檀渓通を通った時に気になった店「山中」。表には目立つ看板とかは見当たらないので通っただけでは何の店か分からず、その場で調べて初めて和菓子の店と知った。創業は昭和9年(1934)で現在4代目だそう。そんなに歴史のある店だとは。どんな品を扱っているのかも分からなかったが思い切って暖簾をくぐってみた。表の感じと違って店内は梱包用の箱が置いてあったりして少々雑然としていて、菓子の陳列も品書きも何も無い…。奥から出ていらした若い主人は作業中と見えて手も粉だらけ。何があるかを口頭で教えてもらった。数は少なかったが、その中から「蕨もち」と「羽二重餅」を3つづつお願いする。
こんな分かり辛い外観の店だけれど、やはり知っている人は知っているようで、八事、杁中近辺の(と思われる・笑)やんごとなき奥様らが主人の運転する高級車で来て入って来る。「あんこといちご」(苺羽二重餅)なんてあるのが意外だなと思っていたが、常連客との話では「苺だけは手を出すまいと思っていたけれど(苦笑)、自分が食べておいしいと思ったから」と正直に仰っていた(笑)。
主人が奥に引っ込んでいる間、カウンターの上に置いてあったリキュールのボトルを何の気なしに眺めていると、出てきた主人が「あんこにかけると美味しいんですよ。」「お試しになられますか?」と。もちろんそんな面白そうなことを断る理由は無いので(笑)お願いした。もう一度奥に引っ込んだ主人が、いかにも嬉しそうな顔で戻ってきた。匙にあんこがのっている。まずひと口食べてからディサローノ(DISARONNO)のアマレットを少しかけてくれた。なるほど香りがいいリキュールと甘さ控えめのあんこが合わさって不思議な味わい。旨い。もう1本のコアントロー(COINTREAU)ももらって(笑)味わいの違いを楽しんだ。一見の客にこんなことしてくれるなんて面白い方だ。
家に持ち帰って妻といただく。真っ白な「羽二重餅」は別次元の軟らかさ。中の甘さ控えめなこし餡の肌理も細かく、口当たりが優しいというか、儚い。白玉粉や卵白が使ってあるとのことでふわっふわ。「蕨もち」は持ち上げるのも困難なほど軟らかい。表面をきな粉が覆っていて中にあんこが入っているが、全部含めてとろり、といった感じ。旨いなァ。自分の動線に無い店なのでなかなか機会を作るのは難しいが、また機会を作って寄ってみようっと。(勘定は¥2,200程)
↓ 五軒家町にある「鈴木家住宅」(昭和元年~昭和20年頃・1926~1945・建造、改修)◇。近くまで行ってみたが、塀や生垣に阻まれて建物を眺めることは叶わなかった。道路にせり出した木々の紅葉が素晴らしい(訪問11月)。主屋は国の登録有形文化財に指定されている。
愛知県名古屋市昭和区檀渓通3-14-110
( 名古屋 なごや 杁中 いりなか 八事 やごと だんけいどおり やまなか 和菓子 羽二重餅 羽二重もち わらびもち わらび餅 いちごはぶたえ いちご大福 )