夏の十字架 / ラフィー・タフィー (2000)
物議を醸した「冬の十字架」の発売中止事件だが、こちらラフィータフィー名義の「夏の十字架」にはもう少し音楽業界の黒い部分が垣間見れるような事件があった。
一般的にはインディーズ・レーベルというとアーティストに近くてメジャーに載らないアーティストの味方みたいなイメージがあるが、それはそれ、業界にはいろいろあるようで、収録曲「ライブ・ハウス」で「♪偉くなったんだな」と自身の事を揶揄された下北沢QUEのオーナーが激怒し、関係レーベルから発売されるはずだったこのアルバムが発売中止になってしまったらしい。メジャーからもインディーズからも発売中止というのは前代未聞の事だろう。
それにしても天下の忌野清志郎でさえこんな了見の狭いゴタゴタに巻き込まれてしまうんだなとあ然とさせられる。お題に挙がった彼らからしてみれば、搾取がまかり通っているライブハウスの現状を歌った「ライブ・ハウス」の内容を自ずと証明してしまう結果になった訳だ。メジャーもマイナーも結局搾取する側の体質は一緒か。
このいきさつについては清志郎著の「瀕死の双六問屋」で触れられている。細かい事実の言及は無く、フィクションのようなノンフィクションのような不思議な世界観で書かれているが、行間から彼の怒りと悔しさがにじみ出てくる力作だ。清志郎の言葉はふざけているようでいつも物事の「本質」を突いている。興味のある方は是非読んで欲しい。
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