2017年度予算案の焦点⑨ 地方財政 一般財源総額は微増
2017年度の地方財政対策は、自治体が使途を決められる一般財源総額(地方税や地方交付税、臨時財政対策債など)を16年度比4011億円(0・7%)増の62兆803億円としました。
しかし、交付税を受け取らない東京都などの超過分を除くと411億円(0・1%)増にすぎません。社会保障の地方負担増は約4700億円ですから、実質的には減少です。
リーマン・ショック後の経済対策で設けられた「歳出特別枠」は1950億円で2500億円(56・2%)も削減しています。
16年度創設の「まち・ひと・しごと創生事業費」は1兆円を維持。うち6000億円の「人口減少等特別対策事業費」は、自治体による取り組みの「成果」に応じた配分(16年度1000億円)を3年かけて2000億円に倍増。17年度は1330億円にします。
交付税算定の「トップランナー」方式の対象業務も拡大。民間委託などで歳出の減少を見込み、算定基準にするもので交付税の削減につながります。
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地方団体代表が出席した「国と地方の協議の場」=2016年5月23日、首相官邸(首相官邸のホームページから)
公共サービス後退の危険性
17年度は現行16業務に加えて、青少年教育施設管理の指定管理者制度の導入▽公立大学運営の地方独立行政法人化―を導入。図書館や公民館の管理については導入を見送り、窓口業務も引き続き検討します。公共サービス後退が危ぐされます。
公共施設の長寿命化などを加えた「公共施設等適正管理事業費」(3500億円・地方債で9割充当、一部交付税措置)を新設。このうち市町村役場機能緊急保全事業(約300億円)は未耐震化の本庁舎建て替えが対象で、交付税措置(事業費の22・5%)は初めて。日本共産党が強く求めてきたものです。
一方、この適正管理事業には、地方都市圏で施設・サービスを中心部に集約する「コンパクトシティー」推進が盛り込まれています。国土交通省も同事業に166億円を計上。周辺地域のサービス切り捨ての危険性があります。
マイナンバー 国が前面推進
終了予定だった緊急防災・減災事業は20年度まで継続し、5000億円(100%地方債充当、70%交付税措置)を計上しました。
マイナンバー(共通番号)制度は、7月から始める自治体の情報連携に向けたシステムの構築などに4割増の230億円を計上。国家による管理強化や情報漏えいの危険が指摘されています。
マイナンバー情報を管理する地方公共団体情報システム機構は、国民の批判を受け大臣の監督命令などを盛り込む法案を提出しますが、国が前面に出て推進をはかる構えです。
また、自治体の非常勤職員の任用・処遇に関する法改正案を提出。世論と運動に押されて期末手当などの支給が可能になる一方、非正規職員の固定化・乱用につながる危険性を抱えています。
(おわり)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年1月27日付掲載
地方都市圏で施設・サービスを中心部に集約する「コンパクトシティー」推進されます。
周辺地域のサービス切り捨ての危険性があります。
2017年度の地方財政対策は、自治体が使途を決められる一般財源総額(地方税や地方交付税、臨時財政対策債など)を16年度比4011億円(0・7%)増の62兆803億円としました。
しかし、交付税を受け取らない東京都などの超過分を除くと411億円(0・1%)増にすぎません。社会保障の地方負担増は約4700億円ですから、実質的には減少です。
リーマン・ショック後の経済対策で設けられた「歳出特別枠」は1950億円で2500億円(56・2%)も削減しています。
16年度創設の「まち・ひと・しごと創生事業費」は1兆円を維持。うち6000億円の「人口減少等特別対策事業費」は、自治体による取り組みの「成果」に応じた配分(16年度1000億円)を3年かけて2000億円に倍増。17年度は1330億円にします。
交付税算定の「トップランナー」方式の対象業務も拡大。民間委託などで歳出の減少を見込み、算定基準にするもので交付税の削減につながります。
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地方団体代表が出席した「国と地方の協議の場」=2016年5月23日、首相官邸(首相官邸のホームページから)
公共サービス後退の危険性
17年度は現行16業務に加えて、青少年教育施設管理の指定管理者制度の導入▽公立大学運営の地方独立行政法人化―を導入。図書館や公民館の管理については導入を見送り、窓口業務も引き続き検討します。公共サービス後退が危ぐされます。
公共施設の長寿命化などを加えた「公共施設等適正管理事業費」(3500億円・地方債で9割充当、一部交付税措置)を新設。このうち市町村役場機能緊急保全事業(約300億円)は未耐震化の本庁舎建て替えが対象で、交付税措置(事業費の22・5%)は初めて。日本共産党が強く求めてきたものです。
一方、この適正管理事業には、地方都市圏で施設・サービスを中心部に集約する「コンパクトシティー」推進が盛り込まれています。国土交通省も同事業に166億円を計上。周辺地域のサービス切り捨ての危険性があります。
マイナンバー 国が前面推進
終了予定だった緊急防災・減災事業は20年度まで継続し、5000億円(100%地方債充当、70%交付税措置)を計上しました。
マイナンバー(共通番号)制度は、7月から始める自治体の情報連携に向けたシステムの構築などに4割増の230億円を計上。国家による管理強化や情報漏えいの危険が指摘されています。
マイナンバー情報を管理する地方公共団体情報システム機構は、国民の批判を受け大臣の監督命令などを盛り込む法案を提出しますが、国が前面に出て推進をはかる構えです。
また、自治体の非常勤職員の任用・処遇に関する法改正案を提出。世論と運動に押されて期末手当などの支給が可能になる一方、非正規職員の固定化・乱用につながる危険性を抱えています。
(おわり)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年1月27日付掲載
地方都市圏で施設・サービスを中心部に集約する「コンパクトシティー」推進されます。
周辺地域のサービス切り捨ての危険性があります。