先日、不肖コロ健に原稿の依頼があった。こんな私に仕事を下さった方に感謝しつつ、あることを考えた。
依頼された原稿はもちろん、病理に関連した内容である。私の専門領域のことを書くように依頼されている。まだ構想を練っているところだが、無事脱稿までたどりつけば(の話だが)、いくばくかの原稿料をいただけるだろう。即ち、売れる文ということだ。
一方、同じコロ健が書いているのに、このブログ(こんきも)の文章は売れない。というか、お金を出してまで読んでいただく文章ではない。
では、売れる文と売れない文、いったいどこが違うのだろう。
改めて考えてみるとその違いを私の口から言葉にするのは意外に難しい。
なぜなら、どちらも私の乏しい時間を費やして生み出したものであり、自分の時間をお金に換算するとこれらは等価である。
そうすると、一つ一つの文章にいかに労力をかけているかで、差が生じる。
学術雑誌に書く文章は、私のそれまでの医者人生で培ってきたものをもととし、さらにいろいろ資料を集めて、作り上げるものである。ずいぶんな時間をかけて完成させることになる。
一方のブログ。
テーマはその日その日、自分で思いついたことを書く訳で、誰かからのリクエストに応じたものではない。完成にそれほど時間をかける訳でもない。
なによりも、ネタは私自身であり、資料といってもネットからググってくる程度である。労力はそれほどかけていない。
時間×労力=生産されたものの価値、とすれば、いくら時間をかけても、労力が限りなくゼロに近くては価値は少ない。ブログの文章とは、よほどの名文家が書いたものでない限りは、そのようなものがほとんどだろう。
まあ、私の場合、お金を儲けようと思って書き始めた訳ではないので、こんな比較をすること自体、馬鹿げたことではある。アフェリエイトというのもしていない。
その日その日の文章を読んでもらって、「なるほど」などと、共感してもらえるようなことがあれば、それが最大の価値である。