2017年度予算案の焦点⑥ 社会保障 自然増圧縮で負担増す
2017年度予算案の社会保障関係費は、16年度比4997億円増の32兆4735億円(1・6%増)です。毎年1兆円程度ある自然増分を3年間で1・5兆円程度に抑え込む方針のもと、6400億円に抑えた概算要求額からさらに1400億円を削減。第2次安倍政権発足後の13年以降、毎年5000億円規模の削減となります。
高齢者を狙い連続的な計画
医療保険見直しで高齢者を狙い撃ちにするなど連続的な負担増を計画しています。
医療費の自己負担上限(高額療養費制度)は、70歳以上で住民税を払う1400万人が負担増になります。年収370万円未満(1240万人)は、外来の上限を8月から1万4000円へ2000円値上げするなど国費224億円を削減します。
75歳以上の後期高齢者医療では、低所得者への保険料の特例軽減を縮小し、187億円削減します。所得に応じて払う所得割は5割軽減から2割に縮小。元会社員の扶養家族などの定額部分も9割軽減から7割へ縮小します。
65歳以上の療養病床の居住費は10月以降、1日320円から370円へ値上げ。症状の重い患者も新たに1日200円を負担させ、17億円を削減します。
介護保険では、自己負担の月額上限(高額介護サービス費)を7000円増の4万4400円へ引き上げ、13億円を削減。40~60歳の保険料収入に応じた「総報酬割」を3年かけて導入し、17年度は443億円を削減します。健保組合や共済の保険料が引き上げられ、協会けんぽへの国の補助金1600億円が削減できるとしています。他産業より約10万円低い介護職員の給与は、経験などに応じ加算するものの月額1万円にとどまります。
「いのちをまもれ」と声を上げる「憲法・いのち・社会保障まもる国民集会」の参加者=2016年10月20日、東京・日比谷野外音楽堂
年金3年ぶりマイナス改定
社会保障の「充実」に、1・84兆円を充てていますが、4900億円は15年度からの制度改悪で浮いた財源です。新たな実施は、年金支給資格発生期間を25年から10年へ短縮しますが、予算措置は256億円だけ。低年金者への最大月5000円の上乗せなどは見送られました。
年金は「特例水準の解消」を行った14年度以来、3年ぶりのマイナス改定(マイナス0・1%)で、医療・介護で負担増となる低年金者に追い打ちをかけます。
保育の受け皿整備では、「隠れ待機児」が6・7万人いるにもかかわらず、4・6万人分の整備にとどまり、認可外施設の「企業主導型保育」に513億円増の1313億円を計上。保育士の処遇改善は、月額6000円程度です。経験に応じて月5000~4万円の上乗せをするものの一部にすぎず、全産業平均より10万円低い、賃金改善には程遠いものです。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年1月24日付掲載
高額医療費の自己負担額や介護保険の月額負担の上限をアップ。月にすれば数千円ですが積もれば大きい。
弱者いじめの政治は許されません。
2017年度予算案の社会保障関係費は、16年度比4997億円増の32兆4735億円(1・6%増)です。毎年1兆円程度ある自然増分を3年間で1・5兆円程度に抑え込む方針のもと、6400億円に抑えた概算要求額からさらに1400億円を削減。第2次安倍政権発足後の13年以降、毎年5000億円規模の削減となります。
高齢者を狙い連続的な計画
医療保険見直しで高齢者を狙い撃ちにするなど連続的な負担増を計画しています。
医療費の自己負担上限(高額療養費制度)は、70歳以上で住民税を払う1400万人が負担増になります。年収370万円未満(1240万人)は、外来の上限を8月から1万4000円へ2000円値上げするなど国費224億円を削減します。
75歳以上の後期高齢者医療では、低所得者への保険料の特例軽減を縮小し、187億円削減します。所得に応じて払う所得割は5割軽減から2割に縮小。元会社員の扶養家族などの定額部分も9割軽減から7割へ縮小します。
65歳以上の療養病床の居住費は10月以降、1日320円から370円へ値上げ。症状の重い患者も新たに1日200円を負担させ、17億円を削減します。
介護保険では、自己負担の月額上限(高額介護サービス費)を7000円増の4万4400円へ引き上げ、13億円を削減。40~60歳の保険料収入に応じた「総報酬割」を3年かけて導入し、17年度は443億円を削減します。健保組合や共済の保険料が引き上げられ、協会けんぽへの国の補助金1600億円が削減できるとしています。他産業より約10万円低い介護職員の給与は、経験などに応じ加算するものの月額1万円にとどまります。
「いのちをまもれ」と声を上げる「憲法・いのち・社会保障まもる国民集会」の参加者=2016年10月20日、東京・日比谷野外音楽堂
年金3年ぶりマイナス改定
社会保障の「充実」に、1・84兆円を充てていますが、4900億円は15年度からの制度改悪で浮いた財源です。新たな実施は、年金支給資格発生期間を25年から10年へ短縮しますが、予算措置は256億円だけ。低年金者への最大月5000円の上乗せなどは見送られました。
年金は「特例水準の解消」を行った14年度以来、3年ぶりのマイナス改定(マイナス0・1%)で、医療・介護で負担増となる低年金者に追い打ちをかけます。
保育の受け皿整備では、「隠れ待機児」が6・7万人いるにもかかわらず、4・6万人分の整備にとどまり、認可外施設の「企業主導型保育」に513億円増の1313億円を計上。保育士の処遇改善は、月額6000円程度です。経験に応じて月5000~4万円の上乗せをするものの一部にすぎず、全産業平均より10万円低い、賃金改善には程遠いものです。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年1月24日付掲載
高額医療費の自己負担額や介護保険の月額負担の上限をアップ。月にすれば数千円ですが積もれば大きい。
弱者いじめの政治は許されません。