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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

憲法施行70年 先駆性を考える 第1部 9条は生きている④ 憲法より安保が上なのか

2017-01-09 10:37:07 | 平和・憲法・歴史問題について
憲法施行70年 先駆性を考える 第1部 9条は生きている④ 憲法より安保が上なのか

沖縄と平和生存権(上)

「私たちに人権はないのかって思います」
沖縄県名護市でのオスプレイ墜落事故(昨年12月13日)翌日、東村高江の清水亜生さん(37)はこう語りました。
清水さんは、自然豊かな場所で子育てしたいと考え、2012年にやんばるの森(沖縄本島北部)が広がる高江に移住しました。



清水亜生さん


墜落し大破したオスプレイの機体の一部=2016年12月14日、沖縄県名護市安部

不安強いられ
しかし清水さんの思いは踏みにじられます。安倍政権は自然を傷つけてオスプレイパッド(着陸帯)建設を強行。15年からは同機が高江集落上空を頻繁に飛び回り、住民は騒音被害や墜落の不安を強いられているのです。
日本国憲法前文は「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する」(平和的生存権)と明記。平和的生存権は、基本的人権の基礎にあって、その享有を可能にする基底的権利とも説明されています。9条とともに、平和主義を徹底させています。
ところが沖縄は戦後、米軍支配下で憲法は適用されず、復帰後(1972年)も日米安保条約の下で巨大な米軍基地がおかれ、騒音・事故・犯罪などによる人権侵害に日常的にさらされ続けているのです。人間の尊厳を踏みにじる犯罪は繰り返され、16年も米軍属(元海兵隊員)による女性暴行殺人事件が起きています。
清水さんは言います。「沖縄に住んでみて、憲法よりも(日米)安保の方が上にあることがわかった」
沖縄大学の小林武客員教授(憲法学)は「米軍駐留による権利侵害は、一つ、二つの権利ではなく、人間存在の総体、人間の尊厳それ自体を侵害している」「平和的生存権が根底から侵害されている」と指摘します。
オスプレイ墜落事故では、米軍は事故後いったん同機の飛行を停止しましたが、わずか6日で全面的に飛行を再開。墜落機の回収も終わらないなかでの飛行再開強行に、稲田朋美防衛相は「理解できる」と追従しました。
小林教授は「米軍は軍事的合理性だけで行動する。そういう基地と市民生活とは両立不能です」と話します。
高江の清水さんは「以前は『神様に祈っていたら、そんなひどいことはないだろう』と思っていた」と述べながら、「今は、まだ憲法があるから反対が言える。オスプレイの飛行を止めるために、しっかり声を上げたい」と語りました。

連帯を広げて
昨年12月22日。オスプレイの墜落事故に抗議する名護市の集会で、翁長雄志知事と4200人の集会参加者は、オスプレイの配備撤回までたたかう決意を固めました。いま、高江のオスプレイパッド建設や辺野古の新基地建設に反対する行動には県外から参加する人も多くいます。連帯を広げながら、沖縄の平和的生存権の実現を求める声はさらに高まっています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年1月8日付掲載


日本国憲法前文の「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する」を名実ともに実現しようと思ったら、米軍基地と共存できない。