Cracked Actor (Live Los Angeles '74) / David Bowie (2017)
ボウイ(David Bowie)が亡くなってからもう4年以上が経つが、以前だったらもっと騒がれてもおかしくない貴重な音源の発売が続いている。今回購入したのは3年程前に発売された1974年ロサンジェルスでのライヴ「Cracked Actor (Live Los Angeles '74)」。元はレコード・ストア・デイにアナログ限定で発売されたんだっけか。こちらはかの有名なライヴ会場、Universal Amphitheatreでのライヴで、アナログ時代から「Strange Fascination」等のタイトルで海賊盤(ブートレグ)の定番だった音源。自分はそちらで所有していたので今まで購入していなかった。でもやっぱり正規盤は聴かないとナと通常盤CDを購入した次第。プロデュースとミックスは盟友トニー・ヴィスコンティ(Tony Visconti)が担当している。
1974年のライヴといえばファースト・レグのフィラデルフィア公演が「David Live」としてRCAから正規発売されていて(ジャケ下左)、のちにはRykoからCDも発売され(ジャケ下右)、2005年にはリマスター盤が発売)。3種とも所有しているが、なんだかジャケ写真から陰隠滅滅としていて演奏も覇気がなく感じられ、どうにも愛聴とまではいかなかったのは自分だけではなかったようだ(今聴くとそこまで悪くないけれど…)。この”ダイヤモンド・ドッグス・ツアー”は規模が大きくなり過ぎて頓挫しただの、ボウイが麻薬中毒でいまひとつだっただの、ネガティヴな情報が断片的にあるだけで、ツアーの全貌は調べても全然分からなかった覚えがある(インターネットとか無かったしネ)。
代わってこちらのライヴは上記公演から2ヵ月立ったセカンド・レグの公演。2ヵ月の間にバッキング・メンバーも増強され、のちにバンマスといってもいい立場にまでなるカルロス・アロマー(Carlos Alomar)が参加しているのが重要ポイント。演奏も、ボウイの歌唱も贔屓目なのかこちらの方が断然いい。こうも違うものか。というか最初からこちらの音源が発売されていたらこの時期のボウイの評価はもっともっと上がったんじゃないだろうか。
コンサート冒頭の不穏な感じのSEは、ブートレグでは実際通り延々10分程も収録されていて、それはそれで趣があったが、こちらでは残念ながら2分弱にばっさりカット。あの”焦らし”があるからいい気もするんだけれど…。新旧の曲を織り交ぜながら、グッとアメリカの黒人音楽(ソウル・ミュージック)に寄っていくボウイ。デイビッド・サンボーン(David Sanborn)のサックスや、ジャジーなピアノ、大所帯のコーラスがそんな雰囲気をより強調している。ジギー期からの脱却を図っていたボウイの真なる姿。ますます以ってこの音源がボウイ存命時に発表されなかったことが惜しい。ボウイとバンドはこの後、よりソウル色を強めたツアーを続け、ボウイ自ら”プラスチック・ソウル”と称したアルバム「Young Americans」を発表することになる。そういえば個人的にはそのアルバムもあまり好きだったとは言えなかったが、それはまた別の話。
amazonにて購入(¥1,633)
- CD (2017/6/16)
- Disc : 2
- Format: CD, Import, Limited
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