小さな研究会が昼と晩に二つあった。一つは小さな国内研究会での講演、もう一つはこれまた小さな国際学会の座長。それぞれそれなりに外せないもので、それなりに気合を入れて臨まないといけない。両方とも都内での開催だったので、お引き受けすることができた。
そういうわけで、コロ健気合を入れ、まずは朝から横須賀線で一つめの会場に向かった。
鎌倉からボックスシートの通路側に座っていたら、大船で若いお父さんと3歳ぐらいの女の子の親子が私の奥、窓側に向かい合って座った。
おお、イクメン、休みの日に親子でどこに行くのかな?などと、二人の間に置かれたリュックを見ながら思っていた。
女の子が父親になにかを出すように促し、やおら出てきたものがiPad。
女の子はすぐにゲームを始めた。
父親もスマホだがゲーム機だかを取り出して何かやっている。私の隣に座った女の子の足が私に当たる都度女の子を注意するが、それ以外の時は全く無視。ゲームの区切りの時に女の子が父親のほうをちらっと見るが、父親は全く気づこうとする様子はない。
女の子も、もう慣れているのか、それ以上父親に甘えるような素振りは見せなかった。
せっかくの父娘での外出、どこに行くのか知らないが、せっかくの秋晴れ、車窓からの景色を親子で楽しめばいい思い出になるだろうと、その女の子が不憫に思えた。
都内の駅で降りたら、二十人ほどの親子のグループに出会った。子供会かなにかの遠足だろうか。七、八人いた親の半分近くがスマホを片手にして歩いていた。そのうちの一人のお父さんは右手でスマホをいじりながら、左手で子供の手を引きながら歩いていた。これじゃあ、どちらが手を引いているのかわかったものでない。
これでは犬の散歩以下だ。
私だって、ナイトの散歩中にスマホをいじってはいけないと、妻にきつく言われている。
とはいえ、私の子育て時代にスマホがあったらどうだったか、甚だ心配である。