彦根から車で移動し多賀方面へ。途中で素晴らしい近代建築と、アニメのコスプレ連中に度胆を抜かれながら「多賀大社」に着いた。駐車場に車を入れ、ここでも自転車を取り出してゆっくりと参道「絵馬通り」近辺を散策。さすがに多賀大社入口辺りの店は商売っ気が強いが、少し外れるとすぐにのんびりとした旧街道沿いといった雰囲気になる。こちら多賀で有名な菓子は「糸切餅」。いくつか店舗があるようで、どこも”元祖”や”本家”を名乗っているので出自はよく分からないが、賑わいのある場所から外れて一番遠く、一番素朴な感じの店、こちら「ひしや」に入ってみた。創業は明治23年(1891)で現在4代目だとか。店の裏にひっそりと置かれた看板には”多賀大社御用達”の文字も。店に入り、彦根市内でもお土産の和菓子を買っているので女将さんに一番小さい包み(10個入)をお願いした。
いくつかある「糸切餅」の店でも実際に糸切りをしているのは現在こちらだけだとか(未確認)。起源は”蒙古襲来”にまで遡るというこの「糸切餅」は米粉の餅であんこをくるんでいる菓子。白い餅に鮮やかな赤1本、青2本の線が入っているが、これは後から書いているのではなく、色付けした餅を金太郎飴のように挟んで伸ばしているらしい。切る時には三味線の弦を使って切るのだそう。綺麗に箱に小さい餅が並んだ姿は艶があり、まるで飴のよう。手で持つと崩れてしまいそうな軟らかさで、箱から出すのも難儀なほど。ほんのりとした甘さで、餅と餡が馴染んでいて旨い。作っている所を見てみたかったナ。(勘定は¥700程)
↓ 彦根市日夏町にある「旧・日夏村役場・産業組合合同庁舎」(昭和10年・1935・建造)◇。改修され、一部がカフェとして利用されているようだ。設計はヴォーリズ建築建築事務所で登録有形文化財に指定されている。メインの建物は何かに使われているのかな。中には役場のカウンターがそのまま残されていた。
↓ 豊郷町にある「旧・豊郷小学校校舎」(昭和12年・1937・建造、平成21年改修)◇。設計はウィリアム・メレル・ヴォーリズ(William Merrell Vories)。綺麗に改修され公開されている。それにしても小学校とは思えない大きなスケールの建物だ。階段の手摺りにある有名な真鍮のウサギとカメの像が楽しい。国の登録有形文化財に指定されている。詳しくないので来てビックリしたのだが、建物がアニメの設定モデルとなったらしく、そこかしこがコスプレイヤー、フィギュアを持った人、痛(イタ)車などで溢れている。教室の一部ではアニソンのライヴ、講堂でも歌の大会か何かが開催されていた。それだけなら地域振興に寄与してめでたい事だろうが、セーラー服姿のオッサン、オニイサンが何人もウロウロしているのを見るとさすがに気持ちが悪い…。
↓ 校舎の向かって右側にある「旧・豊郷小学校講堂」。建物のデザインはシンプル。にしてもこれが小学校かと思うくらい立派な講堂。
↓ 向かって左側に講堂と対に建つ「旧・豊郷小学校酬徳記念図書館」。外観は講堂と同様にシンプルだが、内装はグッとデコラティヴ。現在はかつて受付だったろう場所に売店や、カフェなどもあり、写真では分かり辛いがそこかしこがアニメ関係のパネル等で埋め尽くされていた…。
↓ 上の校舎群のすぐ近くに残る「旧・豊郷尋常高等小学校本館」(明治20年・1887・建造、のち改修)◇。校舎群の先代に当たる建物。こちらも登録有形文化財に指定はされているが、相当傷みが激しかったのか全面改修中。年代を感じさせる風情はほとんど消えてしまっていた。これが近代建築保存の難しいところ。
↓ 上の校舎のすぐ近くで見つけた板張りの建物「四十九院公民館」(建築詳細不明)◇。現役の公民館だろうが、予備知識が無かったので、こちらの方が感動した。
本家 ひしや
滋賀県犬上郡多賀町多賀711
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