あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

巻上公一詩集「至高の妄想」を読んで

2020-04-21 14:02:34 | Weblog


照る日曇る日 第1389回

「ヒカシュー」のリーダーが編んだ初の自作詩華集だが、選び抜かれた言葉の思いの深さに打たれ、なぜかボブ・ディランのそれを思い出したぜよ。

いつもそうするように、まず「あとがき」から読んでみよう。するてえと、いきなり、

「夏は詩ですよね。涼しい。誰かがテレビでそう言っていて、中国の詩人・北島(ペイタオ)の「生活」という詩を取り上げていた。その死は、二文字のタイトルよりも短く、たった一字<網>と書かれているだけだった。」

と書き出されていて、この出だしも凄いけど、たった一字でもすでに詩であるという考え方は私が長く試みている「世界最短詩」とまったく同じなので、思わず「おおわが同志よ!」と叫びたくなったずら。

まあそういう成り行きなので、作品の中からすごく短いのを2つ引用しておこう。

「かたつむりが急いでいる 少しはなうたまじり」(はなうたまじり)

「美しいな 幼虫が死ぬなんて 美しいな 昆虫も死ぬなんて
 楽しいな 動物が死ぬなんて 楽しいな 人間も死ぬなんて」(幼虫の危機)

なおこの詩集は大岡信賞を受賞し、その授賞式の際に「ヒカシュー」のライヴが行われたのだが、やはり詩単独よりは音楽付きのほうがうんと楽しめるようだ。
https://www.youtube.com/watch?v=K24R6_XBvmw

 いつどこで叙情に逃げるか詩も歌もそれがいちばん問題なのさ 蝶人
コメント
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