光景を、著者も私たち読者も一緒になってその地獄を見つめているのである。

もしもその言葉を、著者がこの本に書きとめなかったら、永久に失われてしまったであろう「修羅場」の事実と真実が、ここで微かに点滅している。

   知らぬ間に空から落ちて我が庭で花をつけたる大島桜 蝶人
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家族の肖像~親子の対話 その56

2020-04-05 11:47:53 | Weblog
 

ある晴れた日に 第605回

ぼく「ルパン3世」おもしろかったよ。
そうなんだ。

お母さん、知恵って、なに?
よく考えたことよ。

カキモトコウゾウさん、亡くなったの?
そうだよ。

ぼくは、独りで南浦和行きますお。
そう。行ってね。

えーとねえ、カミウラさん、立て替えてくれたんだよ。
そうなの。良かったねえ。

ぼく、ガチャピンですお。
こんにちは、ガチャピンさん。お父さんはムックだよ。
こんにちは、ムックさん。
こんにちはガチャピンさん。

高速、お金払うでしょ?
うん、払うよ。

施は、ほどこしでしょ?
そうだね。

きっと、絶対でしょ?
そうだね。

お母さん、体調悪いって、なに?
身体具合が悪いってことよ。コウ君、体調悪いの?
悪くないですお。

さぞ、って、なに?
きっと、よ。

デザイナーって、なに?
いろんなかたちをつくるひとよ。

商売って、なに?
お店のお仕事よ。

エレベーター、物を運ぶとかでしょう?
そうよ。

お母さん、前進って、なに?
前へ進むことよ。

お父さん、脳腫瘍、おできでしょ?
うん、まあそんなもんだね。

カズエちゃん、お母さん元気?
元気だよ。

南浦和、タクちゃんとリョウちゃん、住んでたよ。
住んでたねえ。

小児療育の看護婦さん、ちょっと怖かったですお。
そうねえ。ちょっと怖かったね。
小児療育の看護婦さん、いなくなりましたお。
そうねえ、新しい人に変わったよね。
変わりましたお。

連佛さん、七瀬だったでしょ?
そうだったね。

びちょびちょって、なに?
水に濡れたときだよ。
びちょびちょ、びちょびちょ、びちょびちょ。

ぼく、バイカモ好きですお。
お母さんもよ。
お父さんも。

転院先て、なに?
移った病院よ。

ぼく、責任持ちますお。
そうなんだ。

お母さん、受け止めるってなあに?
いう通りにしてあげることよ。
連佛さん、受け止めるっていったよ。
そうなんだ。

お母さん、意外にって、なに?
思っていたことと違って、よ。

ぼく、おばあちゃん好きですお。好きなんですよ。
そう。お母さんもよ。

お母さん、ぼく小田急。小田急ゴゴゴ、ゴオー。

お父さん、減るの反対、増えるでしょう?
そうだよ。

お父さん、臨海線、東京にあるでしょ?
うん、あるよ。

もともとって、なに?
最初から、よ。

お父さん、シカにエサやると?
なに?
シカにエサやると、よろこぶよねえ?
うん、よろこぶだろうね。

  画眉鳥よ我が家に来るなお前の姿も声も嫌いだ 蝶人

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「夢は第2の人世である」或いは「夢は五臓六腑の疲れである」 第84回

2020-04-04 11:20:44 | Weblog
西暦2019年神無月蝶人酔生夢死幾百夜

「こちらは某国の王女様であるが、今日から1ヶ月間お前たちと一緒に仕事をして下さることになったから、万事よろしう頼むぞ」といわれたのだが、それから1ヶ月間、私らはてんで仕事にならなかった。なぜなら王女様は全裸の美女だったから。10/1

チューターとしての私は、意外にも結構まともなことを喋ったとみえて、聴衆の中の1人の女性は、私の言葉にいちいち深く頷いていたので、私はゼミが終わってから彼女を隣の部屋に連れ込んで接吻したが、彼女がまったく抵抗しなかったので、性交しようとしたが、その時彼女に下半身がないことに気付いた。10/1

その頃の私は、毎朝例の無垢の人からの電話があるのを唯一の楽しみにしていた。その声を聞くと、なんとなく清らかな心持ちになるのだ。10/1

新米披露会に出席した私は、はじめは最後列に座っていたのだが、だんだん前の席に移動し、最後は最前列に躍り出て、出来たての新米を試食しみたが、とても美味だった。要するに、腹が減っていたらしい。10/2

電通がデベロッパーになって、高田馬場早稲田辺の大開発をするという話を耳にして、それではまた、地下鉄にただで乗ったり、学バス利用者を実力で阻止したり、半日で5万円のカンパを集めたりできるのか、とぬか喜んだりした。10/2

私は生まれて初めて芝居の演出をすることになって、役者にいろいろな指示を与え、「さあ行ってみよう!」と叫んだが、なにも起こらなかった。それもそのはずで、まだ脚本が出来ていなかったのだ。10/3

12時から試験だというので、学友諸君と一緒に教室で待機していたが、担当教官のヒラオカが来ないので、みなメシを食いに行った。30分遅れでやって来た彼奴は、「半からだと思っていた。みんな戻ってくれよ」と、泣きながら訴えたが、みな知らん顔していた。10/4

新曲の録音でスタジオに缶詰になっていたら、突然頭が痛くなった。他のミュージシャンもそうだというので、神主を呼んでお祓いをしてもらったが、全然効果がないので、結局別のスタジオで録音することになった。10/5

曾祖父なんか知らないけれど、祖父と祖母が死んで、父と母が死んで、伯父伯母叔父叔母みんな亡くなって、私ひとりが取り残された。10/6

私の名前が、私が作製した文書からことごとく失われたので、2台のパソコンと3個の外付けHDDの中を大捜索して、なんとか見つけ出そうとしているところだ。10/7

お昼にランチを食べようと、会社からかなり離れた定食屋に入ったら、私の課のY嬢が、営業部の男たちに交じって女一人でサンマを食べていて、「お前はどうして自分の仲間とメシを食わないでここに来るんだ」と聞かれて「ほっといてよ」とそっぽを向いていた。10/9

台風の被害に遭った私の寺は、軍の移動テントのすぐ傍にあったので、兵士たちはすぐに修復してくれた。10/10

「家族A」は「家族B」に対して、かつて天人許すべからざる残虐行為をなしたことがあったので、しばらくは慙愧の念から大人しくしていたが、しばらくすると何事も無かったかのような顔をして、傍若無人に振る舞うようになってしまった。10/11

5000行に及ぶ彼の大長編詩の冒頭は、「それから私は」という言葉だった。10/12

諸君、喝采し給え。若き天才建築家の登場だ。10/13

ボクは、毎晩世界のラグビー選手が集る居酒屋で呑み食いしていたので、段々彼らの強さの秘密について知るようになっていった。10/14

ストックホルムだか、ヘルシンキだかで、母が列車に乗っている、という情報に接したので、急いで追いかけたのだが、ついに見つからず、返す返すも残念だった。10/15

私の職場では、怒り狂った社員が、朝から晩まで滅茶苦茶に電話を掛けまくるので、煩くてたまらないが、私だけ何もしない訳にはいかないので、取り敢えず5か所に電話した。10/16

障碍者の親の会の打ち合わせに、どういう風の吹き回しか、成人後見人を名乗る男が登場し、自分がその後見依頼者ともども仏蘭西に行った折りの話をベラベラしゃべり出したので、皆の顰蹙を買った。10/17

初めて中国を訪問したら、周恩来首相が3千年の過ぎ来し行く方を懇切丁寧に解説してくれたが、その言い方では、過去から現在までの道行が絶対化されてしまうので、現政権に対する批判が出来なくなってしまう危険がある、と思った。10/18

もういいだろう、と思って外に出ると、例の男の子と女の子が、私を捕まえて、どこにも行かせてくれないので、私はエンエンと泣いた。10/19

私たち6人兄妹は、3人の伯父叔父の家に別々に引き取られて、お互いに会うことも無く育ったが、半世紀ぶりに再会したら、それぞれが能や歌舞伎や文楽の歌舞音曲にかかわる仕事をしていたので驚いた。10/20

「机の上の余分な物は全部捨ててください」と言われたが、昔の手帳だけは捨てられなかった。10/21

夜の11時から、池袋のスカラ座で試写会があるのだが、山手線が駅の手前で止まってしまい、焦りまくっている私。しかし、池袋にスカラ座なんてあるのだろうか?もしかして新宿の間違いではないのだろうか?10/22

ふと気がつけば、万人が万人に対する戦争の時代に入っていたので、及ばずながら、私も武装したのだった。10/23

インフルエンザからセキリ、エキリ、コレラ、エイズまで、何にでも効く万能予防注射が発明されたので、全国民が皇居前広場に集まって、「早く注射しろ!」と叫んでいるが、希望者があまりにも多く、長蛇の列になっている。10/24

オレが、ブッシュにからまったPCを探していると、5時から6時ごろに、不意を突いてオレをやっつけようという僚友たちのひそひそ話が、耳に入ってきた。10/25

原住民たちが、思いがけず我々に反抗したので、私は部下に対して、全員から武器を取り上げ、抵抗するようなら、即銃殺するよう命じた。10/27

昨日エイギョウから依頼があって、なんたらかんたらフェアをやるので、その製作物を、という話だったので今朝シゲハラ印刷の担当者に来てもらったのだが、それを具体的に詰めようとしても、なんたらかんたらの実態が分からないので、手のつけようもないのだった。10/28

世界の終りが迫っていた。私は妻と一緒に電子辞書だけ持って、着のみ着のまま裏山に逃げ出し、「世界名言集」を検索しながら遺言を考えていたのだが、突然辺りは真っ暗闇になり、液晶も切れた。それが世界が終った瞬間だった。10/29

バルカン半島の緩衝地帯で衝突があり、現地駐在の日本大使館が「日本資本主義」という旗印を掲げていたので、私は急遽「日本国憲法」に差し替えた。10/30

ソロス君は、自分の子飼いの部下を、破格の高給で、自分が管理運営する秘密プロジェクトのメンバーに任命して、ますます実権を積み重ねていった。10/31

  医療だけがホーカイしているのではないあんたも国もホーカイしている 蝶人

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すべての言葉は通り過ぎてゆく 

2020-04-03 14:36:25 | Weblog
すべての言葉は通り過ぎてゆく

西暦2020年弥生蝶人狂言綺語輯&バガテル―そんな私のここだけの話第336回

安倍蚤糞の妖怪ペラペラ漫画のような独演会を見て、怒り心頭に発してしているうちにも、店頭からはマスクやトイレットペーパーや除菌用品のみならず米や食料品が消えていく。長期間子供が家にいるなら、嫌でも買い溜めせざるを得ないのだ。3/1

知り合いが、39度の高熱が4日間以上続いたので、政府の指示に従って紹介された病院へ行ったが、希望したコロナ検査はしてくれなかったそうだ。重度の肺炎にならないと検査しないらしいが、それから感染が判明しても、治療するには遅すぎる。酷い国だ。3/2

鎌倉にもコロナ感染者が現れ、市役所の職員300人が自宅待機になったが、はてさてどうしたものか。そもそもの原因は、武漢海鮮市場で伝染を惹き起した中国政府と、早期対応を怠った日本政府にあるので、習主席と安倍蚤糞に文句をいう他はないが。3/3

できるだけ検査を遅らせて、コロナ感染者の数を抑えること。今回の惨事を利用して私権制限に役立つ緊急事態新法を制定すること。それが、安倍蚤糞の最大の関心事だ。3/4

マスクは、感染者が使えば他人への伝染をある程度防ぐことができるが、一般の人の感染の予防には殆ど役に立たない。とすれば、あれは殆ど気休めで掛けているのである。3/4

緊急事態宣言とか、マスク強制買い上げとか、臨時休校の前に、誰もが病院でコロナ感染検査ができるようにすること。これすら出来ていないのに、何をかいわんや、だ。それとも、これをやりたくないがゆえの「特措法」か。3/5

昨日の鎌倉は道も店も空いていた。今日生協へ行ったらやはりガラガラだったが、GUに息子のベルトを買いに行ったら、かなり大勢の客がいた。なるほど、こういう所しかいくとこがないんだなあ。ユニクロと同様、ここも無人レジである。3/6

新型コロナウイルス問題を最短距離で解決出来ず、その焦りから政争の具にすり替えてしてしまうのは、安倍蚤糞とその内閣の非力と陋劣としかいいようがないが、嘆かわしいのは、そんな無能な指導者に唯々諾々と盲従する民草の愚かさだ。3/7

私の大嫌いな極右局からオンエアされているんだけど、「知らなくていいコト」は面白いな。週刊誌記者、吉高由里子を巡るサスペンス恋愛ドラマなんだけど、大石静の脚本が実に良くできていて、毎回グングンひッぱっていく。タイトルも、役者も、演出もすべて堂に入って見事なり。3/8

大相撲春場所とびわ湖ホール主催のワーグナー「神々の黄昏」のいずれも無観客公演をTVとネットでみたが、違和感あり。「楽劇」は涙が出るほど感動的な演奏であったにもかかわらず、大いなる空虚さを懐かざるを得なかった。3/9

「いつまで自粛したらよろしいのでしょうか?」と安倍蚤糞に訊ねたら、即座に間違いの無い答えが返ってくると思い込んでいる人たち。ちったあ手前の頭で考えてみよ。3/10

「あと10日」と軽く言うが、その10日の間におまんまの食い上げになったら、どうして呉れるんだ。このままでは暴動が起こるぞ。3/11

この頃、手元にあったはずの本、(例えばさとう三千魚詩集「浜辺にて」とか柿本幸造「どんくまさん」シリーズの著者サイン入りの絵本)などが突然姿を消して、いくら探しても出てこない。妻は「魔境」のどこかにあるというのだが。3/12

物事を冷静に判断できない阿呆莫迦大統領の、きまぐれ五輪発言に振り回されて、醜態をさらけ出す安倍蚤糞。こんなポチが一国を壟断する支配者というのだから、聞いて呆れる。3/13

朝日新聞にロンドン在住のブレデイみかことかいう人が、息子が自閉症の同級生に「コロナ野郎?」的な誹謗中傷を受けた、と書いていたが、その人、本当の自閉症児なのかしら。自閉症も色々あるけど、社会性皆無で、口のきけない子も多いんだよ。3/14

安倍蚤糞の記者会見の白々しさ。発せられる言葉の一つひとつに、情感と意味の裏打ちが伴わず、猪八戒の顔貌を持つ人造人間が、官僚的なコピーライターの作った原稿をペラペラ読みあげている。3/15

「世の中、思想的だったり詩的だったりする人間はいっぱいいるんですよ。でもその人自体が思想だったり、詩だったりするような人は数少ない。辻潤なんかは最期は餓死ですよ。人生が荒れ地そのものだよ」友川カズキ3/16

「自分には障害児者以上の存在価値がある」と思ってしまえる人は、みな植松党の仲間である。3/17

バカタリ、株の乱高下なんかでガタガタすんな。ひと昔前に日経平均で8千円、円対ドル80円になったこともあるずら。3/18

ラジオ「すっぴん!」最終回を録音で聞く。高橋源一郎が一晩ででっちあげた童話小説「さよならラジオ」を自ら朗読したが、涙がチョチョ切れ、むかし太宰治がビールを飲みながら即興で口述した「フォスフォレッスセンス」の逸話を思い出した。https://www.nhk.or.jp/radio/ondemand/detail.html?p=2295_173/19

昨日急に8度の熱が出て終日静養していた。抗生物質で熱は下がったが、もしかして大人気のコロナちゃんではないかと戦々恐々。鎌倉ではその後も感染者が出ているのに、マスコミは報道しなくなった。全国どこでもそういう状況ではないだろうか。3/21

「中国が一段落して一番酷いのはイタリアだ」などと対岸の火事のようにいうちょるけど、これからもっと酷くなるのは「てんで検査をしない、させない、できない」の3ない状態のうちに水面下で蔓延している日本国の感染大爆発じゃあないのかな。3/22

昨夜公凶放送が御用学者を起用して流した自己中大政翼賛番組。まともな大衆感染検査もしないで、特定少数のモグラ叩きだけをやっている現方式を、「世界が称賛している!」などと抜かし、その癖、「いつ感染大爆発が起こってもおかしくない」などと脅すんだから、世話ないやね。3/23

「奥方が森友に関与していたら譲位する」と殿が嘯いたので、「すわ御家の一大事」と周囲の役人共が忠誠を競うように、大車輪で関与の痕跡を絶滅させたのだが、悪事を苦に病んだ唯一の良心的な人物が、遺書を残して自殺したので、その奥さんが真相再調査を求めたら、「余の預り知らぬ噺じゃ」と、とぼける人殺しの殿。3/24

延期五輪の開催意図は「コロナとの戦いの勝利の祝典!?」だなんて、ちゃんちゃらおかしい。震災復興はどうなった? 要するに「てめえの任期中に開催できれば、名目なんて何でもええちゅうこっちゃ。口から出まかせのてめえを見てると「コロナ頑張れ!」って言いたくもなるぜ。3/25

案の定スーパーはめちゃ込みで、再びティッシュ、トイレットペーパーに加えて、米なども売り切れ。都市封鎖とか感染爆発とか五輪延期を言う方は簡単だけど、結局どこからの援助もなく、寄る辺なき民草は、生活防衛に追われるのみ。3/26

恥を知れ! 愚かな所業を次々に仕出かす妻、(そして連帯責任者としての自分)を窮地から救い出すために、愚かな忖度側近たちが法律を破り、結果的には殺人まで犯していることを知りながら、権力にしがみ付き、のうのうと生き恥を晒し続けている男よ!3/27

アルツハイマーになった愛妻を、鉛筆画で激烈に描く木下晋さんと、92歳で亡くなった俳優織本順吉さんの晩年を、娘さんが赤裸々に撮影した3本、計4本のドキュメンタリーを録画でみたが、涙なみだで、画面が見えなくなったずら。嗚呼、人世!3/28

32年間にわたってNHKの「音楽の泉」で放送を続けてこられた当年92歳の皆川達夫さんが本日をもって引退された。最後の曲、シェリングが弾くバッハの無伴奏を万感の思いで聴く。長い間お疲れ様でした。3/29

芸能人とレストランへ行って、ついでに花見をしよう、なんて、今どきの日本人の誰が考え付くだろうか? そしてそんな非常識な莫迦女と一緒になっている情けない男。3/30

医師会と政府専門委員たちよ。安倍蚤糞に「早く緊急事態宣言を出して下さい」と泣きつく前に、全国の病院の感染、非感染受診の区分けや、医師の分担制、新規ベッドの創出などお前たち自身でやれること、やるべきことがいっぱいあるだろう。3/31

  「終止符」を打ちて果てたる赤木氏と打たずに出世し続けるひと 蝶人

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なにゆえに 第74回 

2020-04-02 11:36:11 | Weblog
ある晴れた日に 第604回


なにゆえに民草はみな買い溜めに走る安倍蚤糞は世間を知らない

なにゆえにいかなる秘事も明るみに 天網恢恢疎にして漏らさず

なにゆえに「どーも、どーも」とそれだけをいうぶち殺してやりたし「どーもくん」

なにゆえに「旧約聖書」は面白い 嘘か本当か分からぬ話 

なにゆえに中国客を阻止しない中国から阻止されても

なにゆえに今頃中国客を検査する2カ月遅い政府の対応

なにゆえに「羽島モーニングショー」にいちゃもんつける他局も全部かくあるべきを

なにゆえにがらんどうで相撲取るマリオネットのお相撲ごっこ

なにゆえにお上のいいなりに流れゆく千年変わらぬ島国根性

なにゆえにまた大凶をつかまされるとく災いを除き給え

なにゆえにトランプはパンデミックと慌てふためく消えてなくなると豪語したくせに

なにゆえにヤマグチ君はしたたかに生き延びる最新版ガン治療の恩恵を受けて

なにゆえに「関根正二展」は終わっちまった世田谷美術館はやっているのに

なにゆえに語れば語るほど白々しいこの人物を信用できない

なにゆえに「刑事モース」を見たくなるショーン・エヴァンスの顔がいいから

なにゆえに「刑事モース」を見たくなるシャーリー・トルーラブが愛らしい

なにゆえにこの期に及んで五輪に縋る三千世界ご臨終ずら

なにゆえに地検は佐川を告訴せざりき確たる証拠を握っていながら

なにゆえに8度の熱が出てしまう家でごろごろしているだけで

なにゆえに羽島ショーに狸爺が出る安倍蚤糞のテレ朝叩き

なにゆえに大阪地検は起訴できなかった黒川事務次官が睨みを効かせた

「なにゆえに五輪招致なんぞおっ始めただ」石原爺の道楽三昧

なにゆえに大統領は呟かない「コロナウイルスとても愉快だ!」

なにゆえに五輪延期がお手柄なの突っ張ってたのは安倍蚤糞だけ

なにゆえに小町通りをぶうらぶら不要不急の若者なので

なにゆえにお前の言葉は届かない「生活」をしたことがないので

なにゆえに志村けんは亡くなった呑気な奴らに警告するため

なにゆえに「五輪五輪」とまだ喚いてる即中止してコロナに向き合え

   今年また白く寂しく咲きにけり庭の端なる大島桜 蝶人

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西暦2020年弥生蝶人花鳥風月狂歌三昧

2020-04-01 11:02:12 | Weblog
ある晴れた日に第603回


春遠しあれから九年水の中

咳をしても一億人

人は皆梅に鶯というけれどビジュアル的には梅には目白

建長寺の托鉢僧と行き合えり草鞋を動かす六つの裸足

文旦もあと五個となりにけり芳醇至純の柑橘の王

テレ朝のモーニングショーは玉川がいないと全然面白くない

テレ朝のモーニングショーに出る狸官邸からの検非違使なるや

わたくしに聞かせてやろうと思いつつモザールが書きし交響曲40番

「パンデミック」などと呼ばれて喜んで新型コロナは世界を駆ける

新型のコロナウイルスを利用して緊急事態の予行演習 

治安維持と緊急事態を練習できるコロナなんかはどうでもいいが

中国の観光客が激減し10年前の鎌倉戻る

霙降りコロナに怯える春の朝皆川達夫の「音楽の泉」終わる

狂乱の銀髪コロナに挑むとも米中玉砕日帝畢んぬ

米帝狂乱の銀髪男言うてみよ「コロナウイルスとても愉快だ」

なにゆえに大統領は呟かない「コロナウイルスとても愉快だ!」

地球上を同じ風が吹いていて良きも悪しきもぐるぐる廻る

我こそは地球の主と自惚れし人類今こそコロナにひれ伏す 

障害者19人を殺めたる男を国は殺すというが

呪われし副総理兼財務相が東京五輪を偉そうに呪う

石川の啄木この世に生きて在りとせばいかなる歌を詠み給ふらむ

アベちゃんがNHKで大丈夫と言うとったさかい大丈夫なんやろ

お前さんに寄り添われるくらいなら死んだ方がましだ安倍蚤糞

戦争の責任を問われ「そういう文学的のことは」と言い淀みし者あり
 
初めてのデモは砂川基地なりき滑走路囲む鉄条網

革マルを小気味よく罵倒するフマモトヒコの弁舌ヨシダツカサの秋田訛り懐かし

「ササキよう、パンツを履けよ、パンツを!」と活を入れたしはヨシダツカサ

ウインドウズが10になっても捉音がてんで打てない「ウっ」「ウっ」「ウっ」「ッ」

映画では石飛徳樹美術では大西若人がでしゃばりすぎる朝日新聞文化欄

荒れ狂うイノシシの首を捉まえて溺死させたるもののふ天晴れ

  バラバラになりたる世界を無理矢理に一つにまとめる新型コロナ 蝶人

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