憲法施行70年 先駆性を考える 第1部 9条は生きている③ 「特攻隊」志願者の共感
シールズ行動
元海軍飛行予科練習生(予科練生)の加藤敦美さん(88)。安保法制=戦争法に反対したSEALDs(シールズ)の若者たちのデモをテレビで見て、「今のあなた方のようにこそ、我々は生きていたかった」とエールを送る投書が2015年7月、「朝日」に掲載されました。
シールズの奥田愛基さんが、同年の終戦の日の前日の8月14日、国会前で加藤さんの投書を読み上げて、平和を訴えました。加藤さんの投書はネットで拡散され、多くの人々を励ましました。世代を超えて憲法9条の精神が響きあっています。
戦争法を強行し、日本を「戦争する国」にしようとする安倍晋三政権に、加藤さんは「首相が号令をかければ、自衛隊員は死を覚悟しないといけない。国民も戦争をさせられるかもしれない」と批判します。

元予科練生の加藤敦美さん

終戦の日の前日に国会前で戦争法案に反対するシールズの若者たち(中央が奥田さん)=2015年8月14日
美化された死
加藤さんは1928年、旧「満州」(中国東北部)の大連で生まれ、44年に16歳で予科練生に合格。徴兵される前に命をささげる「忠義」が美しいと考え、「特攻隊」への道を志願しました。幼少期からの教育で「天皇のために死ぬ。そのためにわれわれはいる。天皇の名で命令するものには絶対に従うようになっていました」。今では、自分の“生”を守ることさえ考えられない戦争への怒りを語ります。
「今が戦争の始まりではないかという不安があります」と語る元シールズメンバーの諏訪原健さん(筑波大学大学院生)は、加藤さんのエールを同じ元予科練生の祖父の言葉と重ねます。「(昨年)亡くなった祖父は戦争のことをあまり話しませんでした。ただ、『戦争に幸せはない』『戦争は始めたら終わりだ』と言っていました。戦争に向かう社会の空気に敏感になることを祖父から引き継いだ」と言います。
その2人に憲法はどう映るのか―。
命守るために
加藤さんは、旧「満州」での生活や予科練生の経験の反省から、一人ひとりの命を守る憲法9条の大切さを強調。「9条がなかったら戦前のように殺される。自分が生きていけるのは憲法9条を頼りにしているからです」と言い切ります。
加藤さんは戦争法に反対する若者たちの姿に「憲法9条の平和の中で生まれ育って、生きているのが当たり前という学生たちが、今その命に影が差していると感じたからこそデモをやったのでしょう」と述べます。
諏訪原さんは安倍政権が進める「戦争する国づくり」に対して、「主権者として考えることは大事です。『関係ない』という意見はあります。しかし、そういう無関心の集積が最終的にどうなったかは、歴史的に考えるとろくなことになっていません。戦争を絶対にしないという憲法の考え方を引き継ぐべきです」と思いを深めています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年1月7日付掲載
かつての予科練生と今の若者。70年の時代を超えて、戦争法廃止で共鳴しあう。
戦争を絶対にしないという憲法の考え方を引き継ぐべき。
シールズ行動
元海軍飛行予科練習生(予科練生)の加藤敦美さん(88)。安保法制=戦争法に反対したSEALDs(シールズ)の若者たちのデモをテレビで見て、「今のあなた方のようにこそ、我々は生きていたかった」とエールを送る投書が2015年7月、「朝日」に掲載されました。
シールズの奥田愛基さんが、同年の終戦の日の前日の8月14日、国会前で加藤さんの投書を読み上げて、平和を訴えました。加藤さんの投書はネットで拡散され、多くの人々を励ましました。世代を超えて憲法9条の精神が響きあっています。
戦争法を強行し、日本を「戦争する国」にしようとする安倍晋三政権に、加藤さんは「首相が号令をかければ、自衛隊員は死を覚悟しないといけない。国民も戦争をさせられるかもしれない」と批判します。

元予科練生の加藤敦美さん

終戦の日の前日に国会前で戦争法案に反対するシールズの若者たち(中央が奥田さん)=2015年8月14日
美化された死
加藤さんは1928年、旧「満州」(中国東北部)の大連で生まれ、44年に16歳で予科練生に合格。徴兵される前に命をささげる「忠義」が美しいと考え、「特攻隊」への道を志願しました。幼少期からの教育で「天皇のために死ぬ。そのためにわれわれはいる。天皇の名で命令するものには絶対に従うようになっていました」。今では、自分の“生”を守ることさえ考えられない戦争への怒りを語ります。
「今が戦争の始まりではないかという不安があります」と語る元シールズメンバーの諏訪原健さん(筑波大学大学院生)は、加藤さんのエールを同じ元予科練生の祖父の言葉と重ねます。「(昨年)亡くなった祖父は戦争のことをあまり話しませんでした。ただ、『戦争に幸せはない』『戦争は始めたら終わりだ』と言っていました。戦争に向かう社会の空気に敏感になることを祖父から引き継いだ」と言います。
その2人に憲法はどう映るのか―。
命守るために
加藤さんは、旧「満州」での生活や予科練生の経験の反省から、一人ひとりの命を守る憲法9条の大切さを強調。「9条がなかったら戦前のように殺される。自分が生きていけるのは憲法9条を頼りにしているからです」と言い切ります。
加藤さんは戦争法に反対する若者たちの姿に「憲法9条の平和の中で生まれ育って、生きているのが当たり前という学生たちが、今その命に影が差していると感じたからこそデモをやったのでしょう」と述べます。
諏訪原さんは安倍政権が進める「戦争する国づくり」に対して、「主権者として考えることは大事です。『関係ない』という意見はあります。しかし、そういう無関心の集積が最終的にどうなったかは、歴史的に考えるとろくなことになっていません。戦争を絶対にしないという憲法の考え方を引き継ぐべきです」と思いを深めています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年1月7日付掲載
かつての予科練生と今の若者。70年の時代を超えて、戦争法廃止で共鳴しあう。
戦争を絶対にしないという憲法の考え方を引き継ぐべき。