テデスキ・トラックス・バンド (3月30日 名古屋・名古屋市公会堂)
いろんな事情でなかなか都合がつかなかったので本当に久しぶりのライヴ。2014年以来2年ぶりのテデスキ・トラックス・バンド(Tedeschi Trucks Band)の来日公演初日は、大好きな名古屋市公会堂で。近代建築好きにとって願ったり叶ったりの公演会場だ。中学生の頃から外タレの公演でここに来ているが、昔はただの古臭い会場と思っていた建物が、今ではダイヤモンドの輝き(笑)。建物のレポートは別の機会に譲るとして…。公会堂のある鶴舞公園は花見の季節とあって、ありとあらゆる屋台や、大道芸人も繰り出して大騒ぎの様相。すでにそこかしこで酒盛りが始まっており、終わっちゃってる人も。バンドのメンバーはこの騒ぎを何と見るやと目を凝らすとコーラス隊が屋台で何かを仕入れてはしゃいでいる様子(笑)。せっかくなのでメンバーみんなに日本のお祭り騒ぎと桜の花を楽しんでほしいナ、と思いつつ会場内へ(メンバーは日中しゃぶしゃぶの店を探した模様)。
前日でもサイトではチケットが残っていたので予想はついていたが客入りは芳しくない。3階席まである公会堂だが、3階はもちろん2階も全然埋まっていない様子(3階席チケットの人は2階に振り替えられていた)。洋楽不況の昨今だから仕方がないとはいえ、招聘元や協賛各社はもっと努力が必要なんじゃないかな。中年以降の人間は少々チケット代が高くても買ってしまうが、こういう”本物”のバンドこそ若い人達に見てもらわないと裾野が拡がっていかないだろうに。3階席や2階席の後ろでいいから、もっとチケット料金を細かく設定して、安い値段でも入れるようにするとか、前売りで売れ行きが悪いと判明した公演は直前に割引して客入りを改善するとか…。せっかくの公演を満員で盛り上げてあげなきゃどうするの。「日本が好き」なんて曲まで作ってくれてるのに。たぶん興行的には成り立っているんだろうが…。もう名古屋来ないヨ、きっと。
今回の席は普通にネットで取ったのだが、真ん中辺りでなかなかいいやと思っていたところ、着席してみるとミキシング卓の真後ろの席。悪くはないけどモニターの灯りが目障りなんだよなー。(※ちなみに公演中でも携帯電話・スマホでの写真撮影、動画撮影はOKです)
バックドロップ以外何もないシンプルなステージに緩い雰囲気でメンバーが登場するも、デレク(Derek Trucks)のギブソンSGが鳴ると、その神々しい音で空気が変わる。相変わらずほとんど愛想無しの超地味な態度だが、エフェクト無し、フィンガーピッキングのみのギターは信じられないくらい雄弁。相変わらず凄い。スーザン(Susan Tedeschi)のヴォーカルはツアー初めとあって休養充分なのか、艶も伸びも最高にいい。会場は年齢層が高めなこともあって一部を除いて着席。ま、このバンドなら座って観ていいだろう。でもいい演奏があった時は立って拍手を送ってほしいなァ。自分は来日前の活動を押さえていたので、カヴァー大会になるかもという予想はついていて、しっかり予習済み(と言っても知っている曲ばかりだが)。結局半分がカヴァー曲という構成だった。ニュー・アルバムが発売されたばかりだから、そこからもう少し演って欲しいけれど…。
詳しくは知らないが(なにせ大人数なもので)、バックのメンバーは前回来日時から何人か異動があった模様。アルバムでは効果が今ひとつ分かり難いツイン・ドラム体制も、ライヴでは素晴らしい迫力と対決。なぜか何度もスネアを取替えていたようだが、素晴らしいパフォーマンスと音圧だった。キーボード兼フルートのコフィ(Kofi Burbridge)が大活躍。バンドはインド風、(エレクトリック)マイルス風など、色んな側面も見せ、とても充実した演奏内容だった。スーザンはヴォーカルのみならず、ブルース曲でのギター・ソロでも素晴らしく、時に身をよじって声を張り上げるパフォーマンスはガッツがあり、迫力充分。絶好調だ。途中デレクのソロと共に派手なノイズが入っていたように聴こえたけど何だったのかな?(エンジニアが慌てていた)。アンコールでは、あるかと思っていたデヴィッド・ボウイ(David Bowie)のカヴァーは無かったけれど、前回聴くことが叶わなかった「スペース・キャプテン」(Mad Dogs And Englishmen !)を演ってくれて最高に嬉しい。メンバーはこの後の武道館公演(4/1)をやはり特別に捉えているみたいだし、GOですよ、みなさん。超満員にしてやって。
公開されている名古屋公演の音源はこちら
<セットリスト>
01. Don't Know What It Means
02. The Letter (Joe Cocker cover)
03. Laugh About It
04. Bird on the Wire (Leonard Cohen cover)
05. Within You Without You (The Beatles cover)
06. Just As Strange
07. Idle Wind
08. Get What You Deserve (The Derek Trucks Band cover)
09. Don't Think Twice, It's All Right (Bob Dylan cover・without Derek)
10. I Want More
11. I Pity the Fool (Bobby “Blue” Bland cover)
12. Let Me Get By
13. Bound for Glory
ーEncoreー
14. Space Captain (Mad Dogs And Englishmen cover)
↓ 会場を出るとまだ大盛り上がりの鶴舞公園。酔っ払いばっかりだ。(下右)ライトアップされた終演後の「名古屋市公会堂」(昭和5年・1930・建造)。来年から改修工事に入るとの事。