ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

蓮玉庵 @東京・上野

2012年11月30日 | 東京都(老舗)

浅草の合羽橋道具屋街から上野まで歩いて小腹が空いたので軽く蕎麦を手繰りに池の端へ。近くの「池の端藪蕎麦」はすでに中休みの時間なので迷うことなく今日はこちらへ。

Photo_18

古い看板が歴史を思わせる老舗蕎麦屋。でも店内に入ると意外なほどモダンな造りになっていて、いわゆる風情を味わう事の出来る意匠の店とは違う。壁にはまるで美術館のように蕎麦猪口が飾られている。風情は無いが落ちついた店内。外れた時間だという事もあって店内には数人の年配の女性客らのみ。今回は蕎麦前は無しで、軽く「せいろそば」を1枚注文。

女性客が「この店は古いのよねぇ」と娘さんに尋ねている。「150年位ですっ」と事も無げに快活に答えていた(創業1860年)。それって…凄い事だ。

でもこの雰囲気のある店構えには以前から疑問がある。自分の持っている古い本(平成2年発行)にはこの店が紹介されているのだが、店内のドーム上の天井やモダンな造りは今のままだが、店の正面も丸窓のついた扉があり、とてもモダンな意匠で、現在の鄙びた感じとは全然ちがうのだ。店内からいくと店の表も当時改装されたと考えるのが普通だが、そうすると現在の写真のような表はまた造り替えられたものなのか…。どうして?何があったのだろう。

量的には多くないけれどしっかりした食感の蕎麦。色は白く香りは強くない。濃いめのつゆは東京の老舗に共通している。やかんに入った蕎麦湯を足して飲み干して一息。(支払いは¥630)

池之端 蓮玉庵

東京都台東区上野2-8-7

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Dream of Life / Patti Smith

2012年11月29日 | パンク・ニューウェーヴ

Patti

Dream of Life / Patti Smith (1990)

70年代後半のいわゆるニューヨーク・パンクの中心人物の一人であり、一度引退したパティ・スミス(Patti Smith)の復活作品のリマスター盤。

シングル・カットされた1から力強く歌い上げる。70年代の彼女は力強さの中にもどこか儚さを感じさせるところがあったけれど、ここでの彼女はとてもパワフルでちょっと位の事では動じない、地に足が付いた印象を受ける。有体にいえば「母」となった強さとか、「家庭」をもった充実感ゆえなのだろうか。ただ記憶が確かならば、このアルバム発表後、大々的に創作活動は続かなかったはず。期待されたライヴ活動もなかったと思う。アルバムの出来が想像以上に良かっただけに惜しい。

当時はリチャード・ヘル(Richard Hell)やラモーンズ(Ramones)が来日したり、少し経ってテレヴィジョン(Television)が再結成してアルバムを発売、来日したりとニューヨーク・パンク関連の話題が続いた。もちろん全部見に行ったし、どれもが納得できるパフォーマンスという訳ではなかったけれど、ライブ活動があればパティの来日もあるのではと期待していたので残念だった。

ブックオフにて購入(¥500)

  • CD (2007/4/3)
  • Disc: 1
  • Format: CD, Original recording remastered, Import, from UK
  • Label: Arista
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    駒形どぜう @東京・浅草

    2012年11月28日 | 東京都(老舗)

    自分の中で東京以外であまりイメージ出来ない料理と言ったら「どじょう鍋」と「さくら鍋」。あまりにも有名なお店でどっと団体の観光客が入ったりするイメージがあったので今まで入った事がなかったが、古本屋で先代の書いた本を見つけたのをきっかけに初訪問。空腹を充たすつもりではなかったので、軽く一杯飲もうと入ってみた。

    下足番から木札をもらい、「入れ込み」の座敷に通される。何度も本や雑誌でみた光景。床に直置きした板の前で胡坐をかいて座る。熱燗と丸鍋(姿のままのどじょう鍋)を注文。間もなく両方運ばれ、別の入れ物に入った刻み葱と竹筒に入った山椒をたっぷりと振りかけ、およそ火が通ったところでどじょうを突つく。味付けは想像していたよりはあっさりめで、クセも全くなく日本酒にピッタリ。もちろん骨があたることもなく、これは良いやと箸が進む。しばらくして割下と葱を追加投入し、ゆっくりと昼酒を楽しんだ。

    お酒の入った白磁で細身の徳利と杯には店名の「駒形どぜう」をイメージしたイラストが描いてあり、これがなんとも粋でいい。酒の切れも良い。どうしても欲しくなったので給仕の女の子にちょっと訊いてみたら、なんと購入可能との事。知ってました? もちろんおみやげにしてもらった。(勘定はお酒とどぜうなべで¥2,400程度・おみやげは別途)

    Photo_19   

     ↑ マッチの裏表(上右)

    駒形どぜう

    東京都台東区駒形1-7-12

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    The Jam at the BBC (Limited Edition)

    2012年11月27日 | パンク・ニューウェーヴ

    Jam

    The Jam at the BBC (Limited Edition) (2002)

    ザ・ジャムのBBC音源と言えば80年代半ばから様々な種類が流通したダサい統一ジャケのアナログ「The Peel Sessions」で初めて聴いた。最初の「In The City」の音圧でぶっ飛んだ覚えがある。これがきっかけで45回転の12インチ盤の音の良さにハマっていろいろ買い集めたなぁ。

    今ではBBCで録音を残しているほとんどの大物アーティストの音源がCD等で手に入るんじゃないだろうか。発掘されたものも多く、このデラックス・エディションの場合も初期はもちろん、中期以降のBBC音源にプラスして、コンサートもボーナスCDで加えられている。

    オリジナル・アルバムは全部持っているし、ボックスや編集盤、EPまでも持っているのに、実はジャムに関してはそう熱心なファンとは言えない。不思議とじっくり聴き込んだり、本で色々調べたりというところまではいかない。後期のジャムが苦手っていうのもあるんだろうけど…。どんな時代でもアーティストとしてぶれない稀有な存在のポール・ウェラー(Paul Weller)だけれど、彼のそういったちょっと完璧っぽい所がピンとこないのかな。

    中古店にて購入(¥1100)

  • CD (2002/7/2)
  • Disc: 3
  • Format: Limited Edition, Import, from UK
  • Label: Universal Import
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    寿司大 @東京・築地 (※移転)

    2012年11月26日 | 東京都

    Photo_20

    定宿が東銀座なので宿泊中一度は早起きして必ず訪問する築地場内の鮨屋。数多ある築地市場近辺の鮨屋の中で再訪する価値があると思えたのは場内場外含めてここだけ。超がつく人気店だけに数時間待ちは当たり前。それを避けようとすると朝の一巡目に入るのが一番無難。でもそのためには朝4時半頃までには店の前に着いていないと難しい。もちろんまだ夜と同じで真っ暗。店の人によると最近は週末だと3時から並ぶらしい。この日も4時過ぎの時点で先頭じゃないところが凄い。

    場内のどこでも見られる光景だが外国人の比率が高い。一時程の中国人の多さは無くなったように感じたが、この日も一巡目でお店に入った半分は外国の方。それでもその方達も一見じゃなかったりするので、この店の人気度を再認識させられる。宿泊6日中5日通った(!)というハワイのご夫婦も…。

    築地では(実際良いかどうかは別として)鮮度を売りにする店がほとんど。ただ回転寿司に毛が生えた程度のレベルの店が多く、客引きなんかやっている店はまず期待出来ない。何度か通ってみると分かるが、下手な店に入る位なら15分歩いて銀座にいって名店のランチを食べたほうがよほどいい。ここ寿し大の場合、鮮度はもちろんだがしっかり仕事のしてあるいわゆる「江戸前鮨」という面もちゃんとあり、そのバランスが良い。

    自分がこの店に行く場合、一番味わっているのは「ホスピタリティ」じゃないかと思う。基本的に好きな時間に食べられないし、長時間待ち覚悟だし、店は狭小だし、隣りに気をつかって肘も畳まなければいけないし、とどちらかというと悪い環境にも関わらず、常連でも一見でも温かく迎え、どんな客層の方がいても店全体を和ませる話術や態度で受け答えし、客を急がせず良い気持ちにして帰す、というおおよそ客商売として求められる全てが備わっているように思う。自分も客商売だけに学ぶ事が多い。とても真似出来ないけれど。

    今回は大多数の人が頼む「旬魚おまかせセット」ではなく、ちょっと贅沢をして熱燗とつまみ(カワハギの肝巻き、白子など)と、お好みで握りを好きなように注文して店を出た。時間にして40分位。(勘定はお酒、つまみを含めて¥7,000程度)

    この後の記事はこちらこちら

    寿司大

    東京都中央区築地5-2-1 築地卸売市場6号館

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    ROCK is LOFT - Purple Disc - / Various Artists

    2012年11月25日 | ロック(日本)

    Loft

    ROCK is LOFT - Purple Disc - / Various Artists (2006)

    ほとんど買ったこのシリーズもこれで打ち止め。ここにはユニバーサル系のアーティスト(ピンとこないけれど)が収録されている。フリクション、P-モデル、ヒカシュー、外道、アナーキー、ルースターズなど濃い面子の中に比較して新しいバンドも収録。

    今、ここに収録されたバンドのそれぞれのオリジナル・アルバムを全て聴き返すパワーは無いけれど、(結果的に)同時代性を備えた日本語のロックバンドがたくさんあったことを改めて再認識。どうかすると洋楽のコピーだとか、日本語とロックの親和性の成否ばかりが語られた気がするけれど、このシリーズに収録されたアーティスト達はそんなものを軽々と飛び越えていた事が分かる。

    それよりもヒップホップ文化を通過した現在の日本のロックに危機感を覚えずにはいられない。ジャンルこそ多様なものが存在するが、「信頼ソング」「応援ソング」「癒しソング」(命名筆者)ばかりで気持ちの悪い事甚だしい。目の前の異性とか家族、友人しか見えていない感じ。こんな世の中だからこそのもっとシビアな現実や虚無感が曲に反映されてもよさそうなんだけれど…。

    amazonにて購入(¥805)

  • CD (2006/6/14)
  • Disc: 2
  • Label: ユニバーサルJ
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    なすび亭 @東京・恵比寿

    2012年11月24日 | 東京都

    同行者が恵比寿に居るのでここで和食をと思い、いくつかの候補の中から予約を入れてみる。恵比寿は知らないうちに和食(あるいは和食ダイニングとも言うべき店)の激戦区になっており、店主も若い人が多く、どの店も値打ちな値段(1万円以下)のコースを提供している。予約を入れてから知ったが、このお店もかなり有名で予約が取り難いお店だとか。店主もテレビ出演などで顔が売れているらしい。残念ながらあまりテレビを見ないのでよく知らない。某タイヤメーカーの料理店リストにも載った事があるとか(ただこの本って知名度の割に使えない)。

    店は通りから中に入った路地裏にあるので少し分かりにくい。少しウロウロして到着。予約時に訊かれた訳ではないが、間仕切りされた準個室へ案内される。出来れば店主の手さばきが見られるカウンターがよかったな。

    日本酒を注文し、頼んでおいたおまかせ6千円のコースの品が運ばれてくる。皿出しはゆっくりめ。和食とはいえ、ある程度インパクトのある味付けや食材の選択を想像していたが、それぞれの料理は節度ある味付けでとても良い。汁椀、刺身、揚げ物、焼物、そして土鍋の炊きこみご飯と、どれも価格以上のクオリティで充分満足出来た。お好みで頼めないのは残念だが、この値段でやるのは立派。最後の土鍋ご飯で量的にも充分なので(少食の方なら食べきれないかも)、ゆっくり呑みたい方、あるいは和食ひと通りは食べてみたいけれどあまりかしこまった店は…という方にはおすすめ出来ると思う。(支払いは2名で¥17,000程度)

    なすび亭

    東京都渋谷区恵比寿1-34-3

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    Good God's Urge / Porno For Pyros

    2012年11月22日 | オルタナティヴ・ロック

    Porno

    Good God's Urge / Porno For Pyros (1996)

    当時絶対聴いたはずなのにどうしてもCD棚に見つからない。安かったのでダブりを恐れず、つい購入。こういう時って買うと絶対あとから出てくる(笑)。

    ポルノ・フォー・パイロス(Porno For Pyros)のセカンド・アルバム。このバンド、2枚しかアルバム出していなかったっけ。初めて彼らの映像を見たのはWoodstock'94のテレビ中継。不思議な雰囲気のステージで明らかに他のバンドとは違っていた。それから遡ってジェーンズ・アディクション(Jane's Addiction)まで聴くようになったと記憶している。

    ファーストよりも更に浮遊するような独特の雰囲気が強く、ペリー・ファレル(Perry Farrell)の真骨頂といったところ。それゆえガーンとくるようなインパクトに欠けているので日本で売れなかったのは仕方がないか。アルバム制作中にベース・プレーヤーが代わっているらしいが、皮肉なことに(それ故に?)そのベースラインが前面に出た曲が多く、アルバムのキモになっている。

    ブックオフにて購入(¥250)

  • CD (1996/5/23)
  • Disc: 1
  • Format: Import, from US
  • Label: Warner Bros / Wea
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    新橋鶴八 @東京・新橋 (※閉店)

    2012年11月21日 | 東京都

    Photo_11 

    柳橋美家古鮨系統の名店に予約して訪問。久しぶりに「ニュー新橋ビル」に入ったが、客引きありのアジア系マッサージの店が乱立して、以前にも増して低俗な(笑)雰囲気になっていた。そんな昭和にタイムスリップした雑居ビルの2階にポツンとある店はもちろん広くなく、カウンターには8人位座れるだろうか。以前は昼営業もあったが今はどうなんだろう。早い時間だったので先客はまだ2人。

    Photo_21

    お通しは子柱。お酒を一本つけてもらい、つまみは小肌を切ってもらう。一人前だからかで見たような木の葉型の盛りつけではなかったけれど締め具合はとても好みで、もっとお酒が飲みたかったが、後の予定もあったのでぐっとこらえてお茶に切り換え、すぐ握りに。この店では通常2個づつだが、いろいろ食べたかったので1個づつにしてもらう。

    正面の木札から自分の食べたいものだけ注文。赤身、小肌、鯖、細魚(2個)、蒸し鮑、煮蛤、茹で海老、ミル貝、穴子(2個)、玉子、かんぴょう巻などなど全て仕事のしてあるおいしい江戸前鮨。定石通り、細魚は串に巻いて皮焼きをしてくれるし、その場で茹でる海老も頭は炙ってもらえる。他にももっと頼んだと思うが立て続けに頼んだので思い出せない。「旨い鮨を食った!」という満足感。

    これだけ好きに頼んで勘定は1枚とちょっとというんだから物凄く値打ち。隣町(銀座ですが)で頼んだらいくらになることやら。(支払いはお酒込みで¥12,000程度)

    この後の記事はこちら

    ※平成30年3月末を以って閉店し、神保町「鶴八」のあった場所に移転

     

    ↑ 食後の散歩は歩いて「東京タワー」(昭和33年・1958・建造)へ。国の登録有形文化財。東京スカイツリーが出来ても東京タワーのライトアップにはやっぱり感動する。

     

    新橋鶴八

    東京都港区新橋2-16-1 ニュー新橋ビル 2F

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    Light The Fuse - A Bigger Bang In Toronto 2005 / The Rolling Stones

    2012年11月20日 | クラシック・ロック

    Toronto

    Light The Fuse - A Bigger Bang In Toronto 2005 / The Rolling Stones (2012)

    ストーンズ(The Rolling Stones)のアーカイヴ・シリーズの第4弾は当初第3弾かと情報が流出していた2005年のトロントでのウォーム・アップ・ライヴ音源。恒例としてツアー前に行う小さいハコでのライヴで、ジャケを見て分かるようにチケット代はたったの10ドル。トロントは彼らのお気に入りのリハーサル場所だ。見ることの出来たのはひと握りの人達…。

    ウォーム・アップだけあってバンドの演奏は正直言ってメロメロ。普段からそうだと言えなくもないが、感覚でプレイする彼らだけにずっこけるような場面もしばしば(笑)。昔のミック(Mick Jagger)なら公式発表前に絶対修正入れまくっただろう。でももうそんな仔細な事はどうでもいいと思える迫力は充分。バンドをミックがグイグイと引っ張っている。2003年の武道館でも感じたが、小さいハコでのミックのヴォーカルはオーバーリミットというか、規格外というかとにかく凄まじい圧力を感じさせる。キャパが1100人というこのフェニックスというライヴハウスでも多分そうだったに違いない。あぁ、うらやましい…。

    ネットダウンロードにてFLACを購入($9.00=約¥730)

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