憲法施行70年 先駆性を考える 第2部 基本的人権掲げて⑩ 最賃1500円めざせ
広がる運動 政治動かす
「時給は東京の最低賃金932円ちょうど。1日7時間、週6日働いても月収15万円前後。定時では生活できないので、夜9時まで残業したり、貯金を切り崩してやっと生活しています」
非正規に換わり最賃に張り付く
東京都内の大手取次流通センターで働く契約社員の川辺隆さん(50)=出版情報関連ユニオン(出版労連)組合員=が語ります。
出版業界の売り上げは、1996年の2兆6000億円をピークに減少し、現在1兆5000億円にまで激減。正社員が非正規社員に置き換えられ、非正規雇用の賃金は最低賃金に張り付いています。
川辺さんは、労働者の実態について「昼食は同僚が食べ終わったカップラーメンの残り汁をもらい、それだけで済ませる」「親の体調が悪くても帰省できない」「交通費が支給されないので毎日1時間以上歩いて通勤している」と紹介します。
賃金も月1回の支給では生活できないため、支給日前に銀行口座に有料で振り込んでもらう「即払いシステム」という制度までできているといいます。
憲法25条は「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と明記し、27条2項で「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」としています。これに基づいて制定されたのが最低賃金法です。

エキタスのデモで最低賃金1500円への引き上げを訴えてデモ行進する参加者=4月15日、東京都新宿区
有給休暇を取得他部署から感謝
現在の最賃は全国平均で823円。しかし、フルタイムで働いても年収200万円に満たないワーキングプア(働く貧困層)の水準です。地域格差が218円もあり、抜本的引き上げは急務です。
最低賃金をめぐっては1975年、当時の労働4団体が一致して全国一律制度の実現を求める要求を発表、これを受けて日本共産党も含む当時の4野党が共同して法案を提出しました。実現はならなかったものの、全国一律制を求める声が大きく広がりました。たたかいに押されて民主党政権下の2010年に「20年までに全国平均1000円を目指す」という方針が決定され、安倍政権も「1000円を目指す」といわざるをえないところまできました。
全国で「いますぐ1000円」とし、「1500円をめざせ」という運動が広がっています。出版ユニオンでも、今春闘で時給1500円への引き上げの要求を掲げました。
川辺さんは語ります。「当初は、アルバイトが会社に要求していいのかという声もありました。しかし、議論をするなかで昨春闘は1200円、今年は1500円の要求を掲げました。運動を通じて、会社が周知してこなかった有給休暇の取得も可能になりました。他部署の人からも感謝されています」
広がる貧困と格差解消、生活改善に向けたたたかいに憲法の精神が息づき、政治を大きく動かしています。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年4月30日付掲載
「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」にならない最低賃金って、憲法が守られていないってことになるでしょ。
アルバイトでも半年以上働いたら取得可能な有給休暇と合わせて、生活できる最低賃金を!
広がる運動 政治動かす
「時給は東京の最低賃金932円ちょうど。1日7時間、週6日働いても月収15万円前後。定時では生活できないので、夜9時まで残業したり、貯金を切り崩してやっと生活しています」
非正規に換わり最賃に張り付く
東京都内の大手取次流通センターで働く契約社員の川辺隆さん(50)=出版情報関連ユニオン(出版労連)組合員=が語ります。
出版業界の売り上げは、1996年の2兆6000億円をピークに減少し、現在1兆5000億円にまで激減。正社員が非正規社員に置き換えられ、非正規雇用の賃金は最低賃金に張り付いています。
川辺さんは、労働者の実態について「昼食は同僚が食べ終わったカップラーメンの残り汁をもらい、それだけで済ませる」「親の体調が悪くても帰省できない」「交通費が支給されないので毎日1時間以上歩いて通勤している」と紹介します。
賃金も月1回の支給では生活できないため、支給日前に銀行口座に有料で振り込んでもらう「即払いシステム」という制度までできているといいます。
憲法25条は「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と明記し、27条2項で「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」としています。これに基づいて制定されたのが最低賃金法です。

エキタスのデモで最低賃金1500円への引き上げを訴えてデモ行進する参加者=4月15日、東京都新宿区
有給休暇を取得他部署から感謝
現在の最賃は全国平均で823円。しかし、フルタイムで働いても年収200万円に満たないワーキングプア(働く貧困層)の水準です。地域格差が218円もあり、抜本的引き上げは急務です。
最低賃金をめぐっては1975年、当時の労働4団体が一致して全国一律制度の実現を求める要求を発表、これを受けて日本共産党も含む当時の4野党が共同して法案を提出しました。実現はならなかったものの、全国一律制を求める声が大きく広がりました。たたかいに押されて民主党政権下の2010年に「20年までに全国平均1000円を目指す」という方針が決定され、安倍政権も「1000円を目指す」といわざるをえないところまできました。
全国で「いますぐ1000円」とし、「1500円をめざせ」という運動が広がっています。出版ユニオンでも、今春闘で時給1500円への引き上げの要求を掲げました。
川辺さんは語ります。「当初は、アルバイトが会社に要求していいのかという声もありました。しかし、議論をするなかで昨春闘は1200円、今年は1500円の要求を掲げました。運動を通じて、会社が周知してこなかった有給休暇の取得も可能になりました。他部署の人からも感謝されています」
広がる貧困と格差解消、生活改善に向けたたたかいに憲法の精神が息づき、政治を大きく動かしています。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年4月30日付掲載
「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」にならない最低賃金って、憲法が守られていないってことになるでしょ。
アルバイトでも半年以上働いたら取得可能な有給休暇と合わせて、生活できる最低賃金を!