3年ぶりの「新橋鶴八」。柳橋の「美家古鮨本店」、神保町の「神田鶴八」をルーツに持つ江戸前握り鮨の名店。創業は昭和57年(1982)。この店を経て「しみづ」、「鶴八分店」、そして話題の「鮨竹」などへ歴史も繋がっている。店が入っている新橋駅前の闇市の名残りとも言える「ニュー新橋ビル」も、とうとう再開発の話が出たので、近い将来この店の形態が変わる事は間違いないだろうという事で、行けるうちにと予約を入れて訪問した。店にたどり着くまでの、いかがわしいアジアの誘惑を乗り越え(笑)、店の前に立つ。戸を開けると先客は1名。最初からお茶をもらい、たすき掛けした着物姿の主人の後ろに掛かる木札から好きなタネを選んでいく。最近の鮨屋は「おまかせ」が主流になっているが、こちらはあくまで「お好み」。自分の食べたいタネを、食べたい順番で、食べたいだけ頼む。通える距離に住んでいるなら、ちょこちょこっといくつかつまんで帰る事も出来るが、たまにしか行くことが出来ない自分はつい、あれもこれもと…。確かにおまかせにして、何が出てくるのか分からない楽しみというのもある。でもやっぱりこの食べ方がしっくりくるなぁと、最近とみに感じている。
最近は本(江戸前握りが好きな人は必携です)でもこの店の季節毎の寿司タネが紹介されているので、「はしり」、「旬」、「名残り」という寿司タネの移り変わりが、より分かり易くなって楽しい。常連客と主人の「今は〇〇が~」とか「まだ〇〇は~」というおしゃべりを耳にしつつ、昔からの「仕事をした」握りを堪能した。ところどころ飴色になっている漬け台に置かれる握りを間髪入れずに口に放り込んでいく。こぶ〆、たこ、こはだ、さより、はしら、塩むし、づけ、いか、はまぐり、あなご、など。背と腹が一対の穴子以外は1貫づつにしてもらう。この日はそういう気分だったのか、ツメを塗ったタネばっかりになっちゃったな。何度食べてもこちらの塩むし(鮑)や煮蛤は絶品。最後はかんぴょうを巻いてもらいお勘定。あっという間の30分。これぞ握りずし。満足。次は2軒となり(笑)の「鶴八分店」(永年の弟子が昨年新規に開店)をのぞいてみようか。(勘定は¥9,000程)
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※平成30年3月末を以って閉店し、神保町「鶴八」のあった場所に移転
鮨処 新橋鶴八
東京都港区新橋2-16-1ニュー新橋ビル 2F
( 新橋 しんばし 鶴八 しんばしつるはち つるはち 石丸