今回の福岡出張を延泊してまで行ってみたかったのは評判の鮨屋「鮨 安吉」だ。幾度となく雑誌その他で紹介されていて店の名前を目にしていたので、この機会を逃すまいと予約を入れた。一度電話して、この店の予約は訪問日の1ヵ月前からと店側に聞いたので、訪問出来る日のちょうど1ヵ月前の日に電話で予約を入れる。おまかせのみとの事。
とうとう訪問日がやってきた。ホテルにチェックインし、まず近くにある歴史ある「住吉神社」を参詣し、そのすぐ近くの通り沿いにある、とても店構えのいい酒販店「住吉酒販」に入り、手頃な値段だった日本酒用のグラスと蛇の目の猪口を購入した。こうした小さい買い物でたまたま好みの物が見つかるととても気分がいいものです。
↓ 住吉神社(写真下左)と、住吉酒販(写真下右)
予約は一番早い時間に入れたので、開店時間の18時に店前に到着。ビルの間にポツンと格子戸の門と建物がある。ちょうど同じ時間に予約を入れたのだろう4人組の客も入り、カウンターに腰をおろした。店内は基本的に(小座敷はあったが)カウンターのみのようでシンプル。主人はまだ若く、物腰は柔らかい。
飲み物は日本酒を注文。紙に書いたメニューは無く、主人の口から説明される。その中から冷たいもの(宝剣だったか)をひとつ選んで始まり。一口サイズの酒肴が手際の良い主人の説明と共に次から次へと目の前に置かれ、味わっていく。特に地のものを意識した酒肴ではないが、どれも日本酒がすすんで仕方がない。次は何だろうとわくわく。ただあまり酒にばかり行って、あとの握りが楽しめないと嫌だったので飲む量をセーブするのが大変(笑)。酒を注文すると頼まずともグラスに入った水(和らぎ水)を用意してくれるのも気が効いている。酒肴の味付けは特に博多らしさみたいなものは感じられず、全国標準的。小皿には薄切りではなく小さく切られたやさしい味付けの生姜が置いてあり、口直しにちょうどいい。
お店の中は後にカップル客が入り、カウンターはほぼ満員。4人組の客がややうるさいが、主人は箸の進み具合によって酒肴を出す順番を変えていく。その辺の匙加減はさすが。
お茶をもらって握りへ。握りは端正な形をしていて、タネの按配もなかなか。ひとつひとつカウンターに置かれた丸皿に、まるでスポットライトを当てられたように登場する。仕事を加えてあるタネがほとんどで、酢飯は赤酢を使用しているのか飯にほんのりと色が着いている(ように見える)。どれも旨い。特に飛び抜けたタネがあるというよりは、全体のバランスがいい握りという感じ。最後に赤だし(自分の住む中部地方では当たり前だが、意外)が出て、特に追加はせず勘定をしてもらった。特にここ博多ならでは、というタネが出た訳ではないし、主人は常連にかかりきりだったのでほとんど話はしなかったが、総じて旨い鮨だった。酒を飲まない人にとっては前半の酒肴(12皿程あっただろうか)は間を保たせづらいかもしれない。勘定も酒を入れてこの程度だったら値打ちだ。(勘定は¥15,000程)
鮨 安吉 (すし やすきち)
福岡県福岡市博多区博多駅前4-3-11
この日に相席した男性達(50歳代位)は自分と同様に他所から来た客で、常連のようだが、やはりカウンターで大勢だと話し声が大きくなるし、鮨屋に来て他の有名鮨店や主人の話ばかりするという無粋な人達だったのがやや残念。挙句の果てには出された品の調理方法に口を出すとか…。2人組の方は女性が話好きなのか、腕を組んだままで酒肴に箸が進まないので、主人も出すタイミングが難しそう。1人でカウンターに座るとそういった同席となった他の客の仕草や佇まいが結構気になるものだ。吾が身を振り返って気をつけるようにしよう。
(鮨安吉 すしやすきち やすきち 博多 鮨)