ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

柏鳥堂 @岐阜県揖斐郡大野町

2017年01月29日 | 岐阜県(西濃・老舗)

岐阜県揖斐郡大野町あたりの近代建築を探して廻った時に入った「旧・黒野駅」近くの和菓子屋「柏鳥堂」(はくちょうどう)。いかにも街道沿いの和菓子処と言った雰囲気で、周囲ものんびりとしている。創業は昭和元年(1926)だとのこと。店に入ると意外にも店員さんは若く初々しい。いろいろな菓子が並んでいたが、こちらも最近の和菓子屋の例に漏れず、洋菓子っぽいものも作っているようだ。選んだ菓子は好物の最中「三水川の蛍もなか」。珍しく白あんと黒あんの2種類があり、詰めたてをいただけるようだ。あまり食べたことのない白あんの方をお願いした。(たぶん)店の奥で詰めてくれている様子。

せっかく詰めたてなので「旧・黒野駅(黒野駅レールパーク)」横の神社まで行ってすぐに食べてみた。あんは冷蔵庫に保存してあったようでまだ冷たい。白い(というか透明)餡の中に小豆の粒が見える。こんなあんこは初めてかも。面白い。味はしっかりと甘めの餡。詰めたてのはずだが、最中種(皮)のサクサク感はいまひとつで、サクッではなく、メリッとした食感が惜しい。もう少し調子のいいものだったら…(時間の経って皮と餡が馴染んだ最中はそれはそれでいいのだけれど)。次は他の通年菓子を何か選んでみよう。(勘定は¥120/個)

 


 

↓ 2005年に廃線になった名鉄「黒野駅」跡地に造られた「黒野レールパーク(黒野駅ミュージアム)」。駅舎は資料展示や飲食店として使われ、構内にはプラットフォームが残されている。

↓ 登録有形文化財に指定されている「北岡田家住宅」(大正7年・1918・建造)。広大な敷地で外からでは全容が掴めないほど。周囲の石垣と塀もとても綺麗に整備されている。

   

↓ 「柏鳥堂」の前の街道。

 


 

 

御菓子司 柏鳥堂 (はくちょうどう)

岐阜県揖斐郡大野町中之元891

 

( 大野町 おおのちょう はくちょうどう 和菓子 おんかしつかさ 谷汲線 揖斐線 名古屋鉄道 廃線 国登録有形文化財 )

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田中屋せんべい総本家 @岐阜県大垣市

2017年01月22日 | 岐阜県(西濃・老舗)

以前に一度訪れたのだが、年中無休のはずが臨時休業に当たってしまって買うことが出来なかった岐阜県大垣市の老舗煎餅屋「田中屋せんべい總本家」。創業は安政6年(1859)というから150年以上の歴史がある。何と言ってもまず建物が素晴らしい。風情ある店を愛でつつ中へ。中はモダンに改装されていて、いくつもの煎餅が並んでおり、香ばしい香りに包まれている。定番の「みそ入り大垣せんべい」のケースがすっからかんなので、売り切れかと思ったが、売り場の横で手焼きされており(外の窓から見ることが出来る)、焼き上がり次第追加されるのだとか。少し待っているとすぐに「焼きたてです」と追加されたので袋入りのものを、「たまり山椒」という変わり煎餅と一緒に購入した。

せんべいは丸く反った形をしてて、いわゆる瓦せんべいのよう。厚みは薄く、表面は艶があり、城の絵が描かれている。「つや付け」という作業をすることにより、200枚焼いても途中で油を足さずにいけるのだとか。卵が使用されていないので薄いが硬い。色からすると味が濃そうだがそうでなく、ほんのり味噌の風味がして甘みは少なめ。自分が購入したものは通常のものだったが、二ツ折、四ツ折なんていうものもあって、更に硬いのだとか。「たまり山椒」という煎餅は、たまり醤油味のせんべいを想像していたのだが、意外にも基本のせんべいの材料はそのままなのか、思ったほどたまり醤油味は強くなく、山椒も香りこそしっかりするものの、痺れるほどではない。どれも正直地味な味だが、しみじみと旨かった。(勘定は¥900程)

 


 

↓ 輪中集落の残る釜笛までバイクで足を延ばす。高い石垣と、上げ船が備えられているという水屋が建つ「臼井医院」(明治期建造)。田んぼの中にそびえ立っているという雰囲気。

 

 ↓ 浅草の「大橋家住宅」(建築詳細不明)。こちらも高い石垣の上に、長屋塀、それに堀まであって、母屋、水屋、土蔵などが高く配置されている。これが1丁分続くのだからスゴイ。

 

 ↓ 輪之内町にある「明治戊申館(旧・二木小学校)」(明治41年・1908・建造、移築)。玄関は千鳥破風で、壁は下見板張りという様式が面白い。現在は公民館的に使われているのかな。

 

 


 

 

田中屋せんべい總本家

岐阜県大垣市本町2-16

 

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金蝶園總本家 @岐阜県大垣市

2017年01月17日 | 岐阜県(西濃・老舗)

大垣市を訪れる人々を途方に暮れさせる「金蝶園」の屋号。昔の記事で住所を基にその出自をざっと並べたが、意外にその記事へのアクセスが多く、この問題(笑)が皆さんの頭に「?」マークを灯し続けていることが分かる。こちらは駅前通りをずっと南下したところにある郭町の「金蝶園總本家」。創業は寛政10年(1798)年で、創業者は初代喜多野弥右エ門。なので出自は高屋町の店と同じということになる。店のすぐ隣には「大手いこ井の泉緑地」があり、絶え間無く湧き水が噴き出しており(自噴水)、さすが”水の都・大垣”。ちょうど店の若い衆が、この水をペットボトルに汲んでいるところに出くわした。もちろん水が先なのだろうが、店の横に名水って、すごいことだナ。

店に入るとガラス・ショーケースの中にはいわゆる”酒蒸し饅頭”だけでなく、他の和菓子もひと通り揃っていた。でも初訪なので、買うのはやっぱり「金蝶園饅頭」。酒蒸しらしい香りする饅頭の皮はやや硬め。中は舌触りの良いこし餡で、香りが独特の風味を作っている。以前食べた、距離にして600mしか離れていない高屋町の店の味はもうすっかり忘れてしまっていて、正直あまり違いは分からない。その場で食べ比べないと比較はとても無理だ(その場でも分からなかったりして)。どちらの金蝶園さんも共存繁栄されますように。(勘定は¥130/個)

 


 

↓ 以前も訪れた「イビデン(株)西大垣変電所 エネルギー統括部」(大正10年・1921・建造)。隣の工事フェンスが取り払われ、店の 東側(写真下左)を見ることが出来た。

 

 ↓ 「大垣市守屋多々志美術館(旧・大垣貯蓄銀行)」(昭和2年・1927・建造 写真下左)と、「多目的交流イベントハウス(旧・十六銀行郭町支店)」(建築詳細不明)。

 

↓ 大垣城のすぐ横にあるビリヤード場「エグロ会館」(建築詳細不明)。

 


 

 

 金蝶園總本家

岐阜県大垣市郭町2-10

 

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さらしな @岐阜県大垣市

2016年10月01日 | 岐阜県(西濃・老舗)

岐阜県大垣市の大垣駅を出ると南北に駅前商店街が広がっているが、駅に最も近い飲食店のひとつ、うどん・そばの「さらしな」に入ってみた。創業は大正8年(1919)だという(もうすぐ創業100年だ)。現在は4代目なのだとか。いかにも駅前の麺類食堂といった感じで、こちらも当然のように”手打ち”だ。店に入るとテーブル席が並んでおり、そこのひとつに腰かけて品書きを眺める。この後に用事は特に無かったので、蕎麦前を楽しもうという魂胆。感じのいい若女将に、冷酒「大垣城」(武内酒造・大垣市)の小瓶と、人気だという「京都にしんの棒煮」をお願いした(店の外にどっしりと腰を下ろしていらっしゃったのが女将のようだ)。まだ暗くなっていない時間帯だったので、ちょっと嬉しい。店の中は食堂然としているので、気を使うような事は何も無く、流れているテレビの音など聞きながらゆっくりと手酌する。棒煮には山椒粉が付いていて、甘辛く煮付けてある味を引き締める。いつも日本酒を呑む時には傍らに「和らぎ水」を置いておくので、若女将にお願いすると、「うちの水は井戸水なので美味しいですよ」とのこと。冷やされた水は確かに丸く感じられて旨い。さすが水の都・大垣。思わず飲み干してお代わりをお願いしてしまった。

もう少しここで、とも思ったが、久しぶりに近くを歩いてみたかったので蕎麦で締める。普通ならざるそばを注文するが、気になっていたのが、こちらの店がかなり「飛騨牛」推しなこと。蕎麦屋でブランド牛肉って組み合わせも珍しい。こちらの店、単品の品は決して安くないが、駅の真ん前でもあるから仕方のないところ。ただし、昼やセットもの、企画ものは値打ちにしてある。蕎麦も「ざるそば」と、飛騨牛のA5ランクを使用しているという「肉そば」が70円しか違わないので、興味もあって「肉そば」を注文した。運ばれた肉そばは、長ネギと薄切り肉がたっぷりとのり、ナルトが添えてある。かなり濃いめのたまり醤油つゆ。確かに肉が旨い(こりゃ反則だ・笑)。蕎麦は二八の平打ち。あっという間に平らげたが、つゆが濃いので残ったつゆに蕎麦だけお代わりして浸けたいくらい。次はこの”あたま”で一杯もいいし、ご飯でもいいな…、と妄想したが、ちゃんとそれぞれ「肉吸い」と「牛めし」が用意されているのだった。若女将は日本酒にも詳しいようで、大垣にある酒造の酒を勧めて下さった。次が楽しみ。(勘定は¥2,200程)

↓ 店のマッチの裏おもて

 

 


 

↑ 本町2丁目にある「本町橋」(昭和10年頃・1935・建造)。牛屋川に架けられた橋は、大小の砲弾で型を取った親柱が珍しく、戦前の世相を感じ取ることが出来る。

 


 

駅前さらしな (別HP

岐阜県大垣市高屋町1-8

 

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自由軒 @岐阜県養老郡養老町

2016年07月11日 | 岐阜県(西濃・老舗)

岐阜県の養老方面をバイクで走る。こちらの方面はあまり来たことがないので新鮮。知らない道を走るってワクワクして楽しい。近辺の近代建築を見て廻った後の腹ごしらえで向かったのは、美濃高田駅の近くにある創業昭和23年(1948)という洋食屋「自由軒」。以前から気になっていた店だがなかなか機会がなく、やっと念願の訪問。店の向かいにある駐車場にバイクを停めて暖簾をくぐる。その暖簾には「寿司」の文字も。そう、こちらは洋食屋なのに寿司もやっているという面白い店なのだ。しかも近くに某スポーツ用品メーカーの工場がある為、そちら方面の来客も多く、店内にはサインボールやら色紙やら写真がいっぱい。工場訪問のついでに寄るプロ選手も多いとのこと。テレビが点いていたがそちらも大リーグ中継だった。テーブル席に腰かけ、テーブルに置かれたメニューと壁に貼られたメニューを眺める。実は意表をついた洋食屋の”寿司”にしようと思っていたが、どうもすでに提供は止めてしまっているようだった。残念…。トンテキも気になったが、この日の日替わり定食が、食堂らしからぬ「ローストビーフ」というハイカラなものだったので興味が湧き、「サービス定食」を注文。給仕は老齢の女将さん。厨房は主人と息子の親子で賄っているようだ。

あまり人が多いとは思えない土地ながら、次から次へと客が入って来る。日曜日の昼とあって家族連れが多かった。しっかりと地元の客が足を運んでいるのだろう。しばらく大リーグ中継を見ながら待っているとサービス定食が運ばれた。平皿の上にはローストビーフと小エビフライの他、つけ合わせの鶏の手羽元、大根の煮物、スパゲッティー、千切りキャベツ、トマト、それにいちごと盛り沢山。弁当で盛り付けに使うようなアルミ箔のカップが使われているのが微笑ましい。これにご飯と味噌汁、そして漬物が付く。下にレタスが敷かれたローストビーフは3切れほど。しっとりとしてなかなか旨い。これがクラシックな洋食屋で定食として出るのだから面白い。エビフライにはタルタルソースがかかっている。つけ合わせを間に挟みながらいただいた。漬物も糠の浸かり具合良く、旨い。次はオムライスかハヤシライス、それとも昔からあったメニューではなさそうな気がするが、トンテキ丼にいってみようかな。(勘定は¥780)

この後の記事はこちら

 


 

   ↓ 木造駅舎の養老鉄道・養老線「美濃高田駅」(大正2年・1913・建造)。無人駅で駅前は綺麗に整備されている。

↓ 養老公園にある旅館「千歳楼(せんざいろう)」(明治13年・1880・建造)。江戸時代の明和元年(1764)創業で、大正天皇を始め、皇族や文化人が数多く利用した。※登録有形文化財

 

↓ むくり屋根の破風、朱に塗られた漆喰壁が素晴らしい数寄屋造り。なかなか維持が大変で、修復も滞っている状態だそうだ。広い敷地内には池や庵も点在する。泊まってみたいナ。

 

↓ 素晴らしい風情が残る養老鉄道・養老線「養老駅」(大正2年・1913・建造 ※昭和4年頃改築)。往時は観光客の離発着でごった返したのだろう。

 

↓ 駅舎の中には上記の旅館「千歳楼」の売店があった。隣接してカフェーもあったようだ(現在は閉鎖)。旅館が駅に専売店を持つなんて、当時の「千歳楼」の繁栄を物語るようだ。

↓ 「養老の滝」がある養老山から濃尾平野の素晴らしい眺め。

 


 

お食事処 自由軒

岐阜県養老郡養老町高田967-1

 

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三輪酒造 @岐阜県大垣市

2016年05月25日 | 岐阜県(西濃・老舗)

岐阜県大垣市の街中で近代建築を探して散策。目当ての建築に寄って行くと、ん?隣がなんだか賑やか…。ここ酒造か(全然知らなかった)。しかもちょうどこの日が蔵開き…うん、行くしかない!という訳で、急きょ蔵開きに参加。最近行った先でこのパターンが多いが、松尾様(酒の神様)が自分を呼んでいるとしか思えない(笑)。伺ったのは船町にある「三輪酒造」(創業天保8年・1837)。主要銘柄は「白川郷」と「道三」。開場の時間前になるとぞくぞくと人が集まって来る。ハッピを着た酒造のスタッフの若いのが目につく。近年はこうやって若い人が酒造りに関わるパターンが多くなってきた。日本酒の未来は明るいゾ、きっと。

時間になって蔵が開き、奥へ奥へ。出店もあって賑やかだ。残念ながら運転があるので試飲は舐めることしか出来ず、「酒蔵バー」のチケットは購入せずに蔵を見て周る。濁り酒などは試飲出来るが、この日限定の生酒は試飲出来ず、チケットを買ってバーで呑むという事のようだ。バイクがあるのでうらめしい。いつもの事だけれど悔しいナー。

 

↓ 大正初期の水圧式圧搾機を備えた酒槽(さかふね)(※もろみを絞るところ)2基。建物は北蔵、南蔵とも国登録有形文化財に指定されているとのこと。

 

蔵の中にセッティングされたバーで楽しそうに呑む輩を横目に蔵を見て廻り、仕方なく買って帰ろうと売り場に戻り「男爵鉄心(Baron Tesshin)」と命名された本醸造酒を購入した。大垣藩の要職にあり藩を救ったと言われる人物「小原鉄心」(のちに男爵位)に由来する酒なんだとか。蔵の人によるとこの酒は燗酒のコンクールで入賞したとのこと。その他にもクイズに答えると猪口が貰えるというクイズ・ラリーをやっていたが、今から戻るのも、と外に出ていた濁り酒の試飲を”舐めた”後、大人しく蔵をあとにした。

家に帰って呑んでみる。本醸造らしいまとまりの良さがある酒。際立った個性があるわけではないが、なるほど燗上がりする。温度を上げてふくよかな味わいと香りを増幅させて呑んだ方が旨い酒だ。逆に言えば温度が低いと埋没してしまうかも。バイクで温度管理が不安だったので限定の生酒を購入出来なかったのが残念だった。(勘定は¥1,000)

 

↓ 件の酒造の隣の町屋「守屋孫八本家」(明治29年・1896・建造)。醤油の醸造所だったようで、既に隣にあったはずの蔵は無くなっていた。ガラスが割れ、中も荒れていたので行く末が心配。

↓ 養老方面へ移動。杭瀬川旧塩田橋の河畔にある「塩田の常夜燈」(明治13年・1880・建造)。大垣名産の石灰などを運ぶ船を見守った常夜灯。とてものどかな風景の中(写真下右)にある。

 

 

株式会社 三輪酒造

岐阜県大垣市船町4-48

( 大垣 おおがき みわ酒造 みわしゅぞう 酒蔵 日本酒 白川郷 道三 鉄心男爵 男爵 バロン バロンテッシン バロン鉄心 近代建築 登録有形文化財 )

 

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鶴丸 @岐阜県大垣市 (※閉店)

2015年06月06日 | 岐阜県(西濃・老舗)

創業が明治17年(1884)という岐阜県大垣市の老舗食堂「鶴丸」。JR大垣駅の北側にあり、その佇まいがとても素敵。間口は広くないが、昔の食堂がこうだったろうという典型的なしつらえをしていて、なんともいい感じだ。夏仕様の白い暖簾をくぐって店に入ると、土間の上にいくつかのテーブル席があるだけ。店内に手洗いが付いているのもこういう大衆食堂の典型。給仕は物腰のやさしい主人で、奥のガラス戸で仕切られた厨房の中には調理担当の女将さんがいらっしゃった。こういう食堂で時々目にするが、壁には鏡が張り巡らされている(広く見せる視覚効果?)。壁に並んだ品書きを眺めて迷う。こちらには麺とご飯、おかずがお椀型の2段のお重に入っているという魅力的な「定食」があるのだが、食べ切れないかもしれなかったので、軽く「うどんきし」を注文。実は「うどんきし」がどんなものなのか知らずに適当に頼んだんだけれど…。

しばらくしてうどんきし登場。うどんきしとはつまり、麺はうどん、つゆはきしめんというものだった。なるほど。つゆは白醤油だろうか、薄い色をしていて、きしめんのつゆらしく、刻み揚げと鰹節が散らされている。麺はやわめの茹で加減で、やさしい口当たり。つるつるっとあっという間に平らげて、甘味のあるつゆもいただいた。丼ぶりものも充実しているので食べてみたいし、次はなんと言っても「定食」を食べてみないと。(勘定は¥450)

この後の記事はこちら

※残念ながら令和2年5月末を以って閉店されました

 ↓ 食事後に訪れた美濃赤坂。下左は「赤坂港会館(旧・警察屯所)」(明治8年(1875)・建造・復元)と、「榎屋旅館(旧・中山道赤坂宿脇本陣跡)」。

 

 ↓ 古い街並みには蔵が備わる大きな屋敷がいくつも残っている。石灰や大理石の有数の産出地とあって、財を成した地元有力者一族の住宅は新旧問わず一望出来ない程に広大。

 

鶴丸 (つるまる)

岐阜県大垣市林町2-30-4

 

( 大垣 つるまる 中華そば定食 麺類食堂 矢橋家 矢橋大理石 矢橋大理石株式会社 中山道 赤坂宿 閉店 廃業 )

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金蝶園総本家 @岐阜県大垣市

2014年09月30日 | 岐阜県(西濃・老舗)

 

大垣市の和菓子(饅頭)の代名詞のようになっている「金蝶」の屋号。ただし、名物の常でこの屋号を持つ店はいくつもあり、元祖はよく分からない。ネットでパッと調べただけでも「金蝶園総本家」「金蝶園總本家」「金蝶堂」「金蝶堂總本店」「本家金蝶園」「駅前金蝶園」「長松金蝶園」「元祖 金蝶堂総本店」と山ほど名前が出てくる。これが同じルーツを持つ店なのか、全く違うのか、同じ店が複数の屋号を使い分けているのか…。ついでなので住所を基にネットでサッと調べられる範囲で一覧を作ってみた。まだ他にもありそう。

◇金蝶園總本家 大垣市郭町2-10  寛政10(1798)年 (喜多野弥右エ門) HP ※記事はこちら
◇金蝶堂總本店 大垣市郭町3-13  文久2(1862)年 (吉田すゑ) HP ※平成31年をもって閉店 
◇金蝶園総本家 大垣市高屋町1-17 寛政10(1798)年 (喜多野弥右エ門) HP
◇駅通り金蝶堂 大垣市高屋町1-47 文久2(1862)年 (吉田すゑ) HP
◇駅前金蝶園  大垣市高屋町1-64 安政5(1858)年
◇長松金蝶園  大垣市長松町1100-7 昭和47(1972)年  

 ※順不同、屋号・創業年・創業者名は正式のものではないかもしれません

ほとんどどのお店も「金蝶園饅頭」「金蝶饅頭」の名でいわゆる酒蒸し饅頭を名物としている。もう、どれがどれだかさっぱり分からない。全部周って食べ比べ…という気もほんの少しだけ起こったが、すぐに思い直して(笑)、とりあえず自分のいた場所から一番近い駅前の「金蝶園総本家」へ。

昭和26年の建築だという木造の店舗の前に来ると、金字の看板には「金蝶製菓總本家」と書いてある…。えーっと、ここ何処だっけ?(笑)。アーケード側には古い看板もあるのだが、そちらはちょうどアーケードで隠れてしまっている。その下の店先では涼しげな水まんじゅうを販売していた(これもまた元祖うんぬんで色々ありそう…)。店舗に入ると店内は綺麗に現代的になっており、少しだがイートインのスペースもある。駅前で場所が目立つので客もひっきりなしに入ってきて盛況。いろいろなお菓子があったが、名物の「金蝶園饅頭」を購入して家に持って帰った。

白い色の皮をまとい、所々に餡が見えるシンプルな酒饅頭。甘味はあっさりとしたこし餡。生地に酒や酒粕が用いられているのかどうかは分からないが、ほんのりと酒の香りがする。それでもさほど強いクセはない。たぶん他の店の金蝶を名乗る饅頭も似たタイプのものだろうことは想像出来る。どうかどのお店も共存繁栄されますように…。

 ↓ 駅前の通りで見かけたカオスなお店「城東金物神保商店」(金物雑貨屋)、そのすぐ近くの店「ナンデモヤ」(3軒分でこれも金物雑貨屋)もすごい

 

 ↓ 脇道に入るとなんともいい感じの食堂(残念ながらすでに閉店)があった。営業してたら入ってたな…。

金蝶園総本家

岐阜県大垣市高屋町1-17

(きんちょうえんそうほんけ きんちょうえんそうほんてん)

 

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鶴岡屋本店 @岐阜県大垣市

2014年09月28日 | 岐阜県(西濃・老舗)

大垣駅の南に位置する街道沿いにある「鶴岡屋本店」。創業は明治35(1902)年というから110年もの永い歴史のある老舗。少し離れた駐車場に車を停め、店へ。店舗自体は新しいが、貫禄のある看板が掛かっている。店に入ると奥に長い造りで、一番奥が厨房。左にテーブル席、右に小上がりという配置。うどん各種から、中華そば、ご飯物と典型的な麺類食堂のラインナップ。品書きを見て、ここの名物といえる「かつ丼」にミニサイズがあると分かり、間食だったこともあって、それを選んで若い女性店員さんに伝える。少し外れた時間だったが、客はひっきりなしに入ってくる。家族連れ、カップル、一人、高齢者など、客層は形態も年齢も様々。しっかり地元に根付いて永い年月を経てきたのが分かる。

しばらくして自分のテーブルにかつ丼が運ばれた。こちらのかつ丼はいわゆる玉子でとじたものではなくいわゆる「ソースカツ丼」。岐阜は地域によってカツ丼のヴァリエーションがいくつかあるが、ここ大垣は特にソースカツ丼の有名な土地でもないので、歴史のある店がソースカツ丼なのは面白い。明治の頃からこのタイプだったのか、あとからそうなったのか興味が湧く。ミニなのでかつは3切れ。千切りのキャベツもなく、ご飯の上にのっているのはかつのみと潔い。かつは揚げたてのかつを、和風出汁ベースのソースにくぐらせてあり、サラッとしている。もちろん旨いに決まっている(笑)。量的にもちょうどよかった。ミニではあっても、これに漬物と大根の味噌汁が付く。味噌汁もこの地方には珍しく、赤だしじゃなくて新鮮。あっという間に完食した。地方的にみると異例尽くしのこのお店。どうしてそうなったのか経緯が気になるなァ。(勘定は¥560)

この後の記事はこちら

鶴岡屋本店

岐阜県大垣市久瀬川町2-42

 

(つるおかや つるおかやほんてん 鶴岡屋 亜種 ) 

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つちや @岐阜県大垣市

2014年09月26日 | 岐阜県(西濃・老舗)

創業宝暦5年(1755)という260年近くの長い歴史を持つ和菓子屋「槌谷(つちや)」。大垣市の俵町に本店を置く老舗で、現在は「つちや」として県下の各所に支店がある。この近辺は区画整理が進行中で、この店の周囲も広い道が迫ってきている。そんな中に存在感のある古い店舗。見上げると豪華な柿の彫り物も付いた年季の入った木製看板が掛かっているが、名物の「柿羊羹」という文字の下にアルファベットで「KAKIYOKAN」と彫られているのがなんだかアンバランスで面白い。店に入ると様々な和菓子が並ぶショーケースがあり、右側に冷蔵が必要な和洋菓子が並んでいる。何にしようかと覗いていると、お店の方が、小さい盆の上に、発売中だというフルーツ味の水饅頭と、一杯の冷たいお茶を出して下さる。暑い中を駅から歩いて来たので有難い。店内に用意された椅子に座っていただいた。こんなおもてなしをしていただくと、和菓子屋ではいつも少量しか買わないのでなんだか申し訳ないが、「構いませんよ、暑い中わざわざありがとうございます」と素敵なお言葉。遠慮なく、水饅頭とレモン味の「ぽよ」というお菓子を包んでもらった。

ぽよはもちもちの皮の中にクリームが入ったお菓子で、中のクリームがレモンの風味。冷やしてあり、味わいは意外とあっさり。水饅頭は小さく、こちらも中のこし餡が甘過ぎず、あっさりとしてぷるんとした柔らかい口当たり。暑い夏に出回る商品のようで、自分が歩いたこの日のように暑い日だと、口当たりも食感もよく、涼が感じられてとても旨い。大垣はこの水饅頭(葛饅頭)が名物になっており、そこかしこで売っているが、どこが元祖なのかはよく分からない。それぞれの味の差もさほど大きくないように思うが、それでもデパートやなんかで大量に捌かれているのを購入するよりも、こんな歴史ある店の雰囲気を味わい、やさしい心遣いを受けてから食べると乙なもんです。

このお店の裏手に煙突があったので、銭湯でも残っているのかなと思ったら、一帯の敷地は全部この槌谷のもので、作業場とか蔵があるのだった。すごいなァ。(勘定は¥500程)

この後の記事はこちら

つちや

岐阜県大垣市俵町39

 

(御菓子つちや 御菓子槌谷 お菓子つちや)

 

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