行列の出来る天麩羅屋「土手の伊勢屋」と軒を並べる桜鍋の老舗「中江」。創業は明治38年(1905)とのこと。以前に伊勢屋は訪問済みなので、今度は同様に風情のある中江に行って、昼間から桜鍋をつつきつつ、一杯やろうと訪問した。もちろんこちらの建物も隣の伊勢屋と同じく国の登録有形文化財。前回この場所に伺った時は三ノ輪から歩いたが、今回は界隈を自転車で走り回る余裕もあったのでウロウロしてみた。この辺りはかつて「山谷」と呼ばれていた地域。やはり独特な雰囲気があって、道路で寝転んでいらっしゃる方や酒盛をしていらっしゃる方達の姿もチラホラ。簡易宿泊所も多く、現在は労働者と安価な宿泊施設を求める外国人の姿が多い。それに巡回する警察官の姿が他の地域と比べて圧倒的に多い(気がする)。そんな街を象徴するのが漫画「あしたのジョー」。あしたのジョーはこの界隈(ドヤ街)をモデルに描かれたのだそうだ。漫画の中に出てきた「泪橋」も、今は交差点にその名を残している(←交差点なので「泪橋を逆に渡る」事は出来ません…)。
ウロウロしながら時間を潰し、開店してすぐの時間に店の前へ。すでに伊勢屋の前には行列が出来ている。こちらは最近経営体制が変わったとのこと。新しいHPを見てみたが、プロデュースされまくりで逆に心配…。隣の行列を横目に中江の暖簾をくぐる。さすがにこちらに並びは無いが、すでに数組の先客が入れ込みの広間に座っていた。折り込みチラシのような持ち帰り可の品書きを眺める。1人で量は要らないのでと単品で注文していると、女将さんに「同じ内容になるので…」と昼のセット「桜なべランチ」を勧められた。お酒をつけてもらい、鍋の登場を待つ。
しばらくして浅い鉄鍋が用意される。肉はロース肉(赤身)で頼んだ。酒は「白鶴」の深山霞とのこと。ちびりとやりながら味噌だれを溶き、鍋の出来あがりを待つ。馬肉は煮過ぎないようにとのことなので、色が変わったらすぐに溶き玉子にくぐらせて口に放り込んだ。そりゃもう、旨い。日本酒を呑むようになってから、品書きにあれば必ず頼むくらい馬肉が大好物になった。あっという間に肉をさらえて、肉の旨味を含んだ汁を吸ったザクをいただいた。ランチに付いている〆のご飯は断ろうと思っていたが、若い給仕の女性に「あとご飯はいかがですか?」と問われ、すぐに降参(笑)。残った汁に玉子を溶いて、少なめに頼んだ茶碗のご飯にのっけて食べる。旨いに決まっている。満足して席を立った。勘定の時に、品書きの隅っこに載っていた「さくらの箸置き」を購入。あまり買う人などいないのだろう、女将さんも「えっと、いくらだったかな?」と値段を失念していた(笑)。(勘定は¥3,500程)
↓ 風格ある奇跡の並び。左が「中江」、右が「土手の伊勢屋」。いつも思うが、歩道の植木はもっと刈ればいいのになァ…。右は購入したさくらの箸置き。
↓ すぐ近くの歩道上にある「あしたのジョー」矢吹丈の像。丹下のおっちゃんは無いのかな。右は現在の泪橋の交差点。
↓ 裏通りの混みいった電線の奥に東京スカイツリーが見えた。
桜なべ 中江
東京都台東区日本堤1-9-2
(桜鍋中江 桜なべ中江 桜鍋 桜肉鍋 さくらなべ 日本堤 吉原 吉原大門 ドヤ街 山谷 泪橋)