Best Of Both Worlds / Robert Palmer (2002)
イギリスの伊達男ロバート・パーマーが亡くなる前に発表されたキャリアを総括するベスト盤2枚組。いくつかの曲は1992年に出たベスト盤の為にリミックスされた音源で収録している。1974年のソロ・デビュー時からミーターズ(The Meters)、ローウェル・ジョージ(Lowell George)やJB(James Brown)、アレサ(Aretha Franklin)のバンド・メンバーを起用し、イギリスらしくないアメリカ的な明るさのあるちょっとファンキーでソウルフルな音楽性を持っていた。自分が彼を知ったのはもちろん80年代のMTV時代以降なのだが、トゥーツ&ザ・メイタルズ(Toots & The Maytals)のレゲエ・ナンバー「Pressure Drop」をカヴァーしていたりした事を知ってだんだん興味を持っていった。
このベストは「Hip-O」レーベルが編集している。Hip-Oは「ヒポ」つまりカバとヒップをかけていて、編集盤、再発盤では右に出るもののなかったRhino(ライノ)レーベルに対抗してというか、影響を受けて1996年に出た後進のレーベル。ライノの「サイ」に対して「カバ」という事になる訳です。分かりやすい(笑)。
ロバート・パーマーというとどうしてもMTV時代の、ピシッとスーツを着て無表情の超美形モデルをはべらせるPV(Promotional Video)群が印象強い。当時は色んなパロディも作られたと記憶している。何でもありだし何でも出来る、どれもが観る者にとって新鮮なPVにとっては幸せな時代だったし、彼のビデオはいまだにそんな時代の象徴でもある。彼のキャリアは時代によってその時々の流行音楽を上手く(節操無く?)取り入れていて、カヴァー曲も多いので、彼自身の音楽的評価はあまり高くないかもしれないが、それでも70年代の作品は彼のソウルフルなヴォーカルとバックの連中のタイトな演奏ががすごいだけありとてもかっこいい。もちろん80年代のパワー・ステーション(The Power Station)を含むポップな作品群も映像の記憶付きではあるが捨てがたい魅力がある。後年は前からそういう趣味があったのか、なぜかブルースに挑戦したりしているがあまり興味が湧かなかった。曲がバラエティに富んでいるので彼のキャリアを振り返るにはこのベストが丁度いい。若くして亡くなってしまったのが残念。
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