Apples / Ian Dury (1989)
このアルバムはちょっと変則で、イアン・デューリー(Ian Dury)のソロ作品ではあるんだけれど、ロンドンで上演された演劇のサントラみたいな位置づけらしい。実際に使われた曲なのかどうか。一部の曲はキルバーン&ザ・ハイ・ロウズ(Kilburn & The High-Roads )時代のもので、作曲とレコーディングにはブロックヘッズ(The Blockheads)のキーボーディスト、ミッキー・ギャラガー(Mickey Gallagher)が参加。イアンと共同でプロデュースも担当。早期に打ち切りとなってしまった演劇(デューリー自身の脚本)と同様、発表当時の評判は芳しくなく、セールス的にもいまいちだったそうだ。
当時、デューリーの過去のアルバムは聴いていたが、このアルバムには手を出していなかった。ミッキー・ギャラガーとのコラボなのに何故触手が伸びなかったのだろう。内容は女性ヴォーカルとのデュエットがあったりといつものデューリーの作品とは少々趣が違い、企画ものではあるのだが少々散漫な出来。もとの演劇の内容をよく知らないので余計に引っ掛からない。全体的に溌剌さが感じられず、特有のアイロニーや情景描写があまり伝わってこないのだ。評判をとらなかったのも頷ける気がする。調べていて分かったが、彼自身もアル中で状態があまり良くなかったのだとか。ただ、相当ひどい内容かっていうとそうでもなく、普通には聴ける。もちろん彼のヴォーカルの魅力あってのものだけれど。
ちなみにジャケットのアートワークはビートルズ(The Beatles)の「Sergent Peppers~」をデザインした事で有名なPeter Blakeとの事。
中古店にて購入(¥500)