ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

森井本店 @神戸市中央区・三宮

2015年07月31日 | 兵庫県

神戸の三宮駅のガード下に位置する酒場「森井本店」。大正7年(1918)創業で、もうすぐ創業100年を迎えようかという老舗。平成7年の阪神大震災で建て替えられたと聞いていたので、まだ新しい店を想像していたのだが、店先の古い木製看板が掛かる佇まいといい、店内の様子といい、すでに貫禄が出てきているのがすごい。店内にも古い看板屋やポスターなどか飾られて落ち着いた雰囲気。カウンターに腰を下ろして、まず、「金盃酒造」の純米酒一合を冷や(常温)で注文。ちょうど誰かが頼んで出来上がったばかりの焼きそばがカウンターにのっていて、あまりにも旨そうで頼みそうになったのだが、ハシゴなのでグッと我慢して、酒肴は軽く、定番の「鯖生ずし」(締めさば)を注文した。

店内は年齢層こそやや高めだったものの、サラリーマンや男女のグループなどで賑わっていた。それでも週末で若い人が多く繰り出している界隈からするとグッと渋め。こういう店で呑むと落ち着くようになったのは中年の証しだろうか。酒は「金盃」の銘が入った徳利とガラスコップで出される。色も濃い目で、どっしりとした味。お通しは失念。生(き)ずしは小振りで締め加減はしっかりめ。生姜が添えられていて、少しのせたりして楽しんだ。旨い。隣の席では若いサラリーマンが年輩の上司に対して熱弁を奮っている。でも上司の方は完全に出来あがっていて無口なので、明日になったら覚えてないだろうなァ(笑)。ひとり客も多いが、見た感じ、サッと引き上げて行く人が多い。「どて焼き」を追加。「焼き」だが、実態は「煮込み」で、中に入ったスジ肉がとても旨い。やや甘めの味付け。こちらの酒とはよく合って、煮つゆまで呑み干してしまった。(勘定は¥2,000程)

 ↓ 翌朝の早起き近代建築散歩シリーズその2。(その1はこちら)、「神戸郵船ビル(旧・日本郵船神戸支店)」(大正7年・1918・建築)。黄色いテント屋根が妙にマッチしてかっこいい。

 

 ↓ 道を挟んで向かいにある「丸亀組(旧・オール商会ビル)」(建築年不明だが戦前で間違いないだろう)

 ↓ 「神港ビルヂング(旧・川崎汽船本社ビル)」(昭和14年・1939・建造)。建物はシンプルだが、屋上のガラス張りの塔屋が珍しい。

 

 ↓ 「チャータードビル(旧・チャータード銀行神戸支店)」(昭和13年・1938・建造)。現在はカフェやレストランが入っている。列柱がかっこいい。

 

 ↓ 「旧居留地十五番館(旧・アメリカ合衆国領事館)」(明治13年・1880頃・建造) ※国重要文化財。震災で全壊したが、元の建材で再建されたんだとか。

 

 

居酒屋 森井本店

兵庫県神戸市中央区北長狭通2-31-42

( 神戸 三宮 三ノ宮 金盃森井本店 森井本店 居酒屋森井本店 金盃 金杯 太田和彦 ニッポン居酒屋放浪記 )

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ニューパロマ @岐阜県岐阜市

2015年07月30日 | 岐阜県(岐阜)

岐阜のかつての繁華街、柳ケ瀬のアーケード街にある喫茶店「ニューパロマ」。正確な創業年は分からなかったが、60年代後半だろうか。レンガ壁がお洒落な店の入口にはサンプル・ケースがあり、洋食メニューが並んでいる。半地下の店に降りると、昭和の喫茶店の雰囲気を色濃く残す店内の左側に、年季の入った扉付き木製棚が。この中には常連さん用のカップを預かっているのだとか。店は奥に長く、壁には漫画本がぎっしり。各テーブル席の椅子にはなぜかルイ・ヴィトンの座布団が(笑)(←こんなの本当にあるの?)。外の通りは閑散としているのに、この店にはしっかり客が入っていて、人気の店だと分かる。奥の席に座り、クリアファイルに入ったメニューを拡げると洋食メニューが一杯で、創作した料理もたくさん載っている。客の要望にはどんどん応えていく主人のようだ。どれもなかなか旨そうだが、こちらは「鉄板スパ」で有名なお店。もちろんぶれる事なく「イタリアン」を注文した(※「イタリアン」は、この中京地方ではいわゆる「ナポリタン」のこと)。

調理をするゴトゴトという音を背に聞きながら、頭上のテレビを眺めて待っていた。しばらくして奥様が、鉄板でジューッと旨そうな音を立てるイタリアンと、パルメザンチーズやタバスコの入った籠を持ってきてくれた。イタリアンは定番の楕円形ではなく、丸い鉄板にのっている。切ったウインナーがたっぷり入っていて、ケチャップが焼ける香りが香ばしい。玉子液は敷いてあるのではなく、周りに流しかけられていて、すぐに固まる気配をみせているので、いつものようにヤケド覚悟でスパゲッティーと玉子をフォークで絡めて口の中に放り込む。熱い、けど旨い。スパゲッティーは太く、柔らかめの茹で加減で、しっかりと濃い味付け。パルメザンチーズを振って少しマイルドな口当たりにしたり、タバスコで引き締めたり、ウスターソースを少し垂らしてみたりと、量も多いので色んなことをして楽しむ事が出来る。玉子がだんだんと焼けて固まってきたところも旨い。満足度の高い鉄板スパだった。次はぜひ他の洋食メニューを頼んでみたいな。(勘定は¥600)

この後の記事はこちらこちら

 ↓ 「てつめいギャラリー(旧・岐阜貯蓄銀行本店)」(昭和12年・1937・建造)。市民ギャラリーになる前は「十六銀行徹明支店」。

 

喫茶 ニューパロマ

岐阜県岐阜市柳ケ瀬通3-24

 

( 柳ヶ瀬 やながせ NEW PALOMA 鉄板スパ 鉄板スパゲッティー 鉄板スパゲティー イタリアン ナポリタン )

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味処 もちづき @名古屋市中村区・大門

2015年07月29日 | 名古屋(中村区・西区)

名古屋駅のホテルにて会合と会食があり、それを済ませた後に訪問したのは中村区・大門にある日本料理の店「味処もちづき」。以前から評判を聞いていたのだが、なかなか予約を入れられる確実な日が無かったので、ホテルで食事が出るとは分かっていたが、あえてこの日に設定。ま、どのみちホテルでの仕事上のパーティー料理はそれほどそそられないし、歓談などに忙しく、楽しんで食べられない事も多いので問題無し。時間を見て名駅から店へ向かう。店のある界隈はその昔「中村遊郭」として栄えた土地。以前にも近辺を散策したが、夜に来るのは初めて。太閤通から中に入るとひっそりとしていて、もちろん往時を偲ばせるような灯りは目に入らない(そういう文化に関連した建物はもう少し先にあります・笑)。そんな場所にひっそりと店があった。暖簾をくぐるとすぐ目の前にカウンターがある。個室もあるようだ。予約の名前を告げて腰を下ろし、飲み物を注文。最初から日本酒「澤屋まつもと」(京都)を選んだ。料理はおまかせでお願いしてある。

調理する主人の目の前の席だったので、てきぱきと、時間差を考えて次々と調理を進めていく主人の所作を眺めながら呑むのは楽しい。若い衆との息もぴったりで、よく客を見ているのだろう、リズムがいい。自分は食べるのも、呑むのも早いが、あまり間が空く事も無く、テンポ良く呑み喰い出来るので気分がいい。自分にとっては、これって重要なのだ。先付けは雲丹と山芋。霧を吹いたお椀はアイナメとジュンサイの吸い物。ほっとする控えめな口当たりが、酒を呑んでいる身には嬉しい。自分は呑む時、必ず傍らに「和らぎ水」を置いておくが、同様にこういう吸い物が胃の中をやさしく包んでくれると、一層旨く感じられる。日本料理って上手いこと出来てるなァ。向付は鮪、烏賊、平目の刺身。焼物は稚鮎。鮎は蓼酢でいただく事が多いが、こちらでは蓼の葉がそのまま出て、柚子と合わせ、稚鮎と一緒に食べる趣向が凝らされている。面白い。次の酒は珍しい名前の「紀土(KID)」(和歌山)に。

淡々と調理を進めている主人だが、手が空くと声を掛けてくれる。寡黙そうに見えるがお茶目なところもあり、手持無沙汰にならず、楽しく時間を過ごすことが出来た。若い衆も人懐っこくて可愛らしい。こちらの名物というじゃがいものハリハリが出された時に「ん?」と思ったが、聞くと主人は岐阜の高名な日本料理の店出身とのこと。なるほど。この他にも穴子の入った飛龍頭や、山海の酒肴が盛られた八寸が出て、いくらでも呑めてしまう。締めには蕎麦か、お茶漬けが選べるのだが、他の客に作っていた時から旨そうなお茶漬けに決めていた。椀に生海苔がたっぷり入っており、香りも良く、山葵と梅を崩しながらいただく。…幸せ。最後にはデザートが出て終了。日本料理の組立が守られているが、堅苦しくなく、料理には様々な工夫がされていて一品一品楽しんでいただけた。元々日本料理は酒を美味しくいただく為の料理という側面があるが、なるほどそんな感じ。季節を変えて、また行きたいなァ。(勘定は¥9,000程)

 ↓ 名駅のホテルの51階から眺めた太閤通・中村公園方面。

 

味処 もちづき

愛知県名古屋市中村区名楽町1-35

( 大門 中村区役所 中村公園 太閤通 あじどころ もちづき 日本料理 割烹 たか田八祥 味処おおたに )

 

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Straight To Hell : Original Motion Picture Soundtrack

2015年07月28日 | サウンドトラック

Straight To Hell : Original Motion Picture Soundtrack (1987)

アレックス・コックス(Alex Cox)監督作品の映画「Straight To Hell」のサントラ。日本で公開されたのかどうかは知らないが、当時もその濃い面子が揃った映画はいわゆるカルト・ムーヴィーとして話題に挙がったと記憶する(自分は映画を見ていないので内容は知らないのだが…)。欧米人はマカロニ・ウエスタン映画(向こうで言う「Spaghetti Western Film」)に強い思い入れがあるようで、特に、パンク・ニューウェーヴやオルタナティヴ音楽では、マカロニ・ウエスタンの映画音楽、劇中サウンドやダイヤログ(台詞)がコラージュされている事が多い(それにしてもなぜ日本では「マカロニ」になったんだろう?)。この映画に出演した面々も、デニス・ホッパー(Dennis Hopper)、ジョー・ストラマー(Joe Strummer)、ディック・ルード(Dick Rude)、グレース・ジョーンズ(Grace Jones)、エルビス・コステロ(Elvis Costello)、ジム・ジャームッシュ(Jim Jarmusch)など錚々たる顔ぶれ。ホール(Hole)のコートニー・ラヴ(Courtney Love)まで出演している。こりゃ一回観てみないとな…。

サントラはポーグス(The Pogues)の音楽を中心として、ラテンの要素が入って「ごった煮」感覚。当時のジョー・ストラマーはラテン風味の音楽にご執心だったし、ポーグスも元々そういう音楽要素があるから、アルバムとしての統一感があって楽しめる。聴き比べてはいないが、収録曲はヴァージョン違いだったりするらしいので、ファンは要注意(ポーグスは一聴して分かるが)。この記事を書くまで知らなかったが、映画にはDVD・ブルーレイ用(?)ニュー・ディレクターズ・カットの「Straight To Hell Returns」があるらしい。そのサントラも出ているようなので探してみようかな。

amazonにて購入(¥361)

  • CD (2004/1/6)
  • Original: 1987/6/26
  • Disc: 1
  • Format: Soundtrack, Import
  • Label: Msi
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吉田のおでん @岐阜県岐阜市 (※閉店)

2015年07月27日 | 岐阜県(岐阜)

お気に入りの漬物を買いに行ったり、うどんを食べに行ったり、酒(その1その2)を呑んだり、鯛焼きをつまんだり、和菓子(その1その2)を買ったりと頻繁に訪れるようになった岐阜市の「美殿町商店街」。こちらは歴史のある古い店が多い通りだが、最近は若い人の店も増え、小さく静かな商店街なんだけれど、新旧のそれぞれ個性のある店がまとまって、商店街を盛り上げようという姿勢が感じられて、とても気に入っている。まだ訪れていない店もあるが、この日は何軒も呑み歩いた後に、「吉田のおでん」を訪れてみた。「美殿屋漬物店」の横、角地にある店には大きな提灯がぶら下がっている。窓から見える店内は、カウンターのみのシンプルで落ち着いた雰囲気。縄のれんが掛かっているが、いわゆるおでん屋とは違ってお洒落な感じだ。店に入ると白衣を着た若い主人が迎えてくれる。おでん鍋の前の席に腰を下ろした。

お酒は「房島屋」(揖斐)の冷蔵酒を、おでん種(たね)は大根と白滝を注文した。タネはトマト(蕃茄と表記されている)や車麩など、この辺りでは珍しいものもある。主人が四角いおでん鍋の中に入ったタネを慈しむように転がしながら、平皿に盛ってくれる。酒は錫の徳利に入れられて出てきた。センス良く、落ち着いて温かみのある綺麗な店内は、物腰やさしい主人の所作と相まって、ゆっくり杯を傾ける事の出来るいい雰囲気。バカ騒ぎがなく、ひとり呑みにはぴったり(賑やかな店が好きな人は逆に落ち着かないかも)。この地方では珍しく、おでんのつゆはすっきりとして薄味だが、出汁がしっかりと滲みて滋味深い味で、旨い。酒の味がよく分かる。これはやはり日本酒じゃないとなァ。この地方では濃くハッキリとした味付けが主流なので、この味にするにはちょっと勇気がいっただろうと思うが、きっと主人も酒を邪魔しない味付けを考えているんじゃないかな。車麩と蛤湯葉を追加。こちらの湯葉は「湯葉勇」のものだそう。自分が気に入っている店のものが使われていると、こちらも嬉しくなってしまう。(勘定は¥2,500程)

 ↓ 通りの角にある「吉田のおでん」。赤い自転車の後ろには出前用の岡持ちが。右側に見える灯りは「美殿屋漬物店」。

吉田のおでん

岐阜県岐阜市美殿町45

( 美殿町 みとのまち 美殿町商店街 おでん 吉田 よしだのおでん )

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酒の穴 @大阪市浪速区・新世界

2015年07月26日 | 大阪府

久しぶりに大阪の地に立った。2008年のザ・フー(The Who)のライヴの時以来だから7年ぶりか。そんな大阪は、知らないうちに大陸人に占拠されていた(笑)。どこへ行っても、どんな路地に入っても、どんな店に入っても、あちらの人ばかり。その活動バイタリティーには感心させられる。ただ街のルールもあっちの人達の基準が浸食し始めていることが散見出来て、ちょっと心配にもなる。ただ、商売をやっている人達にとっては、これだけの人数が買物をしたり、飲食をしてくれるんだから、有難い存在だろう。ホテルを予約しようにも、難波や心斎橋近辺のシティーホテルには空き部屋がほとんど無い(もちろんある程度金を出せばある)。訊くとやはり大陸の人達のツアー予約で一杯なのだという。ホテルには寝に帰るだけと分かっていたから、御堂筋線で適当に選んだら「新世界(動物園前)」になった。初めての場所なので、これはこれで面白そうだ。

駅を出て通天閣方面へ歩いて行くと、串カツ屋と呑み屋だらけ。週末とあってか、有名な串カツ屋は昼間からどこも行列で、すでに出来上がっている人も多い。以前はもっと荒れた場所だと聞いていたが、今は若い人や旅行者が多くなり、随分と雰囲気が変わったそうだ。うちの母は大阪出身だが、若い女学生の頃に、ここ新世界とか鶴橋は決して立ち寄らない場所だったと言う。街をひとまわりして、新築されたばかりのホテルにチェックインし、行列の串カツ屋を横目に向かったのは、居酒屋「酒の穴」。

店に着くとなぜか同じ名前の看板の店が並んでおり、入口も別。とりあえず、常連らしきおじさん達で一杯の方に入る。カウンターに囲まれていて、店員は3名程。テレビでは阪神戦デーゲーム中継の真っ最中。客は意外と冷静なのに、明るい店員のお兄さんはずっと一喜一憂している(笑)。さすがにこんな店にまでは大陸の人々も来ないようだ。ビールの大瓶を注文。外の看板に名物とあった「八宝菜」と、串かつ(牛)を注文した。すぐに出てきた八宝菜は、じゃが芋も入ってシチューのようで、すきっ腹を落ち着かせるにはちょうど良かった。これが200円というのだから凄い。どの品も値付けが安く、味も量もそこそこだが、呑むにはちょうどいい按配。阪神が打てば喝采を、抑えられると野次がテレビ画面に浴びせかけられる(もちろん店員から・笑)。そんな微笑ましい雰囲気で呑むビールもまた格別。基本的にはひとりで静かに呑むことが出来て居心地がいい店だ。串や牛スジ煮などを適当に追加で注文して、旨い旨いと呑んでいると、もう他所へ行くのは止めちゃおうかと、1軒目にしてここで終わってしまいそうになる。外から全身極彩色(髪の毛まで!)という信じられない出で立ちの派手なおばちゃんが普通に店に入って来て、向かいに座ったのを見届けて勘定してもらった。分かってはいたが、その安さにも驚いた。(勘定は¥1,070)

 ↓ 絵に描いたような新世界・通天閣のある風景。串かつ屋ばかり乱立していた。よく成り立つもんだなァ。こちらもすれ違うのは大陸の人達ばかり。

 ↓ 「新世界国際劇場(旧・南陽演舞場)」(昭和5年・1930・建造)。手書き看板も健在の、素晴しい「ザ・昭和」映画館だが、「ハッテン」していると評判なのでもちろん入らない(笑)。

 ↓ 「ギャラリー再会(旧・喫茶再会)」(昭和28年・1953・建造) ※国登録有形文化財

 

酒の穴

大阪府大阪市浪速区恵美須東2-4-21

( 新世界 動物園前 さけのあな 吉田類 酒場放浪記 串かつ 串カツ )

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松竹大歌舞伎 「河内山」「藤娘」「芝翫奴」 @名古屋・日本特殊陶業市民文化会館 ビレッジホール

2015年07月25日 | 歌舞伎・文楽

歌舞伎 「平成二十七年度 松竹大歌舞伎」 (7月24日・名古屋・日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール)

酷暑の中、金山の「日本特殊陶業市民文化会館」へ歌舞伎見物。会場の名前は長いが「名古屋市民会館」のこと。自動車のスパークプラグで有名な「NGK」の会社のネーミングライツでこの名前。やっぱりNGK会館だと大阪と混同してまずいか(笑)。歌舞伎の地方公演のチケットは、いつも発売日をつい忘れてしまうので、昨年の11月以来、久しぶり。これも随分あとから取ったので、席は2階席の後ろの方だ。会場の入りはまあまあといったところ。さすがに2階席は空席が目立つ。

この巡業のメインは成駒屋・橋之助。自分は劇場で見るのは初めて。お数寄屋坊主(茶坊主)の河内山は初役だそうだ。豪傑な河内山を堂々と演じ、ちょっと笑える人間臭いところも安心して見ていられる。質屋の店先の場面からだったが、話の筋が分かりやすいので、中盤少し(観ている自分が)ダレるところがあったものの、楽しめた。こういうご無体な人物にモデルがあったのかどうか知らないが、こういう状況を見て笑える文化があったという事なんだよなァ。歌舞伎は数多ある現在の演劇と違い、話の筋は「最初から知っているもの」として観るところがあるので、江戸や、明治の一般の人達には、教養としてこういう話や人間関係が頭に入っていたという事なんだろうか。当時の日本の人々の識字率は世界随一だと聞いた事があるが、教養の高さという意味では文明史的になかなか凄いことなんじゃ…。

藤娘の児太郎も初見かな。暗闇から、パッと藤の木が浮かび上がる演出では観客から感嘆の溜息が。衣装が替わる度に皆がうっとりとしている。もちろん訓練の賜物だが、年頃(つまり男臭くなる盛り)の男性が、どうしてこうも美しい所作で舞えるのかと感心する。ただ、十代目福助の襲名はどうなってしまうのだろう…。

意外なところで楽しめたのが橋之助の息子、国生の芝翫奴。この日の書き割りは、桜が満開の吉原・仲之町だったが、一番手前の目立つ下手(しもて)の店の屋号が「松葉屋」と、上手(かみて)が「山口巴」。昨日たまたま読了した本が、吉原に関する本だったが、この著者は引手茶屋の女将で、店の屋号が「松葉屋」。もともとは歌舞伎の書き割りには出ていなかったのが、先代中村吉右衛門との縁で、戦後から歌舞伎の書き割りに名前が出たのだそう。そのいきさつを読んだばかりだったので、そんな偶然に驚いた。描かれた当時はかなりの宣伝になったというが、さもありなん。吉原で主人を探す奴(国生)の、成駒屋お家芸の踊りも、迫力、メリハリがあって、とても良かった。

 

天衣紛上野初花(くもにまごううえののはつはな)

一、河内山(こうちやま)
質見世より玄関先まで


河内山宗俊    中村 橋之助
高木小左衛門  坂東 秀調
宮崎数馬      中村 国生
腰元浪路      中村 芝のぶ
北村大膳      中村 橋吾
後家おまき    中村 芝喜松
和泉屋清兵衛  松本 錦吾
松江出雲守    大谷 友右衛門

二、藤 娘(ふじむすめ)
  芝翫奴(しかんやっこ)
 
〈藤娘〉         
藤の精        中村 児太郎
 
〈芝翫奴〉         
奴            中村 国生

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岐阜会館 (レストランいちい) @岐阜県岐阜市 (※閉店)

2015年07月24日 | 岐阜県(岐阜)

休日の昼、食事に向かったのは岐阜市の司町にある「岐阜会館」。近辺には休日に開いているような店は少なく、公園が横にあることもあって、静かで落ち着いた雰囲気。こちらは古くから結婚式場、宴会場などに使われている建物で、創業は分からなかったが、建物の壁面に「Since 1940」の文字があるので昭和15年(1940)だろうか(※)。建物は立派だが昔ながらのビルで、さすがに今となっては古さは否めない。こちらにはレストランが併設されており、和・洋・中の食事をいただく事が出来る。今でこそ古びてはいるが、往年は名門ホテルのような格式があり、こちらのレストランで腕を磨いた料理人も多いと聞く。今をときめく岐阜のある日本料理店の主人もこちらの料理長だったんだとか。

(※外のランチを案内する立看板には「Since 1969」とあったのでレストランの創業は昭和44年かもしれない)

※追記(HPの「閉館のご報告」の報告によると、昭和25年に美江寺町に「レストランコロムビア」として創業、昭和44年に現在の地に移転したとのこと)

2階へ上がるとランチ・メニューの立看板が並んでいた。店には「レストランいちい」という名前が付いている。静かな日曜の昼だし、先客なんか居ないだろうと思っていたら、何組もの客がランチを楽しんでいた。やはり年輩の方が多い。席に座って改めてメニューを眺める。和洋中どれでもこの場所でいただけるようだ。いくつかあるランチ・メニューの中から選ぼうと思ったが、あまり食べたいものが見つからず、基本メニューの中から単品のオムライスを注文した。

しばらくしてオムライスが運ばれる。ランチ・メニューに組み込まれたオムライスはふわふわのいわゆる「たんぽぽオムライス」タイプだったが、単品のこちらはしっかり玉子でくるんであるタイプ。もちろんメニュー写真を見てこちらを選んだ。オムライスは大好物だが、基本的に外では昔ながらのタイプしか食べない。こちらは下までしっかり玉子で包まれていて、綺麗な紡錘形。調理人の腕が確かな事が分かる。スプーンを入れると、玉子もふわっと焼かれていて、中はマッシュルームがたっぷり。食べてみると、玉子の皮がただ巻いてあるのではなく、玉子となかのチキンライスが、いい具合に融合して素晴しい出来映え。旨い。このレベルのオムライスが出てくるとは思わなかったので、嬉しい誤算。さすが、岐阜会館。その辺の定食屋とは腕が違う。他の客が食べているランチ(定食)はよくある感じで、あまりそそられないが、オムライスはここ最近で一番ここのが気に入ったなァ。勘定は、なぜか階段を下りて、フロントで。(勘定は¥918)

この後の記事はこちら

※平成29年6月14日を以って閉館されました。

 

岐阜会館 「レストランいちい」

岐阜県岐阜市司町39-1

( 岐阜 岐阜市 美江寺町 岐阜会館 ぎふかいかん いちい らいちょう レストラン )

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Uncut The Playlist 2006 / Various Artists

2015年07月23日 | 雑誌付録CD

Uncut The Playlist 2006 / Various Artists (2006)

英音楽誌「UNCUT」の2006年の付録CDを、またオークションでまとめて手に入れた。この雑誌や「MOJO」誌は秀逸な編集CDを付録に付けるのが通例となっていて、元の雑誌はもちろん、CDのみでも中古店で見つけたり、オークションで手に入れたりして、かなりの枚数を所有している。いっそのこと、定期購読していれば良かったのだが…。ま、後から激安価格で見つけて聴くのも悪くない。今回は2006年6月号から10月号までと、年末号の6枚。実は前に買ってダブっているものもあるが、収録曲は以下の通り。

The Playlist June 2006

01 Shack (3) - Working Family 
02 The Waterboys - We Will Not Be Lovers 
03 The Handsome Family - Tesla's Hotel Room 
04 Siouxsie & The Banshees - Monitor 
05 Chris Hillman - Eight Miles High 
06 Hot Chip - The Warning 
07 Daniel Johnston - The Beatles 
08 Augustus Pablo Meets Lee Perry And Wailers Band - Satisfy My Soul Dub 
09 Jarvis Cocker And Kid Loco - I Just Came To Tell You That I'm Going 
10 Mercury Rev - Coney Island Cyclone 
11 Fiona Apple - Parting Gift 
12 Small Faces - Song Of A Baker 
13 Al Green - Love And Happiness 
14 Roddy Frame - Shore Song 
15 Dirty Pretty Things - Blood Thirsty Bastards 
16 The Fiery Furnaces - Touch Me, Sweethear

The Playlist July 2006

01 New York Dolls - Dance Like A Monkey 
02 John Cale - Hanky Panky Nohow 
03 Midlake - Roscoe 
04 Minutemen - Political Song For Michael Jackson To Sing 
05 Frank Black - Elijah 
06 Judee Sill - The Kiss 
07 Dave Alvin - Sonora's Death Row 
08 Scritti Politti -Dr Abernathy 
09 The Triffids - Wide Open Road 
10 Plan B (4) - Kidz (Acoustic) 
11 TheFeeling - Anyone 
12 Billy Bragg - A Love Sings (Alternative 1986 Version) 
13 1990s - You're Supposed To Be My Friend (Demo) 
14 The Walker Brothers - After The Lights Go Out 
15 Howlin' Rain - Calling Lightning With A Scythe

The Playlist August 2006

01 Blood Meridian - Your Boyfriends Blues 
02 The Velvet Underground - Venus In Furs 
03 Love Is All - Talk Talk Talk Talk 
04 Pere Ubu - The Modern Dance 
05 Sufjan Stevens - The Avalanche 
06 Lily Allen - Knock´Em Out 
07 Golden Smog-  Listen Joe 
08 The Damned - New Rose (Live) 
09 James Dean Bradfield - Say Hello To The Pope 
10 Ali Farka Toure - Beto 
11 The Pastels - Classic Line-Up 
12 The Allman Bros. - Little Martha 
13 The Russian Futurists - 2 Dots On A Map 
14 Eric Clapton - Slunky 
15 Espers - Mansfield And Cyclops 
16 The Jesus And Mary Chain - You Trip Me Up

The Playlist September 2006

01 The Dears - Whites Only Party 
02 Micah P. Hinson - You're Only Lonely 
03 The Young Knives - Loughborough Suicide 
04 P.F. Sloan - Eve Of Destruction 
05 Captain Beefheart - Ice Cream For Crow 
06 Slade - Miles Out To Sea 
07 Comets On Fire - Lucifer's Memory 
08 Billy MacKenzie - Baby 
09 Nazz - Meridian Leeward 
10 Chris Difford - Up The Junction 
11 Amon Duul II - Archangel Thunderbird 
12 Lambchop - Paperback Bible 
13 Chilli Willi And The Red Hot Peppers - Goodbye Nashville, Hello Camden Town 
14 Pulp - Deep Fried In Kelvin

The Playlist October 2006

01 The Twilight Singers - I'm Ready 
02 Grizzly Bear - On A Neck, On A Spit 
03 The Hidden Cameras - Death Of A Tune 
04 Bert Jansch - A Woman Like You 
05 Sparklehorse - Shade And Honey 
06 Free - Trouble On Double Time 
07 James Yorkston - Summer Song 
08 Nina Nastasia - Brad Haunts A Party 
09 Nicky Wire - I Killed The Zeitgeist 
10 Brightblack Morning - Light Friend Of Time 
11 Charlotte Gainsbourg - The Songs That We Sing 
12 The Fratellis - 3 Skinny Girls 
13 The Wooden Wand And Skyhigh Band - Dead Sue 
14 Monty Python - Bookshop 
15 Love - You Set The Scene

The Best of 2006

01 Arctic Monkeys - Who The Fuck Are Arctic Monkeys? (Live)
02 Clap Your Hands Say Yeah - Upon This Tidal Wave Of Young Blood
03 Joan As Police Woman - The Ride
04 Drive-By Truckers - Wednesday
05 Sufjan Stevens - Adlai Stevenson 
06 Midlake - Head Home
07 Jenny Lewis With Watson Twins - Rise Up With Fists!
08 Scritti Politti - The Boom Boom Bap
09 Band Of Horses -The Great Salt Lake
10 Hot Chip - No Fit State
11 Ali Farka Toure - Ledi Coumbe 
12 Cat Power - Lived In Bars  
13 Espers - Moon Occults The Sun
14 The Flaming Lips - The Yeah Yeah Yeah Song
15 Joanna Newsom - Cosmia

音楽ジャンルはもちろん、様々な時代や、有名無名のアーティストを取り混ぜている。この時期はテーマを持ってコンパイルされていた訳ではなかったようで脈絡はないけれど、なかなかの面子が揃っていて、雑誌の付録と考えたら充分に楽しめる内容だ。 モンティ・パイソン(Monty Python)なんかも入っているのがイギリスらしい。自分の好きなアーティストばっかり集めて勝手に編集し直して聴くのも良し、知らないアーティストのショーケースとして垂れ流して聴くのも良し(ちょっと古いが)。

オークションにて購入(価格失念¥200/枚くらい)

 

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濱芳 @岐阜県岐阜市

2015年07月22日 | 岐阜県(岐阜)

知人に、日本酒に造詣の深い店があると教えてもらって訪問した、岐阜市御浪町の居酒屋「濱芳(はまよし)」。よく訪れる美殿町商店街から一本北の路地に店があった。ごく普通の居酒屋の佇まいだが、看板や暖簾に描かれた「鮮」の文字が力強い。杉玉の下がった店の暖簾をくぐり、中へ。左側にカウンターがあり、奥には座敷がある。カウンター上の冷蔵ショーケースには様々な魚が並び、そしてその上には紙短冊に数々の日本酒の銘柄が書かれている。最近は地方で呑んでも、だいたい全国的に有名どころの酒だけを置いて、その地方の酒を置かないところもあるが、こちらは岐阜の酒蔵がしっかり揃っていて頼もしい。やっぱり地元の酒がないとね。中津川の「鯨波(くじらなみ)」を注文。品書きに「バッテラ(鯖すし)」があったので、本当は頼みたかったが、ここに来る前に他の店で腹に入れてきてしまっていたので、肴は「しめ鯖」にした。

年輩のご主人は実直そうな方で、黙々と調理を始める。お酒は女将さんが出してくれた。調理場には息子さんもいて、家族でやっていらっしゃるよう。主人はもちろん、息子さんもとても日本酒に熱心な様子で、あとから主人に渡された名刺(ショップカード)に記載されたブログによると、酒蔵にもかなり熱心に直接足を運んでいるようだ。熱意がすごい。

酢締めするとは言っても、しめ鯖(酢鯖)はやはり鮮度が大事。いい塩梅で締められた肴を口に呑む酒はこたえられない。目の前の大皿に好物の「くらげ」があったので、それももらった。酢のものには、やはり日本酒が合います。次は下呂の「天領酒造」の酒「××」を出してもらう。けっこう色々な日本酒を呑んでいるつもりだが初めて聞く銘柄だったのは、まだ出たばかりの特別なものだったからだそう。これを出してくれた時の息子さんの嬉しそうな笑顔が最高に良かった。本当に日本酒が好きなんだなァ。ハシゴだったので、あまり色々頼めなかったのは残念だったが、主人と女将に見送りまでしてもらい、店を後にした。次は何とか時間を作って…、どんな酒と出会う事が出来るかな。バッテラも絶対食べなきゃ…。(勘定は¥3,000程)

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濱芳

岐阜県岐阜市御浪町2 尾関ビル 1F

( 岐阜 はまよし 地酒 バッテラ 鯖寿司 )

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