きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

2017年度予算案の焦点② 農林水産 大規模化偏重の「構造改革」

2017-01-21 22:06:41 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2017年度予算案の焦点② 農林水産 大規模化偏重の「構造改革」

2017年度農林水産関係予算案の総額は、16年度当初予算比0・1%減の2兆3071億円です。総額の減少は2年ぶり。公共事業費は1・1%増の6833億円、非公共事業費は0・6%減の1兆6238億円。林野関係は0・8%増の2956億円、水産関係は1500万円増の1783億9100万円です。


千葉県匝瑳(そうさ)市での稲刈り

農地の集積・集約化を加速
予算主要項目の冒頭に掲げられたのは「担い手への農地集積・集約化による構造改革の推進」で、農地の集積・集約化を通じた経営の大規模化に偏った「構造改革」路線は変わりません。「農地中間管理機構による農地集積・集約化」に277億7100万円を計上。16年度当初比80・3%の大幅増です。うち、「農地中間管理機構による担い手への農地集積・集約化の加速化」に90・3%増の154億6900万円を充てました。農地中間管理機構の事業を支援し、農地中間管理機構へ農地を貸し出す農家に協力金を交付します。
また、「農業委員会の活動による農地利用の最適化」に60・5%増の152億4500万円を計上。「改正農業委員会法」に基づき、農地集積・集約化を推進する「農地利用最適化推進委員」が設けられたことに対応する措置です。
関連対策として、「農地の大区画化等の推進」に13・3%増の1033億9500万円、「農地耕作条件改善事業」に92%増の235億6200万円などを充当しました。




米直接支払い最後の措置に
「水田フル活用」では、コメから転作して飼料用米などを生産する農業者に交付する「水田活用の直接支払い交付金」に2・3%増の3150億円を計上しました。
「経営所得安定対策」には、0・4%減の3492億800万円を充てました。うち、諸外国との生産条件の格差による不利がある畑作物を生産する認定農業者などに交付する「畑作物の直接支払い交付金」が0・1%増の1950億円、認定農業者などに対し米、麦、大豆などの収入が標準的収入額を下回った場合に差額の9割を補てんする「収入減少影響緩和対策交付金」が0・9%減の746億円です。
また、生産数量目標に従って米を生産する農業者に対する「米の直接支払い交付金」は1・3%減の713億7800万円。同「交付金」は、米の生産調整(減反)を18年度に廃止する方針に基づき、交付単価を半減して17年産までの時限措置として実施されてきました。そのため、今回が最後の予算措置となります。米価の長期低迷の中で、交付単価の半減が農業者に打撃を与えてきました。生産調整と交付金の廃止によって、政府が米の需給に全く責任を負わないことになり、生産現場を混乱させかねません。
他方、政府が検討している農家向けの収入保険では、「収入保険制度の導入・農業災害補償制度の見直しに向けた準備」に新規の5億円を計上しました。
安倍晋三政権が所得拡大の“切り札”としている「農林水産業の輸出力強化」では、「輸出戦略の実行体制の強化」に7・7%減の12億円、「輸出総合サボートプロジェクト」に6・7%増の16億円などを盛り込みました。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年1月18日付掲載


いろいろ、品を変え、色合いを変えても、「農地の集約」では家族経営中心の日本の農業応援にはならない。
農産物の価格保障と所得補償が必要。