長時間労働 電通過労死で問われるのもの④ 企業犯罪に2倍の罰則 抜け道ない上限規制を
安倍晋三首相は昨年9月の「働き方改革実現会議」の初会合で「時間外労働の上限規制の在り方など長時間労働の是正」を検討するとのべました。
その論議がこれから始まります。会議のメンバーである経団連の榊原定征会長は、無制限の残業を可能にしている「三六協定」の見直しは必要だというものの「繁忙期については配慮してほしい」(「日経」1日付)と骨抜きを要求しています。
本来、働き方改革を検討する舞台は、労使の代表を対等に扱うのが原則ですが、「働き方改革実現会議」は財界が圧倒的に優位。抜け道のない残業の上限規制ができる保証はまったくありません。
長時間労働の是正という国民の願いを実現するために、抜け道のない上限規制を求める声を広げることが求められています。
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働き方改革実現会議であいさつする安倍首相(左端)=昨年12月20日、首相官邸(共同)
「大臣告示」の実効性が必要
もっとも効力があるのは残業の限度基準を定めている1998年の労働省告示(「大臣告示」)の「週15時間」「月45時間」「年360時間」を法定化することです。もともと政府の告示ですから、これに実効性をもたせる法定化は、本来なら政府にも異存はないはずです。安倍政権の働き方改革がまやかしかどうかをはかる試金石といえます。
同時に、有効な対策として求められるのは、欧州連合(EU)が打ち出し、ヨーロッパ各国が実施している勤務間インターバル(連続休息時間)制度の導入です。EUは最低11時間確保するとしています。
これは深夜0時まで残業したら翌日の出勤は午前11時以降にするということです。夜なべ朝帰りで着替えてすぐ出社という日もあったという91年に過労自殺した電通の男性社員。20時間も会社で仕事をしていたという直近の犠牲者である同社の女性社員。このような過酷労働をおさえます。
民進、共産、自由、社民の4党が共同して国会に提出した「長時間労働規制法案」にこの制度の導入を盛り込んでいます。財界は強く反対していますが、働き方会議の検討の対象にするべきです。
サービス残業根絶してこそ
働き方改革というとき、日本で特別に重視する必要があるのは、企業犯罪である「サービス残業(割増賃金不払い残業)」の根絶対策です。これは非常に根深い日本の長時間労働の元凶です。
厚生労働省が昨年12月に発表した2015年度の「サービス残業」是正結果は、違反企業は1348社、労働者に支払われた賃金額は99億9000万円です。企業数は前年より増えています。
問題は、違反がばれても企業が支払う残業代は法律が定める通常の25%です。これでは違反にたいするペナルティーになりません。日本共産党は、ブラックな働かせ方から労働者を守るために、違反したら残業代を2倍にする強いペナルティーを企業に科すことを提案しています。
労働基準監督官の増員も必要です。現在、日本には3241人の監督官がいますが、担当する労働者数は1人当たり1万6200人にのぼり、とても掌握しきれません。ドイツでは監督官1人が担当する労働者数が日本の3分の1、5300人です。ドイツなみの抜本的な増員をめざすべきです。
(おわり 昆弘見)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年1月15日付掲載
サービス残業などの違法が発覚した場合は「倍返し」だ!そのぐらいの厳しさがないと違法残業を取り締まれない。
また、ドラマ『ダンダリン』の様にしっかりとした取り締まりができるようにするためにも、労働基準監督官の増員が必要。
安倍晋三首相は昨年9月の「働き方改革実現会議」の初会合で「時間外労働の上限規制の在り方など長時間労働の是正」を検討するとのべました。
その論議がこれから始まります。会議のメンバーである経団連の榊原定征会長は、無制限の残業を可能にしている「三六協定」の見直しは必要だというものの「繁忙期については配慮してほしい」(「日経」1日付)と骨抜きを要求しています。
本来、働き方改革を検討する舞台は、労使の代表を対等に扱うのが原則ですが、「働き方改革実現会議」は財界が圧倒的に優位。抜け道のない残業の上限規制ができる保証はまったくありません。
長時間労働の是正という国民の願いを実現するために、抜け道のない上限規制を求める声を広げることが求められています。
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働き方改革実現会議であいさつする安倍首相(左端)=昨年12月20日、首相官邸(共同)
「大臣告示」の実効性が必要
もっとも効力があるのは残業の限度基準を定めている1998年の労働省告示(「大臣告示」)の「週15時間」「月45時間」「年360時間」を法定化することです。もともと政府の告示ですから、これに実効性をもたせる法定化は、本来なら政府にも異存はないはずです。安倍政権の働き方改革がまやかしかどうかをはかる試金石といえます。
同時に、有効な対策として求められるのは、欧州連合(EU)が打ち出し、ヨーロッパ各国が実施している勤務間インターバル(連続休息時間)制度の導入です。EUは最低11時間確保するとしています。
これは深夜0時まで残業したら翌日の出勤は午前11時以降にするということです。夜なべ朝帰りで着替えてすぐ出社という日もあったという91年に過労自殺した電通の男性社員。20時間も会社で仕事をしていたという直近の犠牲者である同社の女性社員。このような過酷労働をおさえます。
民進、共産、自由、社民の4党が共同して国会に提出した「長時間労働規制法案」にこの制度の導入を盛り込んでいます。財界は強く反対していますが、働き方会議の検討の対象にするべきです。
サービス残業根絶してこそ
働き方改革というとき、日本で特別に重視する必要があるのは、企業犯罪である「サービス残業(割増賃金不払い残業)」の根絶対策です。これは非常に根深い日本の長時間労働の元凶です。
厚生労働省が昨年12月に発表した2015年度の「サービス残業」是正結果は、違反企業は1348社、労働者に支払われた賃金額は99億9000万円です。企業数は前年より増えています。
問題は、違反がばれても企業が支払う残業代は法律が定める通常の25%です。これでは違反にたいするペナルティーになりません。日本共産党は、ブラックな働かせ方から労働者を守るために、違反したら残業代を2倍にする強いペナルティーを企業に科すことを提案しています。
労働基準監督官の増員も必要です。現在、日本には3241人の監督官がいますが、担当する労働者数は1人当たり1万6200人にのぼり、とても掌握しきれません。ドイツでは監督官1人が担当する労働者数が日本の3分の1、5300人です。ドイツなみの抜本的な増員をめざすべきです。
(おわり 昆弘見)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年1月15日付掲載
サービス残業などの違法が発覚した場合は「倍返し」だ!そのぐらいの厳しさがないと違法残業を取り締まれない。
また、ドラマ『ダンダリン』の様にしっかりとした取り締まりができるようにするためにも、労働基準監督官の増員が必要。