行き当りばったりで到着した桑名。近代建築をいくつか愛でた後、腹ごしらえをしようと、食事処を探す。普段なら自分の知らない土地は、だいたい下調べしてから訪れるが、今回はバイクで走っていて何となく着いてしまったのでまるで情報が無い。そこで現地でスマホを使って「その手は桑名の焼き蛤(桑名=蛤(ハマグリ)」という短絡的なイメージで検索。いくつか引っ掛かったうちで歴史のありそうなこちら「歌行燈」に決め、店に向かった。店舗隣の駐車場に停めて店に入ると、店員さんに「すでに満員でお呼びするのに50分程かかりそう」とのこと。まだ昼営業が始まったばかりの時間なのに凄いなァ…。大勢のグループ客が入ったばかりのようで、店員さんも”ちょっと無理です”口調だったが「よろしければ名前を」との事だったので一応待ちリストに記名しておいた。近辺をブラブラして他の店を探す。近くの1軒で軽く腹に入れた30分後、店の前を通ると、たまたま店員が外に向かって「〇〇様~」と自分の名を呼んでいた。オイ随分早いナ。どうしようか迷ったが、折角なので返事して中へ。
こちら創業は明治10年(1877)とのこと。建物はなかなか風情があるが、様子からすると新しいみたい。後から調べてみると老舗とはいえ様々な業態で海外にも店を出す大きな会社経営のようだ。案内されて奥のテーブル席に腰かける。大店(おおだな)なので6人掛けのテーブルに1人。申し訳なし。サッと品書きに目を通すものの、種類が多くて分かりづらかったので「蛤うどん」の入った「蛤うどん御膳」というものを注文した(後から調べたらちゃんと単品もあった)。
ほどなくして「蛤うどん御膳」が運ばれた。やや小さめの蛤が3つほどのったうどんと、小さいちらし寿司、天ぷら、茶椀蒸しがセットになっている。うどんのつゆは淡い色ですっきりとした薄味。旨いつゆだが折角なのでもう少し蛤を強く感じたいところ(出汁と蛤は関係ないのかも)。うどんはコシが強め。こちらが昔からこの麺なのかは知らないが、最近のうどんは讃岐の影響かこういうのが多いので逆に印象に残らない。この出汁ならうどんはもう少し柔めの方が合うような気がする。他は「御膳」と名の付く品書きから想像出来る通りの味だった。無難ではあったが、これなら単品で「焼蛤」や「蛤酒蒸し」を頼んだ方が楽しめたかな。(勘定は¥1,814)
↓ 食事前に訪れた「六華苑(旧・諸戸清六邸)」(大正2年・1913・建造)◇。素晴らしい庭園と洋館、和館からなる。洋館は明治~大正期の日本で数々の西洋建築を設計したイギリス人建築家ジョサイア・コンドルによるもの。建物は国の重要文化財に指定されている。それにしても昔の名士の財力といったら…。
歌行燈 (うたあんどん)
三重県桑名市江戸町10番地
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