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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

2017年度予算案の焦点① 税・財政 大企業優遇と軍事費突出

2017-01-20 10:51:46 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2017年度予算案の焦点① 税・財政 大企業優遇と軍事費突出

安倍晋三内閣が2016年12月22日に閣議決定した17年度予算政府案の特徴を主な分野で見ていきます。

17年度予算案は、国の基本的な予算規模を示す一般会計の総額が16年度当初比0・8%(7329億円)増の97兆4547億円と、当初予算としては過去最大になりました。
「アベノミクス」(安倍政権の経済政策)と「消費税頼み」路線の行き詰まりのしわよせを国民に押し付けるとともに、軍拡推進の道を暴走する安倍内閣の強権的な姿勢を象徴する予算案です。



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税逃れ対策は「抜け穴」込み
歳入では、企業の試験研究費に応じて法人税を控除する研究開発減税を拡充します。研究開発費の対象に、「サービス開発」を加え、ビッグデータ(巨大で複雑なデータ)を処理するためのコンピューターや人工知能などを用いた研究も減税対象とします。これまでの製造業中心から銀行や証券、通信の産業でも研究開発減税を受けられるようになりますが、大企業が中心になると考えられます。
国際課税では、多国籍企業の税逃れ対策を見直します。低税率国・地域(税負担率20%未満)に設立した海外子会社の所得を親会社の所得と合算して課税するタックスヘイブン対策税制に変更を加えます。実体のないペーパーカンパニーであれば、税負担率が20%以上でも合算課税の対象とします。一方、航空機リース業や資源開発業に携わる子会社を除外するなどの「抜け穴」も盛り込みました。
国民向けでは、配偶者控除を見直し、控除の対象となる配偶者の年収要件を現行の103万円以下から150万円以下に引き上げます。税収減を防ぐため、納税者本人の年収が1220万円を超える世帯を配偶者控除の対象外とします。




高齢者中心に給付減負担増
歳出では、社会保障費を抑制します。概算要求段階で削られた自然増をさらに1400億円圧縮し、4997億円増に抑制されました。高齢者を中心に給付減と負担増を押し付けます。70歳以上の高額療養費制度の患者負担の上限額を引き上げます。75歳以上の後期高齢者医療制度では、所得が比較的低い人の保険料を5割減額する特例を2割に縮小し、扶養家族だった人の保険料を9割軽減する特例も7割にします。
軍事費は5年連続の増額で、5兆1251億円と過去最大となりました。オスプレイ4機(391億円)をはじめ、無人偵察機グローバルホークー機(168億円)、F35戦闘機6機(880億円)など米国製の高額兵器を中心に購入します。
軍事費が突出する一方、教育、中小企業、地方財政など暮らし関係の予算は前年度比でマイナスになりました。
公共事業費は16年度に比べ26億円の増額。増額は5年連続です。国際コンテナ戦略港湾の機能強化など、不要不急の大型プロジェクトが盛り込まれました。リニア中央新幹線の建設支援として1・5兆円の財政投融資を行います。
給付型奨学金を創設し、18年度から2万人を対象に月額2万~4万円を給付します。17年度は70億円を計上し、先行実施として「私立・自宅外」の2800人を対象にします。高学費に苦しむ学生の願いから程遠い規模です。(つづく)(9回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年1月17日付掲載


高額所得者と大企業への減税で税収が空洞化。消費税と赤字国債に頼らざるを得ない。
社会保障費は歳出のトップですが、実態は自然増を削減。給付減と負担増です。